増えていく右手の傷


Mさんの右手の甲に突然

針で引っ掻いたような切り傷がついた。


その日から傷が増え続け、

Mさんは戦慄した。


でたらめな傷かと思いきや、

それは明らかに“正の字”を書いている。


あと一画で完成してしまうのだが、

何が起こるか分からず、

原因も防ぎ方も見当がつかないので

正の字が完成する日が恐ろしいそうだ。

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