『さようなら』(青空文庫)田中英光【★】

 筆者の言葉を借りると……

 「遣切れぬほど無知で不潔で図々しい日本人たち」でも私はいいと思うし、それこそ人間くさくて、生きている感じがして好ましく感じるのです。

 「生命の尊厳さや愛する人たちへの責任感をしきりに忠告する自分の理性」とありますが、私は、それを「理性」ではなく「生きるための本能」と捉えます。


 祖父や祖母の死に顔を忘れている筆者……私は、まだ4、5歳の頃に祖父を交通事故で亡くしているのですが、未だに、祖父の死に顔を覚えておりますね。

 なんというか、この筆者は、死に対して面と向かえない、目を背けてしまう弱さ、を抱いているのでしょう。


〝いつか「さよなら」せねばならぬとの実感があった頃は、どうしてもリエに、「さようなら」できなかったのが、反って彼女と、「さようなら」できぬ道徳的義務感みたいなものを自覚するようになると、急いで彼女から、「さようなら」したくなったのだ。〟


 最低じゃねぇか( ºωº )

 要は、心からリエを愛していたわけではなく、手に入らないものだから欲しいと思っただけで、その背徳感を愛し、手に入ってしまえば、それを守るべき義務から逃げようとする筆者の浅ましい自己愛しか私は感じませんでした。


 かわいそうなのは、四人の子供たちだよ。


〝こうしてぼくは三十七歳の興まで、幾度か何人かの親しい人たちに、「さようなら」してたのが、そろそろ、ぼく自身、この世に、「さようなら」する順番となったようだ。〟


 え? なんで?

 〝こうして〟って繋がる部分が全くわからないのですが💦

 自分勝手な男が自分勝手に死のうとしているだけにしか見えません。

 男性なら共感できるものなのでしょうか?


 ……って、結局、死なんのかいっ!ヾ(°∇°*)

 〝「さようなら」します〟と何度も言っておいて、〝ぼくはどこかに必ず生きています。〟とあるのは、そういうことですよね?(・ω・;)


 〝どんなに遣切れぬ至難な事業であろうとも――。〟


 という最後の一文は、共感できました。


 戦争でたくさんの命を奪ってしまった、自分は生きる価値もない男だ、とかいう理由で自殺してたら、私がこの作品に「さようなら」してましたね。

 まぁね、これはかなりデリケートな問題だと思いますので、あまり声を大きくしてはいけないと思うのですが……(炎上しそうで💦)。


 私は、自殺する人の気持ちを理解できないの人間です。


 いやね。世の中には、いろんな苦労や辛いことがあって、それ以外に選ぶ道がない、となる人がいることは重々承知していますよ。

 そういう人たちを否定しているわけではないので、誤解しないでくださいね。

 私は、自殺する人に共感できない人間だ、と言っているです。


 幸せ……なんだと思います。

 そう思えること自体が既に幸せなんですよ、たぶん。

 そして、私は、自分のことを幸せだとしている人間です。

 そういう人間が、「人間失格」を読んでも理解できんのですわ💦

 主人公の言動となる気持ち、根拠に共感できないんですから。


 生まれて、ここまで生きて来て、たくさんの命を奪って、与えられて、自分は生きているんですよ。

 だから、ここで死んだら、晩御飯に食べた鶏さんや魚さんは、無駄死にだったじゃん?って考えちゃうんです。


 生きるって、辛いことも多いですよね。

 いや、しんどいですよ。真面目に生きるっていうのは。

 それでも生きなきゃいけないんです。

 私たちは、それだけの罪を背負っていることを自覚した方がいい。

 だったら死ぬわ、じゃないんですよ。

 その考え方自体が間違っていると私は思うのです。

 罪を背負いながら生きなきゃいけないんです。

 辛くても、幸せにならなきゃいけないんです。

 それが〝生きる〟ってことだと私は思っています。


 戦争の話もね、いろいろリアルに書かれてましたけど、私、広島出身なのでね。

 小学生の頃からずっと戦争については色んな話を聞かされて教育されているのです。原爆ドームが生活の風景の一部としてあるのですよ。戦争は絶対に繰り返してはいけない、と洗脳のように( ˊᵕˋ ; )💦

 戦争の悲惨さを今の私たちが知るには、こういう書籍やVTRとか……間接的に、それもフィクションのようにしか受け取ることが出来ませんよね。

 でも、それでいいんですよ。それが正しいんです。

 だって、それは戦争が今リアルじゃないってことだから。平和ってことだから。


 実は、こちらの作品、とあるフォロワーさんからオススメされたので読んでみたのですが……正直、どの部分について、感銘を受けられたのか、教えて欲しいです。。

 太宰治の弟子だった作家さんで、結局、自殺してるみたいですね。

 だからもう……私は、前述のような価値観を持っている側の人間ですので、どうしても共感できんのです。。

 すみません、別に怒っているわけでも、不快に思っているわけでもありませんので、誤解しないでくださいね!(;´д`)

 ただただ、興味と感心があって、なぜこの作品をすすめてくださったのかが知りたいのです。私の読み方が浅かったのか……是非教えてくださると嬉しいです!!

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