誰かと交換日記

猫民

第1話 三輪 洋介

記述日:12/1(土) 記述者:ミワ ヨウスケ

日記を書くの実は初めてなんだ。だから変だってところがあれば教えてくれ。

それで、俺がこの意味わかんねぇ日記を書く理由は一つ。腹が立ったからだ。日記にじゃねえぞ。まぁそれも書いていくから読んでったらわかると思う。


昨日、まず目を覚ます。いつもの部屋でだ。一昨日はひどい飲み会が合ったから相当酔ってたっぽくて、部屋は荒れてた。スーツを着たままの状態で寝てた。けど、ちゃんと起きたし仕事に行く前に顔も洗った。

いつもより十分遅い電車に乗ったけど出勤には影響はない筈だった。

通勤時間と通学時間が重なって電車は人だかり。だから、いつも電車を十分早めてる。それだけで人の量はえらく違う。

そこで、いつも通りスマホを触って最寄り駅まで時間を潰すつもりだったんだ。ある駅で乗り合わせてた女子高生が立ち上がって下車したんだが椅子に財布を置きっぱなしだったんだ。ポッケから落ちたことに気がついていなかった。

周りも誰も拾おうともしない。だから、俺が拾って最寄り駅でもない変な駅で降りる羽目になった。

まあ、良い事したと思って女子生徒を追いかけたんだけど、駅のホームには同じ制服を着た学生で溢れかえってて誰が誰だかわかんねぇ状態だった。

「財布忘れてるぞ」って叫んでみたけど数人振り返るだけで自分のことだと思う奴の方が少なかった。だから、俺は仕方なくそこらへんにいた駅員に届けに行った。

ここまでは良かった。会社に遅刻しそうでも誰かの役になったと心を誇れるからな。でも、そんな気持ちもここで終わった。

駅員に「ここの学生さんが落として行った」と財布を渡したんだ。そしたらあいつ「ありがとうございます。名前と連絡先を控えたいので事務室まで来てもらえますか」だってよ。俺は「礼とかいいから、会社に遅れる」って言ったんだけど、どうやらそういう意味じゃなかったらしい。駅員は「いえ、そうではなく。とりあえず事務室までお願いします」とか言いやがる。

その時は変なのって感じだった。けど、事務所に着いた時にははっきりとわかった。

つまり、財布の中身を盗んでる可能性があるから控えさせてってことだ。なんでこんな親切をしてやったのにこっちが疑われなきゃいけないんだ。意味がわかんねぇ

駅員にも「俺は盗んでないっすよ」って言ったよ。そしたら「決まりですので」とか明らかに迷惑客を相手する面倒くさそうに対応するんだぜ。こっちはイライラの際骨頂だわ。

でも、書かないって言えば困りますだの決まりですからだのうるさいから仕方なく名前と電話番号書いてきた。これが昨日の出来事。

会社にはもちろん遅刻。上司が物分かりいい奴だったから注意ぐらいで許されたけど未だに腹が立って仕方がない。その上司も「俺もそう疑われるから道端で落ちてる物とか拾わないようにしてる。触るだけで疑われるからね」ってさ。

こんな世の中でいいのかね。おもてなしの国なんて今更笑っちゃうぜ。

そんで今日、ポストを覗いてみれば昨日の事を書けって日記が入ってるわ。これってどう考えても「あのこと」を書けって意味じゃね?運命って奴だわ。本当に

そんな感じ。ここに書きたくなる理由もわかるだろ。誰も悪くない。でも、どう考えてもおかしい話。反論は待ってませんから、綺麗事抜かすなよ奴はどっかよそでやれ

ちなみに未だに感謝の連絡一つ来てません

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