青春ラブコメがしたいわけじゃない‼
成猫
1章
第1話 プロローグ
べつに、人並みの青春が送りたかったわけではない。
――送れるかは別として。
誰かに認められたいとか、好かれたいとか、そういうことがしたかったわけではない。
――してもらえるかは別として。
べつに……
……妙に補足がうるさいが。
一つだけだ。
たった一つだけ、昔から知りたかったことがある。
ずっとそれだけのために生きてきて、それ以外はいらなかった。
そのためならどんな犠牲も厭わなかった。
俺の世界には俺しかいなくて、その世界の中では俺が全て。求めたことの責任はすべて俺一人が負うもので、傷つく人間も俺一人。
だからどれだけ失敗をしても、どれだけ間違いを犯しても、べつに構わないと思っていた。
――けれど気づいた。
俺がそれを求め続ける限り、俺以外の誰かを傷つけてしまう。
俺が求めたことで、誰かの未来を奪ってしまっていた。
俺が払った犠牲の中に、俺以外の人間が入っていた。
世はわが身がすべてというけれど、それでも俺は人でいたい。
だから人を傷つけ、不幸にしてまでたどり着いたその先にもし、俺の求めるものがあったとして。俺はそれを認めるわけにはいかない。
俺の望み求めた答えだと、認めるわけにはいかない。
だから誓った。
正しくあろうと。
俺はもう二度と、誰かを悲しませはしない。
俺以外の人間を、傷つけはしない。
――俺はもう、何も求めない――
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