Rey♯Rei

雪屋敷はじめ

♯0 私に拍手をくれた人

section1




――パチ、パチ、パチ。


 ピーク時から大きく人が減った夜の駅の構内。


 10年近くもピアノを習っていたにしては、上手い訳でも魅力的な訳でもない、私のストリートピアノの演奏に、拍手の音が響いた。


 え……? という驚きの眼差しを、拍手の送り主がいるらしい辺りへ投げかける。


 私の右斜め後ろ、十数メートルほど先。


 そこには太い柱をグルッと囲むようにサークルベンチが設置されていて。


 その空きスペースに一人の若い男の人が腰掛け、両手を打ち合わせながら乾いた音を鳴らしていた。


 突然強いスポットライトを照射されたような気持ちになり、気恥ずかしさが全身を駆け抜ける。


 彼の眼差しが私の手元から顔へとゆっくり移動し、結果、視線が重なり合う。


 1日分の疲れのせいか彼の頬や唇などはダルそうに下がっている。それとは対照的に目はクッキリと見開かれ、濃褐色のうかっしょくの瞳には妙な熱が帯びていた。


 もともと引っ込み思案な私。せっかく待ち望んでいた拍手をもらったにも関わらず、上手い反応が見つからず、反射的にペコっと頭を下げただけで椅子から立ち上がり、その場から逃げるように東口の方へ小走りで向かった。


 駅の構内で営業しているコンビニにでも姿をくらませようと思ったのだ。


 でもその途中、不意に彼の事が気になって、一時的に歩みを止めて恐る恐る後ろを振り返る。


 すると彼はベンチから立ち上がってこちらを向いていた。


 またもや目が合い、気まずさが押し寄せてくる。


 しかしながら、先ほどより距離を置いているせいか、相手の姿を観察するだけの幾分かのゆとりが生まれていた。


 恐らく自分と同世代の男子。大人びた雰囲気から、向こうの方が少しだけ年上であるような気がした。


 少し癖毛でボリュームのある黒髪を無造作に流し、そして、背が高い。周りをチラホラと歩く大抵の成人男性にまさっている。

  

 男子特有の丸みに乏しい角張った体を、キャメルの半袖Tシャツとストライプ柄の入った黒いイージーパンツで包み、パッと見、飾り気のない印象を受けるが、細身でスタイルが良いため立ち姿が様になっている。


 何の前触れもなく、彼がスーと歩き始めた。


 瞬く間に距離が縮まる。


(えっ、なに!? 私に話しかけようとしてる? いや、まさか……。こっちの方向に用があるだけかな)


 いずれにせよ予想外の動きにびっくりした私は、あたふたしながらきびすを返し、すぐ先のコンビニへ急いだ。


 ◆


――今から2時間前。


『架け橋ピアノ♪ どなたでもご自由にお使いください』


 白いポップな文字でそう書かれた立て看板を見て、ようやく私の心にポジティブな気持ちが宿った。朝から憂鬱な気分だったけれど、それが少しだけ晴れた。


 看板のすぐ先に置かれた一台のグランドピアノと一脚の椅子――駅構内に設置されたストリートピアノ。


 これを弾くために、わざわざ自宅から3駅も離れた月沢つきさわ駅まで私はやってきたのだ。


 さっそく弾こうとする。でもその前に周囲を見渡して、他に利用希望者がいないかを一応確認してみる。


 ちょうど帰宅ラッシュと重なってしまった事もあり、駅の構内は仕事帰りのサラリーマンや学校帰りの生徒など多くの利用客で賑わっていた。


 だけれど、ピアノに関心を寄せていそうな人は見当たらない。誰もが目もくれず通り過ぎてゆく。


 なら、大丈夫。今からしばらくこのピアノは私のもの!


 ピアノに縁のある人生を送ってきた身としては見慣れた、横長い黒椅子に腰を落ろす。


 私の前に演奏していた人は長身だったようで、椅子の位置が少し低い。そしてペダルが先の方にある。


 だから、まずはそれをベストな位置に調整する。


「よいしょ……」


 長年習っていたピアノを1年半ぐらい前に辞めて……いや、辞めさせられてしまったけれど、日頃から演奏フォームを叩き込まれていたお陰で、こうして姿勢を正す習慣が身についてしまっている。


 肩から斜めに掛けたポシェットが少し邪魔。でもロッカーに預けに行くのも面倒だから別にこのままでいい。


 初めに軽い準備体操を始める。


 両腕を伸ばして肘と手首をくるくると回す。次に、右手と左手の指を交互に組んで手首ごと大きく回す。最後に、両手を離してそれぞれグーとパーの形を繰り返す。


 かすかに腕全体の血の巡りが良くなり、関節が柔らかくなるのを感じた。


 その後、鍵盤に指を乗せ、ハノンの1番から5番までを丹念に弾いてみる。これもウォーミングアップの一環。


 練習曲特有の単調な音がしばらく続く。


 面白みの無い曲だけれど、それを弾き終える頃には私なりの演奏モードに心身が切り替わっていた。


 楽譜は持ってきていない。だから暗譜で弾ける曲をチョイスして演奏を開始する。


 1曲目は、エステンの人形の夢と目覚め。


 子守歌によって夢の中に誘われた人形が、幸せいっぱいの夢の中で楽しく遊び、夢から目覚めると幸福の残滓ざんしのままに踊り始める。


 およそ3分の曲の中に、そんな人形を主役にしたキュートな物語が綴られている。


 白と黒の鍵盤に指を落とすたびに、弦や響板が振動し、ピアノ全体から美しい音色が放たれ、広い構内を駆け巡る。


 幾つかの音の波は、人混みに阻まれて遠くまで届かず、勿体無い気分になる。


 それでも大きな空間でグランドピアノを弾く開放感は素晴らしく、満足感を覚えずにはいられない。


 を気にせず大好きなピアノに没頭できるこの時間は、日々様々な不安に押しつぶされそうな私の心の処方薬。


 2曲目はパッヘルベルのカノン。


 ハ長調に編曲されたもので、心持ち難易度が低め。余裕を持って演奏できる分、指遣いに心を込める。


 しっとりと落ち着いた伴奏と、華やかなメロディが、耳に心地良い。弾いても聞いても楽しめる曲。


 前から後ろから私の側を通り過ぎる人々が、時々『あ、この曲知ってる』と興味本位な眼差しを向けてくる。


 移動以外に関心の無さそうな駅の利用客たちの心を、わずかでも自分の奏でる音色が惹きつけているのだと思えば、何だか明るい気分になった。


 それから次の曲に移る。


 数年前の春から夏にかけて、毎週月曜日の21時から放送されていた人気恋愛ドラマの主題歌、ジェニサウンドの沈みゆく青春を弾いてみる。


 今やカラオケの定番の1つとして、幅広い世代に認知されたヒットソング。


 繰り返し見て覚えた大譜表が頭の中で流れ始め、右手がスラスラと鍵盤を押していく。イントロの部分では左手の出番があまり無い。楽でいいと密かに思っている。


 静かな場所であれば、儚い高音によるメロディが聴き手をうっとりとした気分にさせるけれど、ここのような雑踏では騒音に音が負けてしまって、何の曲が演奏されているのかさえも聞き取れないかもしれない。


 でもAメロのセクションに入ったところで、ようやく左手が忙しくなり、力強い伴奏が旋律を引き立て、誰もが聞いた事のある晴々はればれしい音色が騒音をかき分けて響く。


 何人かの人々が歩調を落として演奏に耳を傾けた。おっ、この曲は……! という心の声が聞こえてくるよう。


 そしてサビに入ると、足を止めてまで私の演奏を聴いてくれる人たちが現れた。


 私の気分が高揚する。


 1コーラスめのサビが終わると、その人たちは『もう十分だ』とばかりにどこかへ去っていってしまってけれど、入れ替わりに私の右斜め後ろのサークルベンチに4、5人ぐらいの集団がドカッと腰を下ろす気配がした。


 横目でチラッと確認する。白い夏の制服を着た高校生ぐらいの男女のグループがこちらに体を向けるように座っている。


 途端にドキッとした。私の演奏に聞き惚れているのだと思った。


 これまで以上に指の運びやペダルの踏み込みなどに気を配りながら演奏にあたる。


 そして細心の注意をもって曲を弾き終えた。


 内向的な性格であるにも関わらず、拍手、場合によっては喝采を期待してしまっている自分がいた。


 自身が演奏を楽しむ事がピアノを弾く最大の目的であるものの、どうせなら“聴き手に感動を与えたい”という未熟ながらも一奏者らしい気持ちが心の奥底にあったのだ。


 それは私が一時期ピアニストを目指していた事と関係しているのかもしれない。


 ここへ通い始めたのは初夏の頃。気づけばもう4ヶ月あまりが経過する。


 もしかしたら今日が、ストリートピアノの演奏で誰かから拍手を貰える初めての日になるかもしれない――。


 胸が高鳴る。


 でも。


 終止線が瞼の裏に浮かんでしばらく経過しても、勿体ぶったように息を整えながら椅子の上でじっとしていても、そのような反応は得られなかった。


 さりげなく例のベンチに目をやる。女子生徒が2人に、男子生徒が3人。


 制服のデザインを見るにうちの生徒では無い。その点は少し、ほっとする。


 ベンチの真ん中に、華やかなメイクを決めたロングヘアの女子が座っていて、その子が両手に持ったスマホをみんなで覗き込み笑い合っている。


(あれ……私を見てたわけじゃないんだ)


 彼女たちは、ただ歓談のために手頃なベンチに腰掛けただけのようだった。


 しきりに画面に目を向けている様子からして、私の演奏など意識の外であったに違いない。都合のいい勘違いをしてしまっていた自分が恥ずかしい。


(それにしても楽しそうだなぁ)


 適度に制服を着崩したり、髪を整髪料で整えたり、メイクをしたり、みんな思い思いにオシャレをしている。きっと笑顔の絶えない充実した高校生活を送っているに違いない。


 それにひきかえ私の……この気合いの足りないで立ちは……。


 ノーメイクに、いつ買ったのかも覚えていないローブランドのギンガムチェックのワンピース、意外と動きやすく身長が高く見えるからという理由だけで履き続けているハイテクスニーカー、そしてちょっとだけ値の張るポシェットの組み合わせ。


 美的センスから遠いところにありそうなチグハグコーデ。


 ポシェットは高校の合格祝いにレギュラーチェーンで買ってもらったブランド物で、これに関してはどこに着けていっても恥ずかしくないと思うけれど、全身の中で1点だけが光っていたところで、それがどうしたという話。


「見てっ、こっちもヤバくない!? 落ちるよ!」


「屋上いてねーだろ、どうやって入ったんだよアイツ!」


「うわっ、手すりがグラってした! ストーリー消える前に録画しとこうよ!」


 あの子たちの話し声が、ここまで聞こえてくる。


 大した意味もない内容なのだろうけれど、ノリの良さげなグループに所属しているだけで、一人一人がキラキラ輝いて見える。


 私はポツンと一人取り残されたような気分になりながら、彼女たちの事を眺めていた。


 それから、ピアノの利用は20分程度でお願いします、と立て看板に但し書きがあったのを思い出し、その曲を最後に立ち去った。


 ◆


 架け橋ピアノから離れた後、駅構内のハンバーガーショップへ立ち寄って、夕飯にした。


 厚切りフィッシュバーガーとウーロン茶のSサイズを注文し、商品を受け取ると、窓際のカウンター席に着席する。


 フィッシュバーガーは私の好きなハンバーガーの1つ。包装紙を半分ぐらい剥いて先端にかじりつく。


 いつもよりタルタルソースが多く入っているようで味が濃い。おそらく店員さんが嬉しい方向に分量を間違えたのだと思う。


 得をしたはずなのに……浮かれた気分にはなれなかった。


 ただ目先の空腹を満たす為だけに、咀嚼そしゃく嚥下えんげの単純作業を繰り返しているみたい。


 私はこの先どうなるんだろう。漠然とした不安が押し寄せてくる。


 ピアノと出会ってしまったのが私の人生の分岐点。


――初めて本格的にピアノに触れ始めたのは小学1年生の時。


 家電量販店を訪れるたびに展示品の電子ピアノを熱心に触る私の姿を見た両親が、もしかしたらこの子にはピアノの才能があるかもしれないと思い、教室に通わせる事にしたのがきっかけ。


 結局のところ、それは見当違いだったけれど。単なるピアノ好きが1人誕生しただけに終わった。


 レッスンを受け初めて半年ぐらいが経過した頃、新品のアップライトピアノを両親が購入してくれた。それは私の部屋に置かれる事に。


 それ以降、時間さえあればいつでも鍵盤を叩き、仕舞いには家での勉強を放棄し、友達からの遊びの誘いを断ってまで、ピアノに没頭するようになった。


 小学校高学年になる頃にはピアノ愛が高じてピアニストを志すように。


 こんなに弾いているんだから、こんなにも弾いていて楽しいんだから、大人になったら仕事にできるはず、と甘く考えていた。


 夢とは裏腹に、私のピアノの腕前はプロを志すにしては粗末なものだった。


 ピアノ教室という限られた分母の中でも、抜きん出たものが何もなかったし、場合によってはレッスンで遅れをとることもあった。


 コンクールでの入賞経験はなく、明らかに実力不足。


 中学校に上がって自分の将来と真剣に向き合う機会が増えてきた頃に、ようやくその事実に気づかされる。


 だけれど、努力次第でどうにかなると思い、以前にも増してピアノに打ち込むように。


 元から決して良い方でなかった成績は、まだ落ちる余地があったのかと驚いてしまうほど降下していった。


 そして志望校を意識し始める段階になると、隣の市の音楽科がある高校に進みたいと希望を打ち明ける。


 それに両親、特にお母さんは大反対。


 私のお母さんは、いわゆる『先生』


 博多駅近くにレンタルスペースを借りて、フラワーアレンジメントの教室を開いている。


 生徒さんからレッスン料を貰ったり、フラワーアレンジメントの依頼を取ってきたりしてお金を稼いでいるのだけれど、その分野で名前を売っているとは言いがたく、本来それで暮らしを立てられるだけの余裕は無いらしい。


 儲けを二の次にして従事できるのは、中小企業ながら役員として勤めるお父さんの高い給料があるからこそで、それが無ければ経済的に苦しい思いをする人生だったに違いないと語っていた。


 1つの芸の道で生きる事の厳しさを知るお母さんだからこそ、大成できる見込みもないままピアノに人生を賭けようとする娘の将来を案じ、フワフワとした夢を一蹴せずにはいられなかったのだと思う。


 また、通っている音楽教室の先生からも、あなたの場合ピアノは趣味の一環に留めておくのが賢明よ、と突き放された。


 それでも諦めがつかないでいた中学2年生の春休み。


 とある日曜日。


 珍しく友達と一緒に朝から遊びに出かけ、夕方ぐらいに戻ってくると、いつもなら私の部屋にあるはずのピアノが消えてなくなっていた。コの字型のピアノ用吸音パネルも見当たらない。


 私は唖然とした。


 すぐさま階段を駆け降りていき、リビングで寛いでいるお父さんとお母さんを問い詰める。


 私が不在の間に2人が何かをしたのは間違いなかったから。


 返ってきた答えは……。


――売ってきたのよ。あなたがピアノから離れてきちんと勉強に専念できるように。


―― れいも、お兄ちゃんとお姉ちゃんみたいに偏差値の高い高校に進みなさい。その方がずっと将来の役に立つから。もうピアノ遊びは終わりだ。教室も今月で最後な。


 強制的にピアノから離別させられたあの時のショックは今でも忘れられない。


 丸一日、私がいないこの日を狙って、以前から計画していたみたいだった。


 別に私を嫌って意地悪をした訳ではない、子供の将来を思うが故の愛の鞭であることは理解していた。


 それでも恨みに近い感情が渦巻くのを抑えることが出来なかった。


 結果、私の心に火がつき、そこまで言うなら勉強で見返してやろうと誓った。


 それからはこれまでの遅れを取り戻すかのように猛勉強に励み、翌年の高校受験では、第一志望にしていた『雫ヶ丘高校しずくがおかこうこう』への合格を勝ち取る。


 雫ヶ丘高校は自宅から自転車で10分ほどの距離にある私立の中高一貫校で、高校募集をしていたことから、一般入試を経て外部生として入学した。


 偏差値は60半ばで、名門校が多く集う福岡県下ではトップクラスとまでは言えないものの、私の成績からすればそこへの進学は大躍進だった。


 合格を受けて、周りに褒められ、満足感を覚えた。


 しかし勉強に精を出し過ぎたうえ、ピアノという楽しみが無くなってしまったせいで、高校入学早々に私は力尽きてしまった。


 心の中にポカンと穴が空いて、すべき事をする気力が湧かなくなったのだ。


 そして1度、2度、たいした理由もなく学校を欠席したのをきっかけに休み癖がつき、段々と登校という行為そのものに対して拒絶感を覚えるように。一月ひとつき近く連続して休んでしまった事も。


 何事も初めが肝心。高校生活だってそう。新しい環境に適応しなければならない時期にそんな状態になってしまった為、クラスの輪に入れず孤立。授業についていけずテストでろくでもない点数を連発。ますます学校に行きづらくなる負のスパイラル。


 いつものように学校を休んだある日、自室のベッドの上で窓越しに青空を眺めながら、どうして、いつからこんな事になったんだろうと考えた。


 どうしたら他の子たちのようにでいられたのだろう。


 ありふれているはずの普通が私にとっては遠い。


 心機一転した娘に初めは満足そうだった親もだんだんと冷たくなっていった。


 それを印象づけるエピソードが、毎月1日の朝にダイニングテーブルの上に置かれる私のお小遣い。


 高校生になって、お小遣いの額がこれまでの2000円から5000円に上がったのだけれど、ある時から何の説明もなしにまた2000円に戻ってしまった。


 あなたを一端の高校生として認めていない――。そんなシビアなメッセージが込められているような気がしてならなかった。


 学校に行かない日は、家にこもってドラマを見たり音楽を聞いたりして好きに過ごしたけれど、心が晴れない。


 いつも無意識に私の目が部屋の隅へ向かう。


 以前そこには立派なアップライトピアノがあった。


 今その床には1台の白いメトロノームが立つだけ。


 ピアノとそれに関係したアイテムの中で、なぜかメトロノームだけは手がつけられなかった。


 売るのを忘れたのか、捨てるのを忘れたのか、無造作にベッドの上に投げられていたのだ。


 それを私は床に置き続けた。そこにかつてピアノが存在していた事を示す墓標のように。


 年季の入ったメトロノームを見ていると、それと同じ間、私の部屋で時を刻んでいたピアノが恋しくなる。


 その気持ちを紛らわせようと、ある時、楽器の演奏アプリをスマホに入れてみた。


 数ある楽器の中からピアノを選択して弾いてみると少し心が安らいだ。


 でも硬いパネルの感触や奥行きのない電子音は本物のピアノに似ても似つかなくて……物足りない。


 そんな時、iTubeアイチューブでストリートピアノの演奏を目にする。


 iTubeは世界最大規模の動画投稿サービス。日々、プロ・アマ問わず多くの人々が音楽、料理、ゲームなど様々なジャンルの動画を投稿している。私も暇な時とかは好きな動画を見て過ごす事がある。


 それをきっかけに、いつだったか近くの駅にストリートピアノが設置されたというローカルニュースの記憶が蘇ってきた。


 そうだ、家にピアノが無いならストリートピアノを弾けばいいんだ。それなら、私が再びピアノに近づく事を嫌がる両親の目も気にせず好きにれられる。


 ピアノに振り回されたがゆえの今の残念な境遇があると言うのに、皮肉にもその心の悲しみを癒してくれるのは、やはりピアノのようだった。


 それから程なくして月沢駅ここを訪れる。


 人生で初めてのストリートピアノの演奏には強い緊張感が伴ったけれど、回数を重ねるごとに次第にそれも弱くなっていく。


 定期的にストリートピアノへ通う生活が続き、夏を通り過ぎ今や秋を迎える。


 些細ながらも幸福な日常を手に入れた。


 そう思っていた矢先。


 今から2週間ぐらい前、うちの親宛てに担任の先生から、私を更にブルーにさせる1本の電話がかかってきた。


 電話を取ったお母さんによると、、と忠告されたらしい。


 それを聞いた私はショックを受けた。


 一応赤点の存在は知っていたし、意識していた。


 さすがに落第は避けたいという思いから、最低限の成績をどうにか維持し、来年の春にはこんな私でも2年生になれるものだと思っていた。


 でも、どうやら進級の要件には出席日数も含まれているらしく、年間の総授業日数の3分の1を超えて欠席すると留年になってしまうとのこと。


 テストで点を取っただけでは意味がない。


 出来ればもう1日も休まないぐらいの気持ちで臨んでほしい、と発破の言葉を先生は口にしていたようで。


 それからしばらく頑張って毎日学校に通ったものの、10月に入って初っ端の今日、また休んでしまった。


 進級できなかった生徒の多くは、学び直すより退学の道を選ぶらしい。


 私も1つ下の子たちに混じって同じ1年間を繰り返すぐらいならそうするかもしれない。


 その未来が間近に迫っている――。焦りや不安を感じた。だけれど、それと同時に投げやりな気持ちにもなった。


 このまま学校からフェードアウトして、簡単なアルバイトでもしながら空いた時間にストリートピアノを弾く人生でもいいのではないか。


……でも、いつまでもその生活を続けられるだろう? 5年先、10年先、20年先。その時に明るく笑っていられる自分の姿が想像できない。


 高校1年生の秋にして、私の人生からは何の希望も感じられなかった。


 目の前の窓ガラスにぼやけて映る生気のない自分の顔を見ながら、私は思わずため息をついた。


 ◆


 気鬱な夕食を終えた私は、しばらく席でスマホをイジり、その後ハンバーガーショップを出て、駅近くの古本屋まで足を運んだ。


 そして最近ハマっている少年漫画の単行本の立ち読みを始める。


 マナーとしては良くないけれど、お金がかからないから、ついつい、こうしてしまう。


 以前、読んでいた漫画といえば恋愛メインの少女漫画ばかり。


 でも、冴えない設定に反し明るい青春を送る主人公を眺めていると、対比的に自分がみすぼらしく思えて、いつからか避けるように。


 世には、現実逃避の手段としてえて自分とは縁遠い愛や友情に満ち溢れた作品に手を伸ばしてしまう人も多いらしいけれど、どうやら私には当て嵌まらないみたい。


 現実離れしたバトルシーンを追うだけで熱い気持ちになれるバトル漫画や冒険漫画の方が今の私には合っている。


 しばらくして満足したところで古本屋を立ち去り、また駅の構内の方に向かって歩いていく。


 そろそろ家に帰ろうかな。――でもその前にもう一度だけピアノを弾こう。夜の9時までは利用オッケーだったはず。


 そう思いながら構内に足を踏み入れる。


 するとピアノの音色が耳に入ってきた。それと共に10人ぐらいの見物人に囲まれながらピアノを弾く女の人の姿が視界に飛び込む。


 先客がいる――。


 その人は装飾の多いピンク色のノースリーブのドレスを着ていて周囲から浮いていた。


 そばに黒縁メガネを掛けた少し太めの男の人が立ち、彼女の演奏の様子を、右手に持ったビデオカメラを使って熱心に撮影していた。カメラの上部についたゴツい外付けマイクが異様な雰囲気を漂わせている。


 単に目についたピアノを弾いているだけではなさそうだ。


 服装を整えて、撮影係まで準備して、初めから腰を据えて演奏するつもりでここを訪れている事が分かる。


 彼女の事が気になった私は、ピアノの近くまで移動し、見物客の合間から演奏の様子をしばらく覗き見た。


(上手いな……)


 派手な装いもさることながら、巧みな演奏テクニックも周囲の気を引いている。


 連続性のある滑らかな音が盛んに響き、それを紡ぎ出す指遣いは跳ねるように軽やか。


 周りの人たちの何人かは、関心したように腕を組みながら、彼女の手の動きをじっと眺めている。


 曲が終わると、次に、ジャンルを問わないヒットソングのメドレーに入った。


 このあたりから更に見物人が増え始める。


 そして5、6分ほどの演奏が終わった後、彼女は一度大きく深呼吸をした。


 まるで次にくる曲に対して心の準備でも整えているかのよう。


(何を弾くつもりなんだろう?)


 次の瞬間。


 彼女が鍵盤の上に両手をそっと置いたかと思えば、10本の指が驚くような速さで動き始めた。


 沢山の足を持った怪物が猛スピードで階段を駆け降りてくる情景が思い浮かびそうな、リズミカルでダイナミックな音が辺りに広がる。


 ショパンのエチュード!


 それもop.オーパス10-4だ!


 私は目を見張った。


 かの有名なショパンが残した練習曲の1つで、古今東西、とても演奏難易度が高い事で知られている。


 ピアノの難関曲といえばリストのラ・カンパネラや、バラキレフのイスラメイが有名だけれど、中にはこれを真っ先に挙げる人もいるほど。


 実際に私が通っていたピアノ教室の先生は、生徒の「一番難しいの弾いて!」という遊び半分のリクエストを受けた時、「うーん、先生の中の一番と言えばやっぱりこれかなぁ」と、このエチュードop.10-4を弾き始めた。


 私も一度だけ好奇心からその楽譜を覗いてみた事があるけれど、とにかくページが真っ黒!


 多くの情報が詰められるあまり、インクが黒い生き物の群れとなって白い譜の上でうごめいているかのように見えた。


 そのため譜読みのハードルがとにかく高く、演奏においても体の様々な箇所を使った高度なテクニックが求められ、頭も体もフル回転させ続けなければならない。


 音大出身の先生も、未だに納得のいく形で演奏を出来た試しがないと言っていた。


 私に至っては挑戦するどころか楽譜を眺めるだけに終わっている。


 そんな超上級者向けの曲を、素性の分からないこの女性は、楽譜も無しに華麗に弾きこなしていた。


 聴衆の耳を楽しませるというよりも、己の技巧の真髄を見せつけるための演奏。


 譜読みができない私では、彼女の演奏の正確さを推しはかる事はできない。それでも長年の勘によるものか“完璧”という印象をおのずと抱いた。寸分の狂いも無い演奏をしている、きっとそう。


 一体どれほどの技量と時間をもって、これを自分のものにしたのだろう――。


 多分ここにいる人の大半は、曲の名前や難易度はおろか、今どこの鍵盤を叩いてどんな音が鳴っているのかさえも理解していない。


 それでも『めっちゃ凄い!』や『もしかしてプロ!?』といった、漠然としながらも彼女を褒め称え得るだけの感想を抱いていることが、熱い眼差しや表情から伝わってくる。


 メロディ、ハーモニーとリズムが美しく協和し、練習曲エチュードにありがちな――例えば、私が初めここに来た時に弾いていたハノンのような単調な響きが無く、聴き手に退屈さや飽きを感じさせない。


 場の高揚感が最高潮に達したところで彼女はフィニッシュした。


 2分程度であるはずの演奏時間が、それよりもずっと短く感じられた。それだけ時の経過も忘れて聞き入っていたと言う事に他ならない。


 彼女が鍵盤から指を離すと、少し遅れて四方八方から拍手が飛ぶ。


――パチ、パチ、パチ!


 最終的に夜間の時間帯であるにも関わらず20人ほどの人々が集まっていた。


 撮影役の男性がカメラを止めるのを見計らうように、彼女はスッと椅子から立ち上がって、私たちの方へお辞儀をする。


つたない演奏でしたが、足を止めてまで聴いていただきありがとうございます。私、主にiTubeアイチューブにてピアノの演奏動画を投稿している、といろちゃんと申します。今回は月沢駅にて――」


 彼女の正体が明かされると、ちょっとしたざわめきが起こる。


「へぇ、iTubeの人なんだ」


「有名なのかな……?」


 遊び心のある衣装や名前とは裏腹に、声のトーンは低く大人っぽい。喋り方もしっかりしている。


 私の近くに立っている大学生ぐらいの男の人が、彼女の方を見ながら友達とヒソヒソ話を始めた。


「こんな所にiTuberアイチューバーが来るとか、なんか意外」


「まー月沢駅ここそこそこデカいから、妥当っちゃあ妥当じゃね」


「よし! 初めて見るけど可愛いからチャンネル登録してあげよ! といろちゃん……? だっけ?」


 そう言うとポケットからスマホを取り出して操作し始めた。聞いたばかりの名前をさっそく検索しているようだ。


 それから、とあるカップルと一人の男性サラリーマンが偶然彼女のことを知っていたみたいで話し掛けていた。


 私は近くのベンチへ移動するとそこに座ってスマホを開く。試しに彼女の事を検索してみようとiTubeのアプリに飛んだ。


 iTubeに投稿した動画に広告をつけて広告収入を得るような人々の事を、世間はiTuberアイチューバーと呼ぶ。彼女もそんな1人であるのかもしれない。


(えーと。といろちゃ……あっこれかな?)


 検索バーに彼女の名前を打ち込んでいくと『といろちゃん』や『といろちゃん ピアノ』といった幾つかの検索候補が表示された。そのうちの1つをタップ。


 アプリの画面の一番上に該当のユーザーと、それに関連した動画がずらーっと並ぶ。


 といろちゃん。チャンネル登録者数6.2万人。唇に指を当ててウィンクしているプロフィール画像があの女性の顔と一致する。


(これだ)


 動画の一覧ページに入ってみると、直近の投稿は1週間前のもの。タイトルに目を通してみた。


【超絶技巧】音大主席卒が夜の駅でストリートピアノを弾いたらどれだけの人が集まるのか!? in神戸駅。――再生回数8.4万回。


 著名とまでは言いがたい印象を受けるものの、確かに、といろちゃんなるピアノiTuberが存在していた。


 それからチャンネルの説明や動画の投稿履歴などを探ってみたところ、今は西日本を中心に各地のストリートピアノを巡る企画をしているらしい。


 私はスマホから顔を上げて彼女の方を見る。


(それにしても音大主席卒って……。道理で上手いわけだ)


 輝かしい経歴、それに見合った演奏技術、人々の心を掴む音色。それらをたずさえながらピアノのそばでニコッと微笑んでいる彼女の姿がとても眩しく見えた。


 私では辿り着けない境地にいる人。


 少し落ち込んでしまう。


 そうしているうちに人々は自分の進むべき方向へ去っていき、彼女も撮影役の男の人と一緒に移動を開始した。


 もう用は無いとでも言わんばかりに、どんどんピアノから遠ざかっていく。


 今気づいたけれど、彼女はきらびやかなドレスに合いそうな光沢の美しいパンプスを履いている。


 ヒールは低くて太い。ピアノ奏者というだけあって足回りには気をつけているようだ。


 途中、男の人からジップトートバッグを受け取っているのを見た私は、中に着替えが入っているのかなと思った。


 ちょうど駅を出て隣の商業施設に、パウダールームやフィッティングブース付きの女子トイレがある。もしかしたらこれからそこで着替えるつもりなのかもしれない。


 彼女が去ったことで順番が回ってきた私はベンチから立ち上がってピアノの前へ向かう。


 彼女の体のサイズはあまり私と変わらないようで、椅子の位置や高さをそれほど調整しなくても自然な体勢で腰掛ける事ができた。


 軽いウォーミングアップの後、クラシックを1曲演奏する。ベートーヴェンのエリーゼのために。


 人の減った構内に、どこか切なく悲しげなメロディが響く。


 よく知られた曲であるせいか、何人かの人たちはついついといった風に反応し、歩行のかたわら、こちらに視線を寄越よこしてくる。


 エリーゼのためにの後は、J-POPのメドレーを弾きたくなった。先ほどの演奏を聴いた影響かもしれない。


 即興的に何曲か繋げて、それっぽいものを作る。


 暗譜済みで上手く弾ける曲もあれば、サビのメロディ部分を耳コピしているだけで辿々たどたどしい演奏となってしまう曲もある。


 全体を通してチグハグ感が強い。テンポも統一できておらず、『といろちゃん』と比べると、まるで子供のお遊びのよう。


 でも楽しいからいい。 


 7、8分ぐらいは演奏したかもしれない。


 次でラストにしようと思った。


 私はを弾き始める。世界で私だけが知り、私だけが弾ける曲。


 私が1から作り上げた創作曲なのだから、それもそのはず。


 昔から、既存の曲に独自の要素を付け加えたり、オリジナルの曲を作ったりして遊ぶ癖があった。


 今思えば、それがなかなかピアノが上達しない一因となっていたのかもしれない。楽譜をきちんとなぞるよりも、そうしている時間の方が長い時期もあった。


 教室で習うピアノの演奏において第一に求められるのは、楽譜に込められた作り手の意図を的確に読み取り、それを楽器上で精細に表現する力。


 強弱記号のフォルテが登場したのなら、その部分は『強く』弾かなければならない。


 どれほどの大きい音を出すのかは弾き手によって解釈の幅があるものの、『とても強く』てはいけないし『少し強く』てもいけない。型から外れた演奏をすればエラーとみなされる。


 それにも関わらず私は『この曲はここをこう弾けばもっと素敵になる!』と原形を崩した状態で演奏してしまうことがあった。その方が自分の好みに合った曲になるから。


 もちろん先生には叱られた。だから、そんな事ができるのは家で一人で演奏している時に限られる。それがいつしか発展し、自分の好きな音を集めた曲を作って楽しむようになった。


 別に楽典にのっとってきちんと作曲しているわけではない。ただ思いついた鼻歌などを鍵盤の上で旋律にし、それに合いそうな伴奏を感覚的につけるだけ。


 その名もなき曲たちを弾いている時間はとても楽しい。好きな音が沢山詰まっているのだから当然ハッピーな気持ちになれる。


 もし今弾いているこの曲にタイトルをつけるとすれば――。空をかける、とでもつけようかな。


 青空をスキップするような曲想による演奏。私は楽しい気分で優雅に両手を動かした。


 馴染みのある4拍子びょうしのリズムに合わせて、右手で爽やかなト長調のメロディを、左手で明るい響きのメジャーコードをかなでる。


 曲の序盤にかけては『ソ・シ・レ』や『ド・ミ・ソ』それに『レ・#ファ・ラ』などの三和音を小節の頭で打鍵し、それからサビ(と見做みなしている部分)に入ると、打鍵の頻度を上げてメロディの一拍ごとに伴奏をつける。


 でも、それだと少し音が重苦しくなるので、三和音から1つ音を抜いて二和音にする。


 そうする事で、明るい曲調を残したまま奥行きと深みを出すことができる。


 程よく迫力が増して、まさに曲の一番の盛り上がり所といった感じ。


 私が満足気である一方、周囲の人たちの反応はかんばしくない。


 何の曲だろう? 聞いた事もないな――。好奇の目でチラッと見てくる人はいても、感心を示す人は見当たらない。


 だから、このまま華麗にフィニッシュを決めたところで、といろちゃんのように拍手を浴びる事はない。


 まず、衆人環視のなか見ず知らずの人に対してリアクションを示すというのは、思ったよりも勇気のいること。


 私なら、変に思われないかな、とか余計な考えが邪魔をしてしまって、その一歩を踏み出すまでにハードルを感じるし、それはきっと他の人たちも同じではないのかなと思う。


 そして、私のピアノには、そのハードルを取り払う力が無い。


 クラシックを弾こうが、J-POPを弾こうが、オリジナル曲を弾こうが、思わず拍手をしたくなるような感動的な演奏が私には出来ない。


 そう思っていたのに――。


 そのはずだったのに――。


 たった1人だけ、演奏を終えた時、私に拍手を送ってくれる人がいた。


 ◆


 逃げ込むようにコンビニに入店した私は、店の奥側のレジ前の通路で立ち止まり、少し体を横に向けて、ガラス張りの自動ドア越しに外を眺める。


 すると、やがて、例の男の人が右手側からスーと現れた。


 誰かを観察する時は、自然と相手の顔に目が向かうものらしい。


 彼の面長おもながゆえの綺麗な横顔を、私の目が無意識に追う。


 すると彼がピタッと歩行をやめて、こちらへ顔を動かした。


 そのまま通り過ぎていくと思っていた私は虚をかれる。


 先ほどから短時間のうちに何度も目を合わせてしまったバツの悪さから、咄嗟に近くの商品棚に体を向けて、何か商品を選ぶフリをした。


 商品を買うついでに外を見たら偶然目があっただけですから――。別にあなたの事を気にしていたわけじゃないですから――。


 と全身で訴える。


 商品棚に陳列してあったエクレアを苦し紛れに掴んでしまって、中の商品が潰れるような感触が少し伝わってきた。


 相手からすれば、素っ気なくどこか拒絶感を含んだ反応に見えたかもしれない。


 彼はすぐに顔を元に戻して歩きだそうとした……のだが、その直前、右手で頭をポリポリときながら何かを呟いた。


 それから来た時と同じ速度でスーと消えていった。東口を抜けて駅の外に出たようだ。


 しばらくフリーズしたように彼が去っていった方を凝視していた。


 やはり私に話しかけようとしていたのかもしれない――。


 やがて我にかえり、袋がクシャクシャになったエクレアをレジに持っていった。


 その帰り、電車を待つ間、ベンチに座りながら購入したばかりのエクレアを頬張ってみると、コーティングのビターチョコレートが少し苦かったけれど、美味しかった。

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