第19話 英霊の森




 俺は馬車に揺られてる。


 馬車は護送用の馬車のようで、

 あのバルムンクっていういけすかないイケメンも

 リータも乗っちゃいない。


 ご丁寧に目隠しまでされ、

 今どこにいるかもわからない。


 ……暇である。


 しかし、アレだな。

 やっと落ち着いて考える時間ができた。


 前も考えたが、

 この世界のそれはゲームの世界に近い。


 何だよアジャストされた装備って。

 職人居ないのか? この世界。


 メニューが出るのもよくわからん。


 だが、それは俺が俺の世界が当たり前だから

 違和感を覚えてるだけなんだろうなぁ。


 そしてネクロだ。

 まさに王道とも言えるヤバい敵のチーム


 それは言うなれば十刃エ◯パーダだったり

 幻影◯団だったり、十◯鬼月みたいなものだ。

 

 控えめに言って、

 初日にあって良い奴らじゃない。

 それやっていいの主人公だけな。


 そして、バルムンクもまた似た様なモノらしい

 敵の勢力もいれば味方の勢力もいる。


 七聖剣王レガリアだったか?


 まぁ、あいつ味方っぽくないけどな。

 冨◯義勇の方が全然味方感あったわ。

 生殺与奪の権を握りやがって!!

 お前は全然ちげーからな!!


 いかん。

 顔がいい奴を見ると文句を言いたくなる。


 とにかく、だ。

 七邪導師グリモア七聖剣王レガリア

 コイツらがこの世界のキーなんだろう。


 モブの俺には関係ないけどな!!


 あー、暇だなぁー。

 なんかいい暇つぶしないかなぁ。


 兵士の奴ら全然口聞いてくれんし……。


 そうだ、メニューでも見るか!!

 そういえばさっき通知来てたんだよな!!

 俺は縛られている手と手を重ねて呟く。


 『コーディング』


 やっふぅー!

 この画面なら自由だぜ!!


 メニュー!


 通知が三つ来ている。



 『リータがパーティーを抜けました』


 んー、まぁこれは……。

 別にたわわ達のところに戻ったのかも知れんし

 まぁ、特に何というか。まぁ、まぁ。


 『レアドロップ:君主の盾 を獲得しました』


 これは……正直ショックだ。

 つまり、亡霊君主テラーロードは死んだということだ。


 この馬車まで案内してくれた

 なんやかんやでお喋りな兵士が教えてくれた。


 俺たちがいた森は『英霊の森』というらしい。


 かつて、国と国が戦争で争っていた時代。


 一つの部隊が命を尽くして

 あの森で敵を食い止めたらしい。


 二つの国の連合軍を一部隊で食い止めたことにより

 他方での戦いで優位となったグラム王国は

 その後、敵と調停を結ぶことが出来たらしい。


 ゆえに王国民は『英霊の森』を身近な聖地とし

 想いを馳せる場所となったそうだ。


 しかし、ここ数日でダンジョンと化していて

 王国兵達が見回りしてたという。


 まぁ、助けて貰えたのは、

 運が良かったということだな。

 完全にネクロのせいだけどな。


 話はそれたが、あの亡霊君主テラーロード

 その英雄だったってことだ。


 ……さて、最後の通知だが?


 『アンロック 初級職;魔物使い』

 『今すぐ転職いたしますか?』




 ……は?








 


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