『アルケミスト』(角川文庫)パウロ・コエーリョ【★★★】

「~夢を旅した少年~」という副題に惹かれて購入しました。


 神視点で綴られた、羊飼いの少年サンチャゴが、ピラミッドの傍に宝物が埋まっているという夢をキッカケに、旅へ出る物語です。


 少し読み進めただけで、物語の中へ入り込めました。


 少年の旅がしたいという気持ちに、私が共感できたからかもしれません。


 「夢が実現する可能性があるからこそ、人生はおもしろいのだ」

 「自分をしばっているのは自分だけ」

 「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」

 「何かを本当に欲すれば、宇宙は常に、お前の味方になってくれる」


 文中のいたるところに、胸をすくような言葉が溢れて止まりません。


 本を読む羊飼いの少年……なんってロマンティックなの!!✨


 少年は、夢を見る。そして、夢のお告げと、謎のおじいさんからの助言に背中を押されて、それでも自分の選択で、宝物を探しに行くことを決める。


 この序盤だけでもう物語の魅力に憑りつかれます。すげぇ……。


 これは……私が書きたい物語だ。 


「きっと神は、人間がなつめやしの木をありがたく思うために、砂漠を作ったのだろう」


「おまえの心に耳を傾けるのだ。心はすべてを知っている。それは大いなる魂から来て、いつか、そこへ戻ってゆくものだからだ」


「人は、自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。」


「夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ。」


 愛が、人により良くしたい、と思わせる。人がよくなれば、世界もよくなる。

 世界は一つなのだ。

 だれもが、奇跡を起こすことが出来るのに、それを知らないでいる。


 ……そんなメッセージ性を、私は受け取りました。


 クライマックスで、少年が風になろうとするシーンは、素晴らしいですね。


 最後に、少年が宝物を手に入れることができたのかどうか、是非あなたの目で確かめてみてください。


 読んで絶対に損はしない作品だと思います。


 今度は、『星の巡礼』を読んでみたいですね。

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