行政法

肩ぐるま

第1話 行政法(1)序論

行政法 序論


行政に関するルールを定めたものを行政法という。

たたし、「行政法」という名前の法典はなく、そこが憲法や民法と異なる。

行政活動の根拠となる法律は1500以上もあるとされ、それを整理するため、学問上、行政法と呼ばれる。


具体的にイメージできるものでいえば、行政とは、官公庁での様々な業務活動、例えば、市町村での住民票の発行などの住民サービスをはじめ、各種許認可、国の機関による河川や国土の管理までを含み、行政の活動は多種多様である。


学問的には、全ての国家作用から法の定立作用である立法と、法の適用作用である司法を除いた残余の作用と定義されている。(控除説、消極説)


行政法の3つの分野


行政法は大きく、次の3つの分野に分けられる。

(1)行政組織法

誰が行政を行うのか、行政庁とは何かなど、行政活動の主体についてがテーマになる。


行政組織法(内閣法、国家行政組織法、地方自治法など)


(2)行政作用

行政は何を行うのか、許認可などの処分(行政行為)を中心とする行政から私たちに対する働きかける局面についてがテーマになる。


行政作用(行政立法、行政行為、行政上の強制措置、行政指導など)

 

(3)行政救済法

違法不当な行政作用によって、国民の権利利益が侵害された場合における救済方法についてがテーマになる。


行政救済法(行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、行政手続法など)


●行政法の基本原理

(1)法律による行政の原理(法治主義)

法律は、国民の権利や自由を守るために、国民の代表である議会で定められたものであり、行政活動は、その法律に基づいて行われなければならない。

この「行政活動は、法律の根拠に基づき、法律に従って行われななければならない」という基本原則を「法律による行政の原理」という。

具体的には「法律の優位の原則」と「法律の留保の原則」がある。


(2)法律の優位の原則

すべての行政活動は、法律に違反してならないという原則。


(3)法律の留保の原則

一定の行政活動には、法律の根拠が必要という原則。

この原則は、国民の権利や自由を制限したり、新たに義務を課すような「侵害行政」を行う場合に適用される。

しかし、行政が給付やサービスを行うなど、国民にとってプラスに働く「受益行政」や、国民の権利義務には関係のない行政活動(例:通達)の場合には適用されず、法律の根拠は不要とされる。(侵害留保説)

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