第3話

目的の建物は想像以上に大きかった。『お城みたいな家だな。』少なくとも健斗が人生で見てきた家の中で、圧倒的に1番豪華な家だった。

健斗は大きく息を吸って、深呼吸をした。

『落ち着け、落ち着け。』

気が動転しそうになるのを、唇を噛むことで必死に抑えた。

これから健斗がしようとしていることは、大犯罪だ。豪邸に侵入して、目についた金目の物を盗む。バレてしまったら、刑務所送りになるかもしれない。それでも健斗には後に引けない理由があった。

『ここまできたからには覚悟を決めろ。大丈夫。計画は完璧だ。俺なら絶対にできる。』健斗は自分を鼓舞するよう強くそう思った。そしてその思いを胸に、大きな庭を囲う敷居をよじ登り始めた。そして、庭をすり抜け、風呂場の窓から家の中に侵入することに成功した。

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