保健室ダイビング
保健室は私の避難所だ。
どうしようもなくしんどくなった時、切りたくなった時、なんとなく同級生がたくさんいる空間にいたくない時。割と定期的に助けを求めに保健室へ行く。
保健室を頼るようになったのは、高校に入ってからだった。
拗れる友人関係、いやでも耳に入ってくる悪口。担任のプレッシャー。
疲れ果てた私は、仮病を使って保健室へ飛び込んだ。
保健室の布団は、いつもいい匂いがする。
柔らかくて優しいシャボンの匂いがする。
幸いにも保健室の先生は優しい人ばかりで、話もたくさん聞いてくれて、理解してくれた。
やはり、頼るべきは生身の大人なのである。
『耳栓つけてみたら?』と提案してくれたのも保健室の先生だった。
誰かが怒られてたり、大きい声で喋っててストレスだと感じたら耳栓を付ける。
それが許されるのだと、初めて知った。
逃げて、いいらしい。
たくさんたくさん逃げていいらしい。
自分で対策して、頑張ってもダメだったら、逃げていいらしい。
耳栓をはめて、髪をおろして、軽く手で耳を覆えば3割は聞こえなくなる。
少しだけ静かになって、ほんの少しだけ快適になった世界で、私は生きていていく。
優しい人に出会えて、よかったなぁ
奇行以上、疾患未満 @satou_oimo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。奇行以上、疾患未満の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
『「ろば耳壺」ちょっとハード目』新作/導き石
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 2話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます