『最近、原因不明のレベルアップに悩まされている。』

善良トネガワ

第1話 最近、原因不明のレベルアップに悩まされている。

 レベルアップという言葉を聞いたことがある人は多いんじゃないかと思う。

 某ドラ●エやポケ●ンなんかでも目にするアレ。

 

 強くなったり、魔法が使えるようになったり、はたまた移動手段が増えるなんてものもある。


 ともかく便利になるアレだが、最近悩まされている事がある。

『レベルが上がりました。』

 最近、この一文が鳴りやまない。

 ゲームなんかでは無く・・・現実で。



 都内に住む普通の高校2年生・凛。

 それが俺のありふれたステータスだ。

 部活には入っておらず、趣味は寝ること。長所はどこでも寝れること。

 恥ずかしくないのかって?

 二歳年下、中学3年で容姿端麗、成績優秀の妹が居るがそんなことは関係ない。

 埋めがたいステータスの差も夢の世界なら関係ないのだ。


 

 そんな俺の素晴らしくも気が滅入りそうな日常を邪魔する者が現れた。

 そいつはどうも現世に囚われた不器用貧乏である俺の唯一の楽しみを奪っていきたいらしい。



『レベルが上がりました。』


 

 どこでも寝れる体質の俺はある程度の騒音には耐性がある。

 近所で工事をやってる時も、近所で喧嘩があった時も、ホームルームで荒れ狂う担任の叩きつけるような怒声が響くときも!

 火の中水の中、大怪獣の腹の中でさえも寝れる自信があった。

 過酷な?環境に耐えてきた精神はもはや、仏も唸るほどである。(自称)


 

『レベルが上がりました。』


 

 

 しかし、どうもこれだけは頭に直接響いてくる。

 一度、母に真面目に相談したのだが・・・


 「ゲームのやりすぎでおかしくなってるのよ。少し控えてみたら?」


 と、至極真っ当な事を言われてしまった。

 ゲームの類は確かに恐ろしい。

 とくにソシャゲは睡眠が大好きな俺の時間さえ時に削ってしまう事もある。

 これは俺の中でしっくりときたので、その日からはゲームは一回もしていない。


 ・・・だが、それでもなお俺の頭には響くのだ。


『レベルが上がりました。』



 

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