七日で書き上げた話の詰め合わせ

ろくろわ

第1話 「地図に描かれた絵」

 地図を元にしても、誰も私を見つけだす事は出来ないだろう。もし逆の立場だったら、私だって見つけ出す自信がないのだから。

 そんな事を考えながら、私は数少ない持ち物となった地図を広げ今までの事を思い出していた。


 そう言えば最初に地図の存在に気が付いたのは幼稚園の時だった。真っ白な真新しい地図のような紙に大きな絵が無数に書かれていた。

 飛行機やヒーロー、宇宙に動物、なんでもあった。

 その後は地図に気が付いても、広げることは中々なかった。

 その間にも地図には新しく景色が書き足され、そして薄く消えていった事を私も知らない。


 それから本格的に地図を見たのは中学生の時だっただろうか。もっとごちゃごちゃしていたと思っていた地図は随分とスッキリしていたように思う。

 ただその行き先は良く見えず自分で書き足していかなければならなかった。その為に私は色んなものが持てるように努力を重ね、より必要なものを手に持ち、地図が鮮やかになるように頑張ってきた。

 しかしそれは大人になるにつれて、どんどんと行き先が狭まり書かれていた絵は色褪せていった。


 そして今日。

 遂に私の手には古びた地図と型落ちの少しの道具しか残っていなかった。


 私がここに辿り着く事を誰が想像できただろうか。

 自分で書き足していった地図が自分の軌跡になるといつから気が付いていただろうか。


 人生の終焉を迎えるまさにその時、私の地図には昔の夢や人生のイベントを書き残した跡がしっかりと残っていた。


 人生の書かれた地図をゆっくりと閉じた私には、この先の行く末を書くことは出来ない。

 だから過去に書かれた絵を一つずつ触れていき、誰も知らない自分だけの地図に記されたおもいでに想いを馳せて、静かにゆっくりと落ちて行くのだった。



 了

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