第20話:報道陣とホテル

神戸港を出ると、多くの報道陣が私とイーグレットを取り囲んだ




「あ!精鋭の飛行少女であるホープ選手とイーグレット選手が今神戸港に到着したようです!」




カメラの強烈なフラッシュが休む間もなく連続で浴びせられる




「ホープ選手!目線こちらにお願いします!」




「イーグレット選手!明後日に開かれる御影賞について何か一言!」




「ミラクルチャージ選手の意思を引き継いだと聞きますが、本当でしょうか?」




「金と銀の対決についてもコメントお願いします」




うわー予想通りの展開。……レイナをマルゲリータ達の車に乗せて正解だったわ




「あーええと、先輩の意思を受け継いだとか、どこ情報ですか?」




「そういう噂が流れてます!なにせホープ選手は直々に紹介状を書いて貰ったとか!」




「それは真実ですね。でも意思を受け継ぐは違います。私は、私のしたいように空繰遊戯をやっていますので、訂正しといてください」




「ええ!それじゃあ困りますよ!意思を引き継ぐとか一番の王道胸熱展開じゃないですか!」




知るか!




「ではイーグレット選手、先ほども言いましたが、御影賞について一言お願いします」




「そうだなー。俺としてはホープと競争出来るいい機会だと思ってるぜ!何せスケジュールが合わないせいで全然競えなかったからな!」




そう言って私を抱き寄せるイーグレット


そして再びフラッシュが連続して強く光る




「お二人は本当に仲がいいんですね」




「おうよ!私とホープは永遠のライバルってやつさ!なあ、ホープ!私と対戦出来て嬉しいだろ?」




「そ、そうですねイーグレット。あと、報道陣の前では敬語使いましょうね?」




こいつはインタビューでも誰でもため口で喋る。昔から困った奴なのだ






報道陣に別れを告げ、レイナ達と合流する




「そういえばマルゲリータはなぜあの船に乗っていたの?備前国から神戸連合郡まで電車の方が早く付くのに」




「まあ、ちと用事で南海道に寄っていたんやわ。んで、そのまま神戸まで行くんやったら、連絡船の方がええと思ってな。長時間運転はどうも苦手でな」




運転しながら陽気に応えるマルゲリータ。助手席ではコスモがワインボトルを直飲みしていた




「泊まる所はシーサイドホテルでええんやな?」




「ええ、先輩の送ってきた招待状に宿泊券が挟んであったわ」




「うちらもや。どうやら飛行少女は全員このホテルで泊まるようやな」




「ブロッサムやシーブリーズは既に宿泊済みでトレーニング漬けの毎日を送ってるわー」




「シーブリーズも!?」




鬼人の先駆者シーブリーズ。レースでは好成績を残す彼女が猛特訓ってどういうことなのだろうか?




「逃げのスタイルを最高に仕上げたいらしいわよー。特に前回ホープちゃんに負けたのが相当応えたみたいねー」




「ふーん。ところでよーアンタは応えたのか?」




「そうねぇー。私は驚いたけど、それらしい能力が酔って最大火力を出すだけだからねー」




「ねえねえ、コスモー。それ何本目?」




「うーん。10本目だよーレイナちゃん」




「飲み過ぎると早死にするで」




「だいじょーぶ。まだ酔い状態に入ってないからー」




ホテルに着きチェックインした後、私はレイナを連れて街を歩く




「じゃあ、ホープは昔この辺りにいたのね!」




「うーん。住んでいたというか、野良試合をしにここを往復していたに近いかな」




12歳で学園を卒業した私は、その後就職せずに野良試合で金を稼いでいた




南海道で賭け対象がいなくなると、私は難易度の高い備前国を避け、勝てる可能性のある神戸連合郡に渡ったのであった




その後は上手い事に連戦連勝。向こう側も素人相手に負けたとなれば恥となるので絶対に口外しない




金は貯まりに貯まった


そして、その金で秘密裏にパチスロや麻雀などギャンブルに金を使い、また増やすという今考えたら完全にアウトな事をやっていた




しかし14歳になった時に先輩に敗北し、正式に選手として今に至るのである




「でもホープ凄いね!ミラクルチャージに認められるってほんの一部らしいわよ!」




「ありがと。……さて、私のよく通っていた酒場に着いたわよ」




目の前に見えるは野良試合後に通っていた大衆酒場




酒以外の飲み物が豊富で、活気の溢れていて、いい思い出6割のお店




その酒場のドアを私は開けた




「いやー!訓練の後の酒は美味いよな!ささ、お嬢ちゃんも飲んで飲んで!」




「助けて……助けて……」




そこには高身長な女性に絡まれるブロッサムの姿があった




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