血が滴る花は生き帰らない
千歳小雪
プロローグ
その男は、逮捕されることに抵抗することはなく、
寧ろ、全てを受け入れた表情をしていた。
連続殺人事件の真実にたどり着き、男に手錠をかけた
「彼女たちは、当然の報いを受けたんだ。」
手錠をかけた際に男が発した言葉だった。
その言葉は、まるで呪いのように、自分自身に言い聞かせているように飯塚には聞こえた。
「罰を下すのは、お前じゃなくて法律だ。」
いつもの俺ならこう言っただろう。
しかし、口が半分開いただけで、何一つ言葉は出なかった。変な汗をかき、それがぽつりと地面に垂れた。
もし仮に言っていたら、彼はどんな反応をしただろうか。
法律がおかしい、と怒っただろうか。
それとも、あなたらしい、と笑っただろうか。
今、俺のしていることは本当に正義なんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます