オカルト研究部だと思ったら、オカマ研究部だった

ハチニク

1話〜オカ研部〜

 桜花おうか神社は都内にある昔ながらの由緒正しい神社である。この神社は今までに一度も改装工事を行ったことがなかったため、その古汚い見た目からよく近所の人々からは、幽霊スポットとして扱われていた。そのレッテルを払拭しようと桜花神社の桜花代表は外国人観光客の増加を目指して、ホームステイ制度を設立し、それによって集まった資金で神社の改修工事を行うことにした。神社にホームステイという斬新なアイデアは世界中から注目を浴びることとなり、各国からホームステイの志願者が現れた。


◇ ◇ ◇


 俺は桜花明臣おうかあけおみ、15歳の男で、親は桜花神社の代表をやっている。桜花神社でホームステイ制度が開始されてから様々な学生や大人が各国から神社でのホームステイ生活を楽しんでいた。


 今年はブラジルから来る俺と同い年のミゲル君がホームステイをしに来るらしい。それも俺と同じ高校に通いはじめるという。


 俺が通うことになる高校、茶柱ちゃばしら高等学校の入学式の日、俺はミゲル君の世話係として常にミゲル君と一緒に行動していた。


 ミゲル君は日本文化、特に日本のオカルト文化に興味があるらしく、それが理由でうちの桜花神社にホームステイをしているらしい。ミゲル君はうちの神社がお化け屋敷か何かだと勘違いをしているみたいなので、俺はこう説明した。


「うちの桜花神社はただ古臭いだけで、お化けとか出ないし、心霊現象も起きないよ。」


 それを聞いたミゲル君はショックを受けていたため、彼を教室で慰めていると部活勧誘の時間となった。俺は悲しむミゲル君のために、さっき廊下でもらったオカ研部のチラシを彼に渡した。そうするとミゲル君はウキウキになり、楽しそうな表情を浮かべてこう言った。


「アタシコレハイル。」


 俺の通っていた中学校は男子校だったので、共学である永遠高校に入学し、女子との交流を楽しみにしていた。入るとモテる部活はサッカー部とバスケ部だろうと思い、俺はその両方のパンフレットを受け取った。


◇ ◇ ◇


次の日


 ミゲル君と学校に行き、各教科の入門みたいな初回授業をたくさん受けた。この日の放課後には部活説明会が各部活で行われていたため、まずはミゲル君の入部したがっているオカ研部の説明会についていくことにした。


「アタシスゴイタノシミネ、オカケン。」


「うんうん、でもオカルト研究部なんて珍しいよな。たしか、部室はこのあたりだった気が…」


 オカ研部の部室だと思われる教室に行くと、ただならない異様な空気を感じ取った。


「ちょっと、待ってくれ、ミゲルくん。なんだか嫌な予感がする。」


「アケオミ、ダマレ。ハイルココ。」


そうミゲルくんに言われると、俺も決死の思いで、部室に入った。だが、入った瞬間、異様な空間に足を入れてしまったとすぐさま気づいた。しかし、これはオカルトっぽくて異質な空間であるわけではない。ある意味、異様な空間だったのだ。これはオカルト研究部ではないぞ、絶対に。それにしてはキラキラしすぎている。


 部室の黒板を見てみると大きくチョークでこう書いてある。


「ようこそ、オカマ研究部へ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る