第1話⑭
ランプライトが促すと、コールマンが机の上に一枚の紙を乗せてすべらせた。リナリィが受け取ると、“入場許可証”という表題のすぐ下にコールマンのサインが書かれていて、更に課題の内容が続いていた。
「マギ専地下に広がる“眠る都”。その保存文書庫から、指定した魔本を一冊回収すること。方法は問いません。魔本もタイトルは、」と、コールマンが続けようとした矢先、
「よっしゃ!行こうや、クロにドラゴミロフ!速攻で回収して、私もとっとと一ツ星に成り上がってやるからな!」
リナリィは紙を短パンのポケットにしまい込んで、クロエとナタリアの手を引っ掴むと、意気揚々とコールマンの部屋から出ていく。今度はコールマンも止めようとはしなかった。
「ちょっと、まだ先生の話が途中ですよ!勝手なことばかりおっしゃらないでください!」
「課題の魔本以外はこちらに都合してくださいよ。魔道具製作の素材にさせてもらいますから」
三人が去って、コールマンの研究室は少しだけ静かになった。残されたコールマンは、椅子ごとランプライトの方へ体向ける。
「これでよろしかったでしょうか」
「いやもうバッチリ!さすがレイチェル、教え子の性格を熟知してるね!」
ランプライトは手を打って喜んだ。
「……マーリン。エンデの成長を急かすような真似をしたこと、私は賛成とは申し上げません」
それまで平坦だったコールマンの声がグッと低くなった。だが、ランプライトは気にも留めていないように愛想よい笑顔を浮かべた。
「キミらしい。だが、実際に挑むのはエンデだ。見届けようじゃないか、教え子たちが成長する姿を」
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