45.眠り現れる二人
「もうお腹いっぱいですぅ!!」
「久しぶりにこんなに食った気がするな」
談笑をしながら食事を楽しんだハルト達。
リルが食べ終わったのを確認してみんなのお皿を一箇所にまとめる。
今にも皿をどこかに片付けようとしているリルを見てラムネが「調理場にてきとうに置いといてください〜!」と言った。
返事をしてリルは椅子から立ち上がり皿を置きにいった。
「このあとはどうするか」
「お風呂に入りましょう〜! ここのお風呂は四人入れますよ!」
「いや、流石に俺はあとで入るからな」
「ケチですねぇ〜! じゃあシノさんとリルさん行きましょう!!」
「あ、私はあとでいいよ」
「ん〜じゃあシノさん行きましょう」
「仕方ない」
ラムネとシノが風呂に向かおうとした時ハルトがラムネを一度引き止める。
ラムネは「どうしたんですか?」と振り向くとハルトは「部屋って二階にあるのか?」と聞いた。
それに対してラムネは「そうです! 二階にある部屋ならどこを使っても大丈夫ですよぉ!」と言ってシノと一緒にお風呂の方へ向かっていった。
残されたハルトはリルと一緒に部屋でも見に行くかと提案したが「私はお皿を洗うから!」と言われ仕方なく一人で二階へと向かった。
二階に上がるとまっすぐな廊下がありその両サイドには部屋の扉が四個ほどあった。
そのうちの階段に一番近い部屋の扉をハルトは開いた。
中はベッド、机、椅子などといった必要最低限の物しか置いておらず部屋が異様に広く感じる。
ハルトはさらに部屋の中へと入りベッドの上に座った。
意外にもふかふかしているうえにさらさらで少しひんやりしている布団。そこにハルトは寝っ転がる。
あまりにも寝心地がよくハルトは次第にうとうとし始める。
そして気づけばそのまま眠っていた。
@@
(!? やべっ。寝てた……。どれくらい寝てたんだ?)
目を覚ましたハルトはベッドから降りて部屋を出る。
そして階段を降り一階に向かった。
一階にはシノやラムネの姿はなくどうやらまだお風呂に入っているようだった。
ご飯を食べた所に行くと机に突っ伏しているリルの姿があった。
ハルトはリルが何をしているのかと思い何度か名前を呼ぶが返事がない。恐らくリルは眠っている。
布団に入らないで眠っていたら風邪を引いてしまうのではと思ったハルトはリルに近づいてコートを脱いだ。そして脱いだコートをリルにかける。
コートをかけたハルトはなぜかリルの頭についているリボンが気になってしまいずっと見つめていた。
特に深い理由はなくハルトはそのリボンに触れた。
思ったよりリボンの感触はふわふわしていた。
その時お風呂の方から大声でラムネが「ハルトさぁん!!! ちょっと棚に入ってる布を何枚か持ってきてください!! このままじゃ私達出られません!!」というのでハルトは「待ってろ〜!」と言って棚を漁り布を持ってお風呂場へと向かった。
一方机に突っ伏していたリルは小声で「と、友達でもあ、頭を撫でようとするのど、どうかと思うなぁ……」と顔を赤らめて言っていた。
一方、お風呂に向かったハルトはというと……
「ハ、ハルトさん!! 私の裸を見たいからっていきなり来るなんてえっちですよぉ!!!!」
「いや、お前が布持って来いって言ったんだろォォ!!!!」
@@
ここは薄暗い森の中。
そんなところを二人の男女がどこかへと歩いていく。
「僕は成し遂げる日が近づく度に心が踊って眠気を損なってしまう」
「そんなんだからいつになっても成し遂げられないんじゃない? ちょっとは理解した方が言いと思うな〜。んまぁ、私は成功しようが失敗しようが楽しければそれでいいんだけど」
「相変わらず自分勝手なやつだな」
二人は歩いていると目の前になにも無いというのに先へ進むことができなかった。
「結界の類か。でも結界を生成している源はどうやら近くにはないみたいだ。そんなんだと簡単に破れてしまうっていうのにな」
男はそう言うと前に手を伸ばした。
すると
パリン!!
というガラスが割れたような音が響いた。
「もーちょっと派手にやれないもんなの? 地味すぎてつまんなーい」
「楽しみは後に取っとく方が面白いんだ。そう思わないのか?」
「ふ〜ん。んまぁ、私は先に楽しみたいんだけどね。一回楽しくなっちゃえばそのあとも絶対楽しいもん!」
「残念な考え方だな。面白さはクライマックスで発揮するものだというのに」
「私とあんただと相性が最悪すぎてなーんも楽しくなーい」
「そうか? 僕は凄く楽しいと感じるがな。君がいればこれからもっと面白いものが見れそうとも思っている」
「それは保証してあげる。ここからは私のステージ! 私の楽しいだけが集まってるの!!」
「それは期待だな。なら僕もクライマックスだけに味わえる楽しみをそのうち見せるとしよう」
少し歩いているととてつもないボロい家が並ぶ場所へとたどり着いた。
男はひとまずどこかの家を調べようと扉に手をかけるとその扉はビクともしなかった。
辺りをキョロキョロしていると一つだけ扉が空いている家があるのを見つける。
そこの家に行き中に入ると誰も居らず男は扉を閉めた。
「さてさて皆、目覚めの時だ」
「んふふ! ここからは夢も現実もぜーんぶ交差しちゃう!!」
床に座った二人はそのまま眠りについたのだった。
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