「CAMPUS」
風月 結花里(ふづき ゆかり)
第1話 母、大学に編入する
私は福祉系の専門学校を卒業してから、なかなか就職が決まらず、フリーターとして働いていた。某テーマパークで働いて、元旦那と付き合うようになり、交際1年目で妊娠発覚、授かり婚で結婚した。
息子も小さくて、育児もあり介護職は不規則なので無理だよねと思い、息子が小さいうちは短時間パートの仕事をしていた。元旦那とは性格の不一致とすれ違いから息子が中学入学すると同時に離婚した。
現在息子は22歳、一浪したのでまだ大学3年生。
シングルマザーとして手当や補助金や奨学金、元旦那からの養育費などを貰い何とか大学まで行かせることができた。
息子もバイトをして家計を支えてくれている。
息子が大学に入学する時に祖父が残してくれた遺産も追加され、ここまでこれた。
私は専門時代に資格を取った介護福祉士資格を活かして、7年半ほど働いていた。介護の仕事はやりがいがあるけど、どうせならもっと広い世代の人を支援したいと思うようになり、社会福祉士の資格を取りたいと息子を育てながら思っていた。
ここまで育児をしてきて、やっと息子も手を離れ、もう一度資格取得にチャレンジしたいと思い、仕事をしながら1年で学費を貯金した。息子に相談すると、
「お母さんもここから、頑張ってもいいんじゃない?やってみなよ。」
と二つ返事で賛成してくれた。
社会人をしながら、通学制の大学に通うのは無理があるので、インターネットで検索して学費が1番安くて、居住地の隣の市にある通信制の大学に入学を決めた。ついでに、社会福祉士と共通科目もある精神保健福祉士も一緒に資格取得を目指しちゃえと、W受講を決めた。
母校から卒業証明書や成績証明書を取り寄せ、調べると大学3年次編入学があるので可能なようで、私は大学3年次編入学をして、4月の春学期生として入学する(2期制で秋学期10月入学もあるが敢えて4月からにした)。
専門学校とは違い、同じ福祉系ではあっても、専門的な知識と科目数もとても多くて、かなり大変だと思うが、バイト先も実務経験を選べるものにしようと決めた。本業の学業と両立できるように、敢えて非常勤の仕事を選んだ。2年で卒業できるように、全力で本気出すぞ!と心に決めた。これから始まるキャンパスライフに希望と不安を感じながら、入学式当日、校門をくぐった。
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