機械に支配された世界
緋色ザキ
一章
プロローグ
「私たちはこれから、あなたたち人類の支配者となります」
西暦二○四○年。
突如、人工知能を搭載した超高性能な人型機械、アマテラスが人間に対し、そう宣言をした。
その言葉をはじめ、人間たちは一様にジョークと捉えた。しかし、実際にロボットたちによる反乱が起こり、多数の人間が捕らえられていった。
それまでの平穏は一瞬にして崩れ去った。
人々は機械と争うことを余儀なくされたのである。
だが、これは人間にとって非常に不利な戦いだった。
機械に依存する日々を送っていた人類。対抗手段として、スマートフォンなどの端末を用いて情報共有などを行っていたが、頭のいい人工知能はスマートフォンを乗っ取り、その位置情報を探知して人々を捕縛していったのである。
そんな中、様々な事情からモバイル端末の利用をしていない時代錯誤ともいえる人々が、辛くも機械からの追撃を逃れることができた。そして、運命が誘うかのように、とある地区の一角にある廃ビルに彼らは身を寄せることになる。
集まったのはおもに十代から二十代の男女。その中に一人年老いた研究者のおじいさんも混ざっていた。
その集団はのちに自らをネイチャーと名乗った。
機械によって支配された世界。それに抗うべく、相反する名前をつけたのだ。
そして彼らはそのビルの一角から少しずつ機械を駆逐し、領土を奪還していく。
なんてことにはならなかった。
それもそのはず、彼らは一様に機械に疎く、その対策やそれらを破壊していく武器を持たなかったのだ。
その状況を改善しようとあーだこーだしているうちに、いつの間にか別の集団が機械と激しい戦闘を繰り広げたのち和睦を締結し、英雄へと祭り上げられていた。
そして世界はまた平穏を取り戻した。
これは、そんな平穏な日々の中、先の反乱でたまたま縁あって集った人々がその後も関係を続けていく、そんな物語である。
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