フォルティシモff

藤田茂修

第2話プロローグ②YOU

そこは夕焼け空が眼前に広がる小さな公園

すべてが紅色に染まっていた


キィ キィ キィ 


如月優は、ひとりそこのブランコに揺られていた。


ぼんやりとしながら、ブランコを漕ぐ優の脳裏には、音楽教師、卯月愛の最後がフラッシュバックして蘇っていた


舞の双子の姉である、優は勝ち気で明るく人付き合いの上手な舞とは違い、何方かと言うと内向的で人付き合いが苦手で大勢で居るよりも独りで居る事が好きで、舞の様には弾ける事が余り無く、物静かで真面目な性格だった。


優と舞は共に14歳の少女


髪型は共にセミロングだが、舞がそれを束ねてポニーテールにしているのに対して、優はその髪を綺麗に肩まで流していた。


優は知っていた


今日、自殺をした卯月愛は

優と舞その二人の父の愛人であった事を

ブランコに揺られ物憂げに夕焼け空を見上げる優は、愛の自殺の原因は父に在るのではと疑念を抱いていた


その事を知りながら一見、何事も無い様に振る舞っていた母親の茉奈は何を思うのか


そんな中で今は家には帰りたく無い


とにかく両親と妹の舞とは今は距離を置いて置きたい


だけど と


優はブランコをゆっくりと止め

その腰を上げ

しばらくそこに佇んみそっと呟いた


「舞だって知っているクセに……」












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