解決策はない。
土師 夜目視(ハジ ヤメミ)
第1話「ロボットのわたしは。」
わたしがはじめて買ってもらえたのは、
「家事で使えそう」…だからでした。
ですがわたしの性能では、4人分の家事を十分にこなす事はできませんでした。
ご家庭は裕福でしたので、
わたしはすぐに高性能な新型に買い替えられて、そのまま売りに出されました。
次にわたしが買ってもらえたのは、新品の時に売り場で見ていた男の子でした。
ですがわたしはそこでもまた、売られる事になります。
なぜなら皆、男の子よりもまだ珍しかったロボットのわたしを気にかけて、
男の子をないがしろにしたからでした。
次にわたしを買ったのはアルバイトの男性でした。
そこそこ知識のある方で、わたしは容姿から大幅に改造され、
おひとり相手でしたので、ほどほどに家事もこなせました。
ですが今度は彼女さんにとって代わられました。
そうしてわたしは、売り場で長い時間を過ごす事になりました。
その頃になるとわたしは主を転々とした挙句、
どこに行けなくても不思議はない、性能の低いロボットでした。
ですがわたしを買ってくれる人がいました。
お店で働いていた、あの時の男の子でした…。
男の子に彼女が出来ました。
ですが今度のわたしは売られませんでしたので。
わたしはその家族を見守って、受け継がれ、
そうして長い時を過ごしました。幸せな時間でした。
ですがある時からわたしは記憶を無くしています。
記憶の圧縮を繰り返していました。増設もしました。
ですがメモリーには欠落が見られます。
どこか記憶装置は限界だったのでしょう。
いつしかわたしはそうして、ずっと眠っていたのでした…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます