第22話:夢の中で
夢を……見ていた……
懐かしい……とても懐かしい内容だ……
「ええっと……これはどういう状況かしら?」
U-14戦(14歳未満出場レース)で4位の成績を収めた私は、レース後の公園でひと眠りしていた
表彰式には出られなかったのでインタビューは特になく、賞金だけ貰ってそそくさレース場を後にし近くにある公園で疲れた身体を休もうと来たのである
そして、目覚めると私を抱きしめるように一人の小柄な少女が隣で眠っていたのであった
私と同じ金色の髪の少女。その寝顔はあどけなく、愛おしいかった
正直言って、今まで見てきた子の中で一番に可愛い
「おーい。起きてー起きなさーい」
少女からゆっくり離れ軽く揺する
するとその少女はパッと目を開け太陽のような笑顔で私を見たのであった
「あ!おはようホープ!」
凄く馴れ馴れしかったが、不愉快な気分を一切させない不思議な子だと私は思った
「お、おはよう。というかどちら様ですか?」
「私はレイナ!貴方の大ファンなの!」
悪い気分じゃないけど奇妙な子ね。でも私まだデビューして間もないのだけどファンが着くの早くない?
「それはどうもありがとう。ところでレイナ、何で私に抱き着いて寝ていたの?」
「え?大ファンのホープが無防備に寝てたから。あと抱き心地が最高だったから」
そう言って、再びレイナと名乗った美少女は私に抱き着いてきた
ふわっと甘い香りが私の鼻をくすぐった
「えらい積極的な子ね。ところで、私のファンと言ったわよね?こう言っちゃなんだけど、私って飛行少女の中でも成績悪い方の選手なのよ。どこに魅力を感じたのかしら?」
デビューして今日を含めて3回目のレース
結果は全て掲示板入りしているが4着か5着だ
複勝に絡んだ事など一度もない
さらに抜きんでた才能やこれと言った技もない
「私、野良試合から貴方をずっとみてたの!それでファンになった!」
「え!?ちょっと!まさか貴方、もしかして飛行少女なの?」
一応、最新の注意を払って賭け試合を挑んでいたんだけど……ばれてたのかしら?
「ううん。ステルスドローンで画面越しにホープを見てた!暗闇の中、相手を追い込むかのように飛翔するホープ!凄くかっこよく見えた!」
目をキラキラさせながらはしゃぐレイナ
あーそうか。暗視カメラ付きドローンを使えば、見れるわよね。何で気付かなかったんだろ私……
かなり抜けてるわね
一応賭博に緩い時代になったとはいえ、国家機関に見つかるとややこしいもんね
「大丈夫!映像は私しか見てないから!でね、ホープの飛ぶ姿が美しくて、ずっと見てた!それでホープが飛行少女としてデビューしたから正式なファンとしてここに来た!」
これは可愛いくて熱狂的なストーカーさんだ
でも、この態度からして賭け試合をしているという事実は知らなさそうね
というかこの子、凄く純粋そうだから賭けという概念を知らない可能性も高いわね……
「そ、そう。嬉しいわ。でも隠し撮りされた身としては、それは駄目な事だと思うわ。今度からは私の許可を得て撮影してね」
「うん!」
それが、私とレイナの出会いだった
今思えば不思議な出会いだったな……
この頃から私はレイナに興味と好意を抱いていたんだなーと思った
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