第二章 第二節 異世界の貴族様

一時間ほど歩き、着いた先にあったのは大きな街。つまり騎士団以外にもの異世界の人間がたくさんいることが証明された。領主の館に向かう途中で見る街は基本的に石やレンガ作りで、コンクリートやアスファルトのような人工的に作られた建材は見られなかった。そんな街に住まう住民たちは当然ながら日本人っぽくなかった。

顔立ちは海外の人、といっても西洋の人の顔立ちだけではなく、私たちのようなアジア系の顔の人もいる。感覚的にはラボにいる時に近い。ラボもいろんな国から集まった人が同じ場所で研究している。それと同じようにこの街もいろんな国の人が集まっているのだろう。それだけ住みやすい土地なのだろうなと予想する。

また着ているものが随分と違う。デザインが異なるのはもちろん、生地の質があまりいいとは言えない。被服技術があまり発達していないのだろうか。しかし騎士団の魔法使いの人たちは住民の彼らよりは良いものを着ている。単純な貧富の差なのか、それとも他の理由があるのだろうか。

私たちの住んでいる世界とはかなり違う文化を考えているとどんどん興味が湧いてきた。ここが異世界であろうと日本から出たことのない私からすれば海外と変わらない。帰れないという不安よりも楽しみが少し勝った瞬間だった。


「イブキ!あれを見るっす!」


街に来てからずっと笑顔できょろきょろと街を見ていたノアが私を呼んだ。目を輝かせて街に感動する姿は子供のようで微笑ましく見えていたのだが、その理由は黙っているからであって喋り始めるとやんちゃな子供もびっくりのストレスメーカーに変わる。私は少しため息をつきながらノアに応対する。


「ノア。良い子だから静かにしてなさいね」


「子供連れのお母さんみたいなこと言うっすね!?それより面白いもの見つけたっすから見てほしいっすよ!」


「面白いものってこの街だけでも充分面白いと思うけ……なにあれ……」


ノアが大興奮で私を呼んだ理由がわかった。街の住民の中に犬の耳を生やした男性がいたのだ。よく見ると尻尾も生えている。一瞬コスプレかと思ったがここは異世界。日常の中でそんなことをする理由はないだろう。となるとあれは本物の耳と尻尾だろう。


「貴殿らは獣人を見るのは初めてか?」


騎士団の中から一人の騎士が話しかけてきた。先ほど戦闘になった時に前に出てきて警告を発した騎士だ。


「自己紹介がまだだったな。私はハードマン辺境伯に仕える騎士団の団長を務めているデニスだ。先ほどは失礼した。」


「私は中村亥吹といいます。こちらこそ騎士団の団員に怪我をさせてしまって申し訳ありません。ノアにはしっかりと言い聞かせておきますので」


私ははしゃいでいるノアの頭を押さえつけ一緒にしっかりと頭を下げる。先に襲われたとはいえ怪我をさせたのは私たちの方だ。謝って済むものではないかもしれないが、だからといって謝罪をしないのは違う。


「いやなに、騎士団に所属していれば怪我をすることなど承知の上だ。貴殿らが気にすることはない。それに貴殿らが使った魔術は我々の知っているものではなかった。おそらく魔法使いだろう。本気で戦っていれば我々は今以上に大きな損害を受けていた。敵意がないのならこれ以上争わないことに越したことはない」


なんと冷静で良い人なのだろう。それにあの戦闘でデニスさんは未知の攻撃を一度見ただけで危険性を察知して判断を下した。団長というだけあって聡明な人だ。


「そんなことより!獣人って言ったっすよね!?この世界には獣人がいっぱいいるっすか!?」


ノアが我慢できずに割って入ってきた。そういえば犬の耳と尻尾を持つ人の話だったな。


「ああ、信じられないが貴殿らはこの世界とは異なる世界から来たのだったな。獣人はそれほど多く存在しているわけではない。そもそも獣人と言ったが、実際は人間だ」


「え、どういうことっすか?」


「遠い昔には獣人という種族もいたらしいのだが、長い年月をかけて人間と交わることで純粋な獣人は絶滅し、既に存在していないのだ。しかしたまに彼のように獣人の特徴を持った人間が産まれるようになった。先祖返りというやつだな。だから彼は種族としては人間なのだが、先祖返りで生まれ持った特徴から獣人と呼んだのだ」


「つまり、ただの見分けってことですか?」


「そういうことだ。見分けで差別をする者も昔はいたそうだが、現在はそんな人間はいないだろう。そもそも先祖返りをした人間は種族の特徴が出るほどその種族が持っていた力を有している。だから普通の人間よりも優れたものを持って生まれた才能の証でもあるわけだ。それを差別するなど意味がない」


「その通りっすね!耳と尻尾を持って生まれるだけで最高っす!そんな良いものを差別するなんて頭おかしいっす!」


「……ごめんなさい。ノアも逆の方向に頭おかしくて……」


ノアは鼻息を荒くして「ケモ耳少女もいるっすよね!燃えてきたっす!」と騒いでいる。騎士団の皆さんは引いているように見えた。デニスさんも少し顔が引き攣っている。


「構わない。稀に獣人の特徴が性的嗜好だという者もいるからな。問題さえ起こしてくれなければ言うことはない」


咳払いをして見逃してくれるデニスさん。多分関わりたくないだけだと思うが、今はその心に感謝させてもらおう。


そんな中でノアははっと我に返ったようにデニスさんに詰め寄った。


「デニスさん!獣人がいたならエルフはどうっすか!?ドワーフとか妖精とか!巨人族とかもいたっすか!?」


「ま、待て!私も古の種族について詳しくは知らないのだ!」


「なんだ、残念っす……」


「昔のことを知りたいのなら歴史をまとめた本が館にあると聞いた覚えがある。領主様にお伺いするといい」


「すみませんうちのアホが」


再びデニスさんに謝っておく。異世界に来てからノアがずっとフルスロットルではしゃいでいるせいで私は謝罪係になりそうだ。


「種族の話をして少し気になったのだが、イブキ殿は妖精族の先祖返りではないのか?」


「え?どうしてですか?」


デニスさんが不思議なことを言い出した。私は正真正銘地球で生まれ育った日本人である。妖精などという存在が過去にいたとは思えない。となると私に妖精族と同じような特徴があるのだろうか。


「妖精族は体が小さく理知的な者が多かったという話を聞いたことがあってな。イブキ殿ももしやと思ったのだが……」


妖精族は小さくて賢い種族であったらしい。その特徴が私にあるのだろうか。って。


「こ、この身長はただ普通に小さいだけで妖精とかじゃないです……!」


ぶふっ!と吹き出すノアを横目に私は顔を真っ赤にしながら妖精族の先祖返り説を否定した。悪気があった訳ではないのはわかっているのだが、それでも私の身長が種族の特徴と思われるほどに小さいのだという事実が非常に恥ずかしかった。私だってお姉ちゃんみたいに大きくなりたかったよ。


「そ、そうか。それは失礼した……」


「いえ、いいんです……慣れてますから……」


それ以降我々は微妙な空気感のまま館へ向かうのだった。ノアだけは大爆笑したあとひーひーと息を切らしていたので全力でその尻を蹴り上げておいた。


「我らが領主のエードゥアルト様の館はここだ。まずは私が報告をしてくる。悪いが貴殿らは門の前で待っていていただきたい」


大きな門とその中に広がる美しい庭。そして中央にはまさに館と言うにふさわしい白い建物が立っていた。その建物は私が数年前に家族で行った旅行で滞在したホテルを思い出させた。


「わかりました。ノアもいいよな?」


「大丈夫っす!」


「それでは失礼する。何か急用があれば門番に言うといい。話は通してある」


そういうとデニスさんは騎士団を引き連れて門の中に入って行った。門番として立っている騎士がジロジロと私たちを見てくるが何か話があるのだろうか。しかし話しかけて来るわけでもなく微動だにしない。話を通してあると言ったデニスさんだが、もしかすると門番には監視しておくように伝えたのかもしれない。やはり怪我をさせたことがよくなかったか。


「イブキ!異世界のお貴族様の家っすよ!こんなにすぐ来れるなんて思わなかったっす!」


ノアは門番たちの目線を全く気にしていない様子で喜んでいる。もしかしたらやっぱり処刑すると言われるかもしれないのに、こいつには心臓に毛でも生えているのか。


「なんでそんな嬉しそうなんだお前」


「だって異世界ものの定番中の定番!”貴族との関係を持って異世界での活動の幅を広げる”っていうのをやろうとしてるんすよ!?嬉しくないわけないじゃないっすか!」


そんなのが定番なのか。確かに大きな権限を持つ者との関係は良くしておいた方が何かと便利だろう。

しかし私たちはその貴族の騎士団と敵対したところから始まった。脅しという名の交渉で戦闘を最小限に済ませここまで手を出されずに来れたが、貴族の家まで来てしまえば数の暴力で捕えられるかもしれない。いくらノアが銃を持っていても数には敵わないだろう。


「それに実はラボとしても嬉しいことがあるんすよ」


急に小声でそんなことを言うノア。どういうことだろうか。私は顔を近づけて門番に聞こえないようにする。


「ラボとして嬉しいこと?」


「魔法使いが少なくとも6人、しかも全員男性だったっす。私たちの世界では魔法使いは少女に多いっすけどこの世界では違うみたいっす。イブキみたいに違う力かと思ったっすけど、認識の魔眼で見た限り私たちの世界の魔法少女と同じ色だったっす」


「じゃあ魔法使いになる条件がラボの定義してるものとは違うかもしれないってこと?」


ラボからすれば長年の基礎研究結果が違うとなればその他の研究結果も間違っていることになる。つまりラボのやってきた研究がほぼ白紙に戻るわけである。このことを報告すれば大混乱は必至だ。


「多分そうっす。これだけでも大騒ぎっすけど、デニスさんは魔法のことを魔術って言い方をしてたっす。そして銃弾のことを知らない中で、デニスさんからすればよくわからない攻撃をする私を魔法使いだろうと言ったっす」


「そういえばそうだったかも……?」


「デニスさんから見るとよくわからない魔術を使う私は魔法使い。そして騎士団の魔法使いのことは魔術師。そこから考えると理解できている範囲を魔術、その範囲外を魔法と言ってるんだと思うっす。つまり魔術については理解できているっす」


「魔術について理解してる……そっか、私たちにとっての魔法を理解してるんだ」


「そういうことっす。だからこの情報をどうにか知って持ち帰ればとんでもない成果になるっすよ」


なるほど、ノアの考えはわかった。この世界でいうところの魔術と呼ばれる技術はおそらくラボの定義した魔法という技術と同じものだ。そしてこの世界での魔法は魔術の範囲を越えた力のことを言っている可能性が高い。だからこそ銃という技術を知らないデニスさんは弾丸による攻撃を魔法と呼んだのだろう。

しかし疑問が残る。もしノアの推察通りなら超能力はこの世界でいう魔法の範疇に入ってしまう。もしそうならノアに対価が発生していないことに違和感を覚えているはずだ。認識の魔眼による対価は発生しているが、ノアの対価は超能力者の対価の中でもかなり軽いものであり、いくらデニスさんのように頭の切れる人でも相手のことがわからない状況で対価が軽いことを予想するだろうか。ちなみにノアは持ってきていたお菓子を食べて解決した。もしかしたらこの世界に超能力者は存在していないのかもしれない。

いろいろな事実が推論になり、推論が疑問を生む。このまま悩み混んで答えを出そうとしたところで館の方からデニスさんが出てきた。


「エードゥアルト様が貴殿らを歓迎すると仰っている。ついてきてくれ」


私は思考をやめてノアの方を見る。これは行っても大丈夫だろうか。いきなり領主という偉い人に会ってもどうしようもないのだが、歓迎されているということは問題はないだろう。しかし相方の判断はわからない。私はノアに任せることにしたのだ。

するとノアは私の目を見て力強く頷いた。ノアも賛同したところでデニスさんに案内され領主様に会うこととなった。この世界について、できれば彼らの言う魔術について詳しく聞かせてもらえることを期待して門を通り抜けた。


「やあいらっしゃい異世界の人よ!急だったもので大したもてなしはできないが存分にくつろいでくれ!」


デニスさんに着いていき応接間に通されると思っていた私たちは、領主が普段から仕事をしているという書斎に連れてこられていた。そして目の前でにこにこと笑っている身なりの良い男性が領主だという。


「か、歓迎いただき感謝いたします。ハードマン辺境伯閣下。この度は閣下の騎士団に被害を与えてしまったこと、深くお詫び申し上げます」


少々面食らってしまったがまずは挨拶がてらの謝罪だ。団長であるデニスさんに許してもらっていても領主が許さなければ意味はない。


「そんなに畏まらなくていいとも!僕のことはエドと呼んでくれていい!それとデニスから聞いたとも!なんでも未知の魔法で騎士と馬を戦闘不能にしたらしいじゃないか!被害に関しては気にしなくていい!だからその魔法についてを教えてはくれないかな!?」


かなりの勢いで詰め寄られ思わず一歩後ずさる。エードゥアルト閣下……エド閣下にこの度の被害を不問にしていただいたのは非常に嬉しいのだが、なんだかやばい人に目をつけられてしまった感じが否めない。エド閣下の後ろに控えていたデニスさんも額を押さえて首を振っている。


「いいっすよエド閣下!私はノア・ギアハートって言うっす!こっちの子は中村亥吹って言うっす!」


エド閣下の人柄に驚いているところにノアが一発目からかましやがった。私は思わずデニスさんと同じように額を押さえてしまった。


「ノリがいいねノア君!君とは仲良くなれそうで嬉しいよ!イブキ君もノア君のように気軽に話してくれたまえ!」


「……わかりました、エド閣下」


「いいねいいね!今お茶を入れさせるからゆっくりと教えておくれ!」


貴族とはこんなに気安いものなのだろうか。いや、エド閣下がかなり特殊なだけだろう。私たちは勧められるがままソファへ腰掛け、入り口のドアから現れたメイドによってテーブルにお茶を出された。


「ではどこからお話するべきでしょうか?まずは魔法からですか?」


「魔法のことも気になるが、この世界に来たところから教えてもらえるかな?まずは君たちのことも知りたいんだ!」


女子高生に迫る中年男性という通報不可避な図ではあるが異世界なのでどうしようもない。


「わかったっす!まず私たちの元いた世界の話をするっす!」


こうしてノアは地球の話を始めた。おそらく文明がこちらの世界より発達していること。魔法が一般的ではなく、科学が発達した世界であること。私たちが異能力者を保護、研究する組織に所属していること。そして謎の光の扉を使ってこちらの世界に来たことを話した。

こちらが話している間、エド閣下はずっと少年のように楽しみながら聞いていた。この人は人を疑うことを知らないのだろうかとこちらが不安になりそうだ。


「そうかそうか!君たちは随分とすごい世界からやってきたんだねぇ!」


「私たちからするとこちらの世界の方がすごいですけどね」


なんだか世間話をするような感覚になってきているが、れっきとした異世界間のコミュニケーションである。壮大な言い方をすれば外交だ。それを私たちがやっていると思うと胃が痛くなる思いだ


「そうかい?そう言ってもらえるとこちらの住人としては嬉しいものがあるね」


「まずあんなに魔法使いはいないっすから!今日会った騎士団を見た感じもっといるっすよね?」


私が胃の痛みを感じ始めたところでノアが切り出した。魔法と魔術の違いとはなんなのか。ここで答え合わせをしておきたい。この情報がラボの研究に直結する。さらに言えば私の異能力の研究にも繋がるはずだ。


「騎士団の魔術師のことかい?魔法使いとはものすごく褒められているじゃないか!なあデニス」


「恐縮でございますエードゥアルト様」


「ここは公式の場じゃないんだからデニスもその口調はやめたまえ。私と君の仲だろう?」


「……わかった、エド」


そうして口調を崩したデニスさんを見てエド閣下は満足そうに頷いた。デニスさんは複雑そうに眉間にシワを寄せている。


「デニスは僕の親友でね。こんな堅物だが君たちも仲良くしてくれたまえ」


「俺はエドがもう少し落ち着いてくれたら堅物でなくても済むんだがな」


「ははは!デニスも言ってくれるな!」


主従関係である前に仲の良い親友だというのは本当のようだ。気のおけないその様子を見てなんとなく私は私とノアのやりとりを思い出した。私とノアが親友?ノアは厄介ごとばかり持ってくるトラブルメーカー、もといストレスメーカーだ。こいつといて楽しいことなんて全く、まったく……。私は妙なことを考え始めそうになる前にブンブンと首を振る。多分疲れているんだろう。


「それで魔術師の話だったかな?魔術師はこの世界でもそれなりの数がいるとも!なぜなら世界に羽ばたいていく魔法使いや魔術師を育てているのは私だからね!」


「それはどういうことですか?魔法、いえ魔術は教えられて使えるようになるものなのですか?」


彼はかなり重要なことを言った。育てる?魔法使いというのは天性のものであって、他人から教えられてなれるようなものではなかったはずだ。しかも魔法使いと魔術師を明確に分けた。これは理由がなければしないはずだ。


「おや?君たちの世界では違うのかい?この世界では魔術は学んで身につけることの方が普通なんだ!魔術の理論を学んで魔術師となり、魔術師の中でも特級魔術を使える者が魔法使いになれるのさ!」


ガタッ!

エド閣下の発言を聞いたノアが急に立ち上がった。一体どうしたというのか。


「ま、魔法を、いや魔術を学べるっすか!?」


まずい。ノアの目が今までの中で一番輝いている。これはラボがどうこうといった部分を完全に忘れている顔だ。


「ある程度の才能と学費があればハードマン魔法学校は歓迎するとも!学長である僕が保証しよう!」


エド閣下が魔術師を育てていると言った理由がわかった。ハードマン魔法学校という魔術を学ぶ学校の学長をしているのなら納得だ。さらに魔術の理論を教えるということは彼は理論がわかっているということだ。これは重大な情報になる。


「エド閣下、いえエド学長!魔術を私に教えてほしいっす!」


ノアが土下座をしそうな勢いでエド閣下に頼み込んだ。そんなに魔術使いたかったのか。ノアには既に認識の魔眼という超能力があるのになぜそこまでするのか。


「ノア、なんでそんなに必死なんだ?」


「だって学べば魔術が使えるなんてロマン中のロマンじゃないっすか!これを逃すなんて絶対に勿体無いっすよ!」


またロマンだった。こいつはロマンを追い求めてどこまでもいきそうだな。そのうち空を単身で飛びたいとか言いかねない。


「はっはっはっ!ノア君は最高だね!君とは本当に気が合いそうだ!よし、直接弟子入りを許可しようじゃないか!」


「おいエド!そんなことしたら他の貴族が黙っていないだろう」


「そんなのは放っておけばいいのさ!貴族なんかより異世界の少女の方が特別だよ!彼女たちより特別になれるのなら考えてもいいけどね」


デニスさんは固まった後、盛大にため息を吐いてからティーカップのお茶を飲み干した。若干前屈みでお腹を押さえている辺り、胃を痛めているのだろう。わかるよデニスさん。破天荒な奴を相手にするとそうなるよね。


「でもノア君は既に魔法を使えるんじゃないのかい?大きな音と共に見えない攻撃をする魔法だと聞いているけど」


「あぁ説明がまだだったっすね。あれは魔法じゃなくて科学技術で生まれた武器によるものっす」


「科学っていうと君たちの世界で発展している技術だったね。それで魔法のようなことができるのかい?」


「そうっす!ちょっと待っててほしいっす」


ノアは装備していた銃を取り出し弾を引き抜いてからテーブルの上に置いた。


「これがその武器で拳銃って言うっす!筒の中に金属の弾を入れて爆発の反動で飛ばすっていう仕組みっす!」


武器と聞いてデニスさんが一瞬立ち上がりかけたが、エド閣下はそれを手で制して座るように促した。デニスさんは少しの間エド閣下に抗議の目線を送ったが何の反応もなく「わかった」と再びソファに座った。その様子を見て私はひやっとしたがノアはわかっていたらしい。早くもノアとエド閣下は話さずとも分かり合えるようになってきているようだ。


「これが異世界の武器……!触ってみてもいいかね?」


「大丈夫っす!危なくないようにして置いてるっすから!」


ノアの許可をもらったエド閣下は文字通り舐めるように銃を眺め始めた。銃口を覗き込んで「ほう!」だとかスライドや引き金が動かせることに気付いてからは「面白いねぇ!」とガチャガチャと触り続けていた。一通り楽しんだのか、エド閣下は爽やかな笑顔を浮かべて銃をテーブルの上に戻した。


「すごいものを見せてもらったよ!こんなものは僕たちの世界では見たことがない!デニス、これから目に見えない攻撃をしていたんだね?」


「そうだ。大きな音が鳴った瞬間には馬が倒れ、乗っていた騎士が落ちてしまった」


「なるほどねぇ!ノア君、それは魔力を流したりしていないのだろう?」


「そうっすよ!これは扱いに慣れれば誰でも使える武器っす!」


そう話したノアにエド閣下は僅かに目を見開いた。しかしすぐに表情を元に戻すと口を開いた。


「ノア君、イブキ君。この武器のことはこの世界に来てから誰にも話していないね?」


「もちろんっす!エド学長に話したのが最初っすよ!よければこれで最後にすることもできるっす!」


ノアは少し不思議な言い回しをして回答する。もう二度と話さないという脅しではない。どちらかと言えば提案だ。銃の有用性は先ほどの会話で認知されただろう。だからこそ他には漏らさずにいることもできるということを提案することでノアはエド閣下に何かをねだろうとしているのだ。


「……全く、ノア君は聡いね。娘にもノア君のように交渉が上手くなってほしいものだよ」


エド閣下は苦笑してそう言った。デニスさんは呆れたようにその顔を見ている。


「わかったよ。もとより君たちには特別な対応をすると決めていたんだ。今後は君たちをハードマン家の食客として招き入れようじゃないか」


「ありがとうございますっす!もちろんただ食客としているだけじゃなくてお手伝いできることがあれば何でもやるっすよ!」


「おいノア何でもやるのは」


「イブキ君、心配無用だとも。君たちはハードマン家にいて君たちの世界のことについて教えてくれるだけで我が家、いや国にとって有益な存在になると確信しているんだ」


ノアの勝手な決定に抗議しようと思ったがどうやらエド閣下は私たちに何かをさせようという意思がないらしい。しかし私も何もしないということはない。できることなら手伝うが、何でもは難しいというだけだ。おそらくこの世界ではエド閣下にお世話になることがほとんどだろう。その恩を返すくらいのことはさせてもらうつもりだ。


「ありがとうございます。決して損をさせることはないとお約束します」


私は見栄を切ってそう言った。ここで弱気を見せるのは違うと思ったからだ。ノアはそんな私を見て不敵に笑って見せた。


「君たちは良いコンビのようだね。僕たちにもそんな時があったよ。なぁデニス」


「記憶違いも甚だしいなエド」


こうして私たちはエードゥアルト辺境伯閣下の元でお世話になることが決まった。




今日はここまでにして明日からいろいろと試そうという話でまとまりかけたのだが、ノアの我儘でエド閣下に魔術の基本だけ教えてもらうことになった。ちなみにデニスさんは魔術を使うのは苦手ということで先に帰ってしまった。


「なんだか娘が増えたみたいで嬉しいものがあるねぇ!」


かなりご迷惑をおかけしているはずなのだが、エド閣下は嬉しそうにしている。なんでもエド閣下の娘さんは手のかからない大人しい子らしく、こうして我儘を言われることもほとんどなく育ってしまったそうだ。そのせいか娘さんと同じ年頃の私たちが面倒をかけても可愛らしく感じるのだとか。娘さんの特権を勝手に使っているようで申し訳ないのだが、ノアの熱意を鎮める力が私にはなかった。


「そういえば娘さんや奥さんはご在宅ではないのですか?」


「娘のエリカは妻と一緒に別の街に行っていてね。一週間もすれば帰ってくるさ」


「い、一週間……」


この世界では長距離移動は馬を使うのが一般的で、貴族ともなると力のある馬に馬車を引かせて移動するらしい。しかし私たちは自動車やバイク、電車や飛行機などの文明の利器に慣れすぎて時間のかかる移動は想像ができなかった。


「帰ってきたら紹介しようじゃないか。特に娘とは仲良くしてくれると嬉しいね」


「はい、ぜひにお願いします」


そんな話をしている間にノアは魔力を使おうと必死に坐禅を組んでイメージの練習をしていた。


「あの座り方は何か意味があるのかい?」


「雑然を取り払うような訓練の時にするものですが、正直意味はないと思います」


「イメージイメージイメージ……」


ぶつぶつと唱えながら集中するノアの顔には汗が浮かんでいる。汗をかいているのは多分坐禅のせいだからやめればいいのに。


「うーん、魔術を使うことはまだしも魔力の感覚が掴めないのは珍しいねぇ」


「それってノアが才能ないってことですか?」


「イブキッ!はっきり言うのは心に刺さるっすからやめるっす!」


集中していたはずのノアが血の涙を流しそうな勢いで叫ぶ。そんなに本気なのかよ。そんなノアを見つつエド閣下は少し考える素振りを見せる。


「才能がないのとは別の理由で魔力の感覚が掴めない人がいるにはいるんだけどね」


「それはどういった人なんですか?」


「病気や怪我で魔力が一時的に使えなくなる人もいるんだけど、それとはまた別の例外中の例外があってね。イブキ君、異端者はわかるかい?」


「いえ、わかりません。ノアはいろんな意味で異端者ですが」


ノアがすごい顔で睨んでくる。これに関しては事実だと思う。普通じゃないし。

それにしても異端者とはなんだろうか。宗教とかで独特で少数の人しか信仰しないものを信仰する人のことではないのか。


「魔術は下級から中級、上級、特級と分けられていて規模や精度によって分類が違うんだ。中でも特級魔術は最高位の力であり、魔法と呼ばれている。だから特級魔術を使える人は魔法使いと呼ばれ、多くの魔術師の憧れとなっているんだよ」


ちなみにエド閣下は魔法使いらしい。つまり特級魔術を使うことができるということだ。そもそもハードマン家は魔術に長けた者が多く、歴代の当主もほとんどが魔法使いであったらしい。エド閣下の娘さんのエリカさんも16歳にして魔法使いだという。


「そんな魔法に近い力を魔力を使わずに使うことができる人のことを異端者と呼んでいるのさ。魔力を使わないのも不思議だが、異端者は力を使うために代償が必要というところが不気味でね。世の中には悪魔と取引をした結果、代償を支払うことでそんな力を使えるんだという者もいるくらいなんだ」


ん?どこかで聞いたような話だ。魔法少女に負けず劣らずの力を対価を支払うことで使うことができる異能力者。それはつまり。


「すみませんエド閣下。ノアは異端者です」


「え!?そうなのかい!?」


流石に驚いたのかエド閣下は口をぽかんと開けてノアを見た。ノアはというと床に手をつき崩れ落ちそうな状態になっていた。


「ふふふ……超能力者は魔術が使えないっすか……そうっすかそうっすか……」


目に光がない。ここまで落ち込んでいると哀れに思えてくる。


「ノアは魔力の反応を目で見ることができる異端者なんです。私たちの世界では超能力者と呼んでいます」


「だ、だが代償はどうしているんだい?過去には急に血を吐いて死んだ者もいたほど危険な代償だと聞いているけど」


「超能力者の対価、代償は人それぞれで酷いものもあれば生活には支障のないほど軽いものもあるんです。ノアの場合は後者で、人よりカロリー……お腹が減りやすくなって食べる量が多くなるのが代償です」


エド閣下は呆然とした様子で私の話を咀嚼していた。この世界は超能力者についての情報は少ないようだ。


「ははは……まさか異端者の秘密がこんなにあっさりわかってしまうとは……」


「この世界でも異端者は少ないのですか?」


「ああ、人前に現れることはほとんどないね。というのも異端者は一部の魔術師から嫌われていてね。自分は努力して魔術を使っているのに異端者は魔法のような力を簡単に使うという理由でね」


「私だって努力して魔術を使いたかったっす……」


本気で落ち込むノア。しかし私は少し疑問を抱いていた。


「エド閣下。異端者は本当に魔術を使えないのでしょうか」


「イブキ君。それはどういう意味だい?」


「いえ、実は私たちが所属している組織には魔法と超能力、つまり魔法使いでありながら異端者でもあるという人が存在していたのです」


私の言葉を聞いていたノアははっとした様子で真剣な顔になる。寝転がりながらする顔じゃないから立ちなさい。


「ふむ、興味深いね。その人はどういう力を持っていたんだい?」


「アリサ師匠は光の魔法使いで回復魔法を使うっす。そして異端者としては物質……物をゼロから生み出す力を持っていたっす」


「それは……また恐ろしいほどにすごい力だね」


「対価は体の半分の神経が死ぬことだったっす。でも回復魔法をすぐに自分にかけることで復活するっていう化け物っす」


私も初めて聞いた情報だった。体の半分の神経が死ぬということは実質的に植物状態になる可能性もあると思うのだが、アリサさんってそんな化け物なの……?


「よ、世の中には人間とは思えない人もいるものなんだね……いや異世界の人だからかな?」


私たちのいた世界をアリサさんのような化け物がいっぱいいる世界だと思ってもらっては困る。アリサさんが特殊すぎるだけでノアも私も普通の部類の人間だ。


「聞いただけではわからないがその人は本当に異端者だったのかい?もし異端者に近いだけなら魔法を使うこともできるはずだよ」


「エド学長、私の目は異端者の力の反応も見ることができるっす。だからアリサ師匠は本物の異端者っす」


本物の異端者という言葉がそのままの意味を持って聞こえた。実際おかしいもんね。


「ふむ、異端者についてはわかっていないことが多いからね。そもそも私は異端者の代償が人それぞれであることもさっき知ったばかりだからね。君たちの組織でもわかっていないのであれば私にもわからないさ」


「そうですよね、すみません」


「いやいいんだ。むしろ教えてもらったからね。おっとそういえば、イブキ君は魔術を使わないのかい?」


私を見ながらエド閣下が不思議そうに首をかしげる。


「私は無意識に魔法を使っているようなんですが、自分でもそれをどうやっているのかわからないんです」


「なるほど……では少しこれを見てもらえるかい?」


そういうとエド閣下は本棚から一冊の本を取り出しページをめくり始める。


「ええと、これだ。これは下級魔術で水属性の魔術についてのページなんだけどね。さっきノア君に教えていたことをイブキ君も思い出しながらやってみてほしいんだ」


そのページを見せてもらうと何やら文字のようなものと図というか挿絵のようなものが載っていた。文字のようなものは日本語でも英語でもないようで全く読めない。しかし挿絵の部分からなんとなく内容は理解できる。どうやら水を手元に集めるイメージのようだ。


「わかりました。やってみます」


エド閣下がノアに教えていたのは簡単な理論だった。魔力という力をイメージという設計図通りに使うことによって魔術が発現するというもの。イメージが強ければ強いほど上手く扱えるということだった。


「イメージ……水のイメージ……」


目を閉じて集中する。その時、私はラボで光の球を出すように言われた時のことを思い出していた。そういえば光とはなんだったか。確か粒子であり波でもあるという話をテレビで見たような気がする。そんな知識をラボでは一切思い出すこともなくひたすら手に力をこめるばかりだった。

しかし今回は明確に水そのもののイメージをする。水とは酸素と水素の化合物であり、空気中には湿気という目に見えない形で漂っている。その水を私の手の上に球体として集めるイメージで……。


「い、イブキ!水が!水の球ができてるっす!」


「ほう!これはなかなか筋がいいね!」


ノアとエド閣下の声を聞き、私はゆっくりと目を開いた。すると目の前にはバレーボールサイズの水の球が浮かんでいた。上を向けて出した手を動かしてみる。移動させた手と一緒に水の球もついてくる。


「これは成功、ですか?」


「ああ!大成功だとも!初めて作る時は指の先ほどの小さな水滴から始まるものなんだけど、イブキ君はかなりの腕を持っているようだね!」


エド閣下にそう言われ実感がやっと湧いてきた。私は魔術を使えるようになったのだ。もしかしたらノアは悔しがってるかな。そんなことを思いつつノアの方を見ると想像していた表情とは全く違い、不思議そうな表情をしていた。


「ノア、何か変なところでもあった?」


「イブキは気付いてないんすか?今のイブキは私の魔眼で見ても魔法使いの反応があるっすけど、運がよくなってる時の反応とは別で見えてるっす」


「それってどういうこと?」


「多分っすけどイブキの元々の異能力と今の魔術は別物っす」


ということは私は魔法使いであり正体不明の異能力も使う人間になったということになる。それってあんまりよくないんじゃないか。主にその希少性で狙われる可能性が高まるという意味で。


「ノア君の言っていることはよくわからないが、イブキ君の無意識で使っていた力は魔術ではなかったということかな?」


「そういうことみたいです。といっても私もわからないんですけど」


「まあ良いじゃないか。今は魔術師になったことを喜ぶべきだと思うよ」


「それは……そうですね。私、魔術師になりました」


思わず笑顔を溢して喜んだ私にエド閣下もノアも一緒に笑って喜んでくれた。

その後はエド閣下の計らいで豪華な夕食をいただいてしまった。味付けは塩と少々の胡椒、少しのハーブ類くらいのものだったが料理人の腕が良いのか美味しく食べられた。こういう素材の味をしっかり引き出した料理ができるのは良い料理人である証拠だ。私の両親も料理人をしているからこそそれがわかった。

夕飯の後にはお風呂までお借りしてしまった。体を洗うのに石鹸やシャンプーのようなものはなく、湯浴み程度のものではあったがそれでも疲れを癒やせたのはありがたかった。途中自分の髪に白いものが増えていたことに気付いた私は動揺したからか滑って転んでしまったのだが、特に怪我もなく恥ずかしくなっただけで終わった。

そして夜、部屋を一部屋借りて寝ることとなった。ノアもいるので本来は二部屋借りるべきだったのだが、ノアが「せっかくなら一緒に寝るっす!」などと言い出して勝手に断ってしまったのだ。今からもう一部屋借りたいというのも申し訳なく、結局同じ部屋で寝ることになった。ノアの発言から気を使ったのかダブルベッドを用意しようとしていた使用人にベッドだけツインベッドにしてもらうようにお願いした。寝る時までストレスに苛まれたくはない。




「ノア、帰れないのは最悪いいんだけどさ。私明日学校あるんだけど」


ベッドで天井を見つめながらノアに話しかける。異世界に来てしまい帰れない状態ではあるが忘れてはいけないことがある。今日は日曜日の夜で、私は女子高生なのだ。いくら異世界の貴族の下でホームステイすることになっても、魔術を使えるようになっても、私は女子高生であり学校で学ぶ必要があるのだ。


「それは大丈夫っすよ。ラボに職員登録した時点で私たちの活動中のことは周りに上手く誤魔化してくれるっす」


「学校だけじゃなくて家族もいるんだけど」


「ご家族には大体の場合、研究機関からのスカウトで面接をしてるって感じに誤魔化されるっす」


「嘘ついてるみたいで嫌だなぁ……」


「嘘つかないと異能力がバレるじゃないっすか。しかも研究機関からのスカウトは嘘じゃないじゃないっすか」


「そうだけど……」


「何も心配せずに寝るっすよ。明日からも多分大変だと思うっすから」


「……そうだな」


「じゃあもう寝るっすよ。朝起きられないなんてことはやめてほしいっすよ?」


「うん。それよりもさ」


私は意図的に眺めていた天井からノアの方へ目を向けてキッと睨みつけた。


「なんで全裸で私の方見てんだ!気持ち悪いぞお前!」


「私はいつでもばっちこいだってことをアピールしてたっす!」


そう、ノアはずっと全裸でベッドに横たわり私の顔を見つめていたのだ。きちんと寝巻きは借りているのだが、ノアは畳んだ状態で枕の横に置いていた。居心地が悪いことこの上ない状況だった。


「誰も何もしねぇよ!ずっとその状態だったらおちおち眠れもしないよ!風邪引く前に服着ろよ!」


「眠れないって私に興奮してっすか?イブキってば正直なんすからぁ!すぐ疲れて眠くなるっすから私に身を任せて横になってるといいっすよ!」


「もう既に疲れて眠いんだよ!お前という危険さえなければ秒で寝てるところだよ!」


「ところでこの部屋って防音なんすかね?イブキが声大きかったらエド学長にもバレて昨夜はお楽しみでしたねって言われちゃうっす!」


私はこの時点で眠気の限界が来た。さっさと寝なくては本当に朝起きることが難しくなってしまう。私はよろよろと立ち上がるとノアのいるベッドへ向かう。


「いっ、イブキ!ついに私を求めてくれるっすか!いいっすよ!しっかり私は心の準備してるっすからイブキが望むならどんなプレイでもぶべっ!」


何やら喚いていたようだがもう眠気でわからなくなっていた。とりあえずで私はノアに一発入れてやった。喋らなくなったノアを確認すると雑に布団をノアにかけて自分のベッドに戻った。目を閉じるとすぐに眠気が襲い掛かり、私は深く優しい闇の中に意識を溶かしていった。

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