『後宮小説』 (新潮文庫) 酒見 賢一【★★★】

日本ファンタジー大賞受賞作品。


これがファンタジーなのか、と憤るより感心した方が早い。

小難しい中国史用語をふんだんに酷使しつつも、一つ一つ丁寧かつ軽快な説明があるのでなるほどと思う。

あたかも史実であったかのように描かれている大嘘であることが素晴らしくファンタジーなのだ。

キャラクターたちの性質も好感がもて、特に銀河の言動が面白く惹かれてゆく。

混沌の自由奔放さも最高だ。

小説としての情景描写は不足しているものの史実さにリアリティが出て却ってよい。

言葉少ないながら切なさや愛しさが込み上げてくるのだから天晴れだ。

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