自分の黒歴史(?)について語ってみた件

青谷因

サイズ感も値段も、手ごろだった趣味

どちらかというと、自分の中では"いい思い出"カテゴリに分類しているのですが、いざその詳細を他人に話して共感を得られるかと言われれば、微妙なラインではあるので。

片足ぐらいは突っ込んでいる(黒歴史として)のかもしれないと思い、少しずつ振り返りながら書き綴ってみることにしました。


"職人"とはいかないまでも、趣味の雑誌などにハガキ投稿するのが好きでした。

きっかけは、当時大好きでアニメ化もされた人気の連載漫画。

それらを取り扱うジャンルの情報雑誌の読者コーナーにせっせと好き語りをつづって送り、また、同好の士たちの感想や意見、イラストたちから心の栄養補給ともいえるほどの有り余る満足感を得ていました。


こうして同志とつながる喜びと、「好き」を何倍にも拡大・加速させていってくれるハガキ投稿は、私の心の拠り所であり、明日を生きる糧でありました。


SNSどころか、インターネットも存在しない時代、かつ。

漫画やアニメを「大好きです☆」と公言しようものなら、たちまち白い目で見られてしまっていたある種『オタクの暗黒時代』それ自体が、もしかしたら『黒歴史』と言われるのかなとも思いますが・・・それは今回置いといて。


ともかく、何かの隠れ信者のようにひっそりひそやかに「好きなものは好きなんだ!!」とそれこそ声高に主張・共有できる貴重な場でした。



そしておそらくは、承認欲求もいい感じに満たしてくれていたのだと思います。

雑誌によっては、コーナー担当の方からちょっとしたコメントが添えられていたり、抽選でレアなプレゼントや謝礼品がもらえたりしたので、それも楽しみの一つでありました。

(ダジャレをひたすら書いて送り続けたら、有難い称号とともに、担当者が自腹で作った記念Tシャツを頂いたことも)



こうしてどんどんハガキ投稿の世界にのめりこんでいった私は、ある時、唐突に、何故か・・・違ったベクトルに情熱を注いでしまうことになりました。


行き詰ったんでしょうか。


何が楽しかったのか、ひたすらペンネームだけを量産する作業に没頭し始めるのです。


さらに名前を考えて生み出すだけでは飽き足らず、それらひとつひとつ(一人ひとり?)に人格やだいたいの容姿・口ぐせなんかも設定し始め、それ(彼・彼女)らを使って会話劇的な物語まで創作していきます。



えっ。なんだこれ。(現在の自分の率直な感想)


受験勉強で煮詰まったときに気分転換で部屋の掃除を始めたら止まらなくなっちゃった系?(例えが下手なのは仕様です)


おそらく最初の動機は「好きな作品にまつわるそれっぽいPNを考えよう☆」だったと思われるのですが。


自身の本名が平凡すぎたコンプレックスもあったのか。



その時のキラキラ☆生き生きした自分に合ったもの・・・というより、まといたかったもの、を反映した結果、欲が出てどんどん盛り上がっていったと思われます。

(本名でキラキラしたかったわけではありません念のため)


今考えると、紙上の、実体を認識できないイマジナリーフレンドの類だったところもあるのかも(自覚ある多重人格・・・とはまた違うか?)。


ただ、残念ながら、そのほとんどは実際の投稿に使用されませんでした。

需要と供給が完全に逆転してるので(投稿雑誌数よりもはるかに多かった)。


現在もこれらの設定は多少、データとして残っているものはありますが、今後日の目を見ることはないでしょう、多分。

何か創作の設定にするくらいしか、使い道はないかなー。


もしそうしてお披露目できる機会がありましたら、温かい目で見守っていただけると幸いです。

(ちょっともったいないと思ってる未練がましい自分がまだ居る)



幸い現在は落ち着いて、アイディンティティの集約とともにPNもすっかり統一されました。

(もういろいろ考えるのが面倒になった、というのもあり)


結局、名前も内容でも、ハガキ職人的な結果を何も残せないまま、その道を静かに退いて今に至ります。



まぁ、ずっと楽しかったので、想い出としては、個人的にはこれでいいかな、と思っております。





と、ここまで書き終えたところで、実に興味深い情報を知り得ましたので、ご紹介までに。


それは『70のペンネームを使い分けて作品(未発表)を書き上げていた有名作家』の存在でした(死後に所持品の中から発見されたそうです)。


いやあ、なんだか親近感がわきますね。

(何の作品も完成させていないくせに図々しい奴め、というツッコミを甘んじて受け流しますね★)


これはもしかして彼の黒歴史として、墓場まで持っていきたかった・・・割には、しっかり設定(それぞれの作家の)組まれていてもったいない気がします。


私だったら、あえて見つけられそうな微妙なところに置いておくかなぁ(貧乏性)。


または、こうした機会に思い切って放出します。


そんなわけで、ありがとう!『黒歴史放出祭』!!


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