【諺】ショートショート「亀を一色単にしないでくれ」
saito sekai
1話完結
ここはある草原。伝説の兎がいた。ライオンからも、あのチーターからも逃げ切る脚の持ち主だった。
草食動物運動会での徒競争はブッチギリの一等賞、テープを切る瞬間をカメラに収めようにも、シャッターが追い付かない程。
それを不気味な迄に観察する一匹の亀がいた。そして何を思ったか、崖に登り、その上から転げ落ちたのだった。硬い甲羅のお陰で、かすり傷のみですんだのだったが…
そして閉会式の最後の挨拶、校長の山羊は亀の話題を出した。
「いくら兎がかっこよいからといって、“雁が飛べば石亀も地団駄”という諺にもあるように、自分の分際を忘れてむやみに他を真似ないように」失笑が漏れる中、その亀は大声で言い放ったのだ。
「石亀?私はマタマタという種類の亀ですよ‼️」
一瞬の沈黙が流れた。(マタマタ…聞いたことないなぁ)そう思った皆はスマホで検索しだしたのだった。完
【諺】ショートショート「亀を一色単にしないでくれ」 saito sekai @saitosekai
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