第2話

異性の幼馴染で、同い年で、お隣さんで……

そんな素敵な条件を揃えている幼馴染は黒ギャルビッチだ


そのため、幼馴染とのキャッキャウフフな幼馴染ライフは涙を飲んで

諦めたわけだけど、ウチの母は何かと幼馴染であるリオとくっつけたがっている


それも仕方の無い事で、ウチの母とリオの母は仲が良いものだから

自分の子同士をくっつけようとお節介をしたくなる気持ちも理解できる


ただ、黒ギャルビッチと言う部分に引っ掛かる俺と

アンタ童貞なんだからリオちゃんくらい経験豊富な子の方が良いでしょうと

考えている母とで意見の相違があるだけで。


そう言う訳だから、今もリオとくっつけようと考えている母の策略により

商店街への買い物を押し付けられてリオと二人で買い物中。

こうして何度かリオとは買い物をさせられたりしているけれど

特にイベントらしい出来事はなく、母の策略は失敗続きだ


「歩きスマホは危ないぞ」

「そん時はタクヤ助けて~」


さらに言えば、リオはスマホをポチポチすることに忙しいらしく会話もさほどない

仕方なく向こうから歩いてくる歩行者とぶつからないよう、リオの腕を引いて

こちらへ寄せる


母としては二人イチャイチャしながらの買い物を想像しているだろうけど

スマホに集中するリオをこうしてコントロールしていると

犬のリードでも引いてる気分だ


「そろそろスーパーに着くぞ、買う物は……」

「ちゃんとスマホにメモしてあるから大丈夫~、それよりコロッケ買おうよ」

「まずは買い物だろ」

「え~、荷物あるとコロッケ持て無いじゃん」


それもそうだなと思い、昔からやっている総菜屋へと寄る


「すみません、コロッケ二つお願いします」

「あいよ。ふふっ、二人とも久しぶりだけどそろそろ付き合い始めたかい?」


揚げたてのコロッケを袋に詰める総菜屋のおばちゃんに

何度か聞いた質問を投げかけられる


「え~っと……」

「タクヤ甲斐性無いからね~」


何と答えたものかと毎度困る俺とは違い、リオはこうしてさらっと流す

その辺はだてにヤリまくってないなと思う……そんな事言ったらビンタされそうだが


「あらま、こういうのは男の方からグイグイ行かないとダメだよ

 おばちゃん応援してるからね」

「は、はぁ……」


おばちゃんに応援されて困惑する俺の横で


「うまぁ~、やっぱここのコロッケ美味しいわぁ」


と、のんきにコロッケを頬張るリオ


「本当に美味そうに食うよな」

「当たり前じゃん、それに太るからあんまり食べられないし」


意外だな、と内心思いつつリオの身体をまじまじと見る

普段俺の部屋でごろごろしているだけだから忘れてしまうけど

気を使う所は使っているらしく、スタイルは良いんだよなと思い出す


いつ頃だったか、水着の写真を見せられ

『どうどう?Fカップ~』

と自慢げにしていたのを一緒に思い出した


「はぁ……」


揚げたてで湯気の登るコロッケを見て、こっそりため息をつく

何気に顔も整ってるんだよな、それでFカップ……

これで黒ギャルビッチじゃなければなぁ、と思った所で


いや、仮に黒ギャルビッチじゃなければ普通に美少女になるけど

その場合、俺と付き合いたいと思ってくれるんだろうかと考えてしまった

……それについては考えないようにしよう、夢がない


「何ぼーっとしてるの?……はむっ」


考え事をし過ぎたらしく、すでにコロッケを食べ終えたらしいリオが

こちらを覗き込むついでに、まだ手つかずの俺のコロッケにかぶりついていた


「……俺のコロッケなんだけど?」

「んっ……要らないのかと思って」

「そんなわけあるかい」


リオにかじられたコロッケを慌てて食べる

間接キスと言うやつだけど、あまり意識するとからかわれそうなので

気にしないことにする


「ほら、買い物行くぞ」

「ほ~い」


スーパーへと到着すると、自然な流れでカートを押す

その辺りはいつの間にか役割分担されていてリオは商品を集める係だ

ただ、毎回買い物とは関係の無い物を必ずと言っていいほど持ってくる


「お菓子はリストに無いぞ」

「タクヤママは多めにお金持たせてくれてるんだから良いじゃん~」


実際母は自分たちの好きな物も買って良いと言う事で多めにお金を渡してくれている

ため、小言は言うけれど返して来なさいとは言わない

……こういうやりとりをしていると、恋人同士と言うより駄々をこねる

子どもの相手をする親の気分だぁと思ってしまう



そんな風に、母の思惑とはおそらく違うであろういつものやりとりをリオと交し

買い物を終えて家に帰宅する


「ただいま」

「二人ともお帰り。リオちゃん、今日はウチでご飯食べて行きなさいな」

「はーい!着替えてきます!」


隣で元気よく返事をするリオを見ながら

そういやこうして一緒に夕食を食べる事もちょいちょいあるんだよなと

思い出す。そして


『サポートはお母さんに任せない』


そう言いたげに、満足そうな表情でこちらを見る母に

俺は微妙な表情をしていただろうなと思う……

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隣の幼馴染は黒ギャルビッチ @Fechi_tarou

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