底辺IT窓際社員、転生しても底辺なのだが? 転生スキル『プログラミング』が見たことない言語でオワタwww ~限界オタクの一発逆転劇! ぽまいらは漏れのハーレムをそこで半年ROMってろ!~

胤永 大樹

第一章 転生しても底辺なのだが?

第1話 窓際の愚者




「あ、早良さわらさん。今日の仕事、何かしたんすか? 良いっすね、座ってるだけで金貰えてwww」


 若い男が声をかけてくる。

 

 今年入った新人だ。

 社内最年少の

 名を『小梨こなし 森羅しんら


 高身長、高学歴のイケメン。

 もちろん給料は高く、そもそも実家も金持ち。

 高校野球では甲子園で大活躍をして

 ドラフト一位で指名をもらうも


「あ、野球は趣味でやってたので」


 と言ってドラフトを蹴る猛者。


 あれだろう。

 コイツは神に好かれた


 それに比べて俺は平凡にすらなれなかった悲しい男。

 名を『早良さわら 香具師かぐし


 この名前は嫌いだ。

 実家が香具屋さんだからってつけられた安易な名前。

 それも生まれて五年後には潰れてるという。

 ってか何だよあの時代に香具師って……。


 経歴はPCばっか触ってたからという理由で

 なんとなく行った情報の専門学校を卒業し

 これまたなんとなく入ったIT会社でいわゆる窓際社員をしている。


 そんな俺なんかが文句言えるわけがない。

 脳内の中ではボッコボコにしてやるけどな。


「おい、辞めとけよ。こういうタイプ根に持つんだぜ」

「はぁ? 大丈夫だって。俺は上司でコイツは平。それになんかしてきたとしても、俺柔道三段だぜ?」



 訂正。

 今の情報で脳内の俺の攻撃は止められ、

 華麗な背負い投げをされた。


 妄想の中でも敗北。

 どんまい俺。


「なんか言ったらどうすか? 本当、空気みたいな人っすねwww」


 クソ。なんだコイツ。◯ね!!


 ちょうど良いことに終業の鐘がなった。

 見渡すとみんな残業をしているが。


「あ、早良さんは帰って良いっすよ。残業代勿体無いんで。お疲れっすww もし体調不良とかなったら心配なんで休んでくださいね! 36度超えてたらマジ無理しなくていいすwww ほいじゃ!」


 そう言って奴は自席へと戻る。

 はぁ、露骨すぎない?

 ぜってーアイツ◯す!!いつか◯す!!


「……落ち着け。今日はマジカルプリチーもももちゃんのフィギュアを買いに行く日だ。もももちゃんの生足に癒されよう。ハァハァ」


 心の声が全て出てしまっていた。


 ふと視線を感じて左を見ると、

 若い女性の社員と目が合った。

 彼女はすぐに目を逸らす。


「ア、スミマセン」

「………んで」

「えっ?」

「大丈夫なんで。話しかけないでください」


 俺のメンタルHPは真っ赤っかになってしまった。




 全てを忘れて俺は秋葉原へと足を伸ばした。


 大通りを超えた店に

 『もももちゃん』は待っている!


 流行る気持ちを抑えて歩行者信号を待つ。


 くそ、一秒が長い。

 変われ信号!!!


 手持ち無沙汰の俺は周りをふと眺める。

 ……ここも随分と変わってしまったなぁ。


 若いイケイケの………

 今風に言えばパリピや外国人の観光客。


 メイドカフェ………

 あぁ、そうか。今はコンカフェ?の

 女の子も化粧が濃くて怖い。

 ギャルと変わらない。清楚はいずこ。


 視界の限り、全てがキラキラしている。

 

 ここはカーストの高そうな

 お前らが来るところじゃない。

 俺たちの聖域サンクチュアリから出てけ!


 最近はピコピコ動画も3chも

 気付けばマナーや作法のなってない奴らばかり。


 なんだか俺の居場所は急激になくなっている気がした。


 勿論、会社にも居場所はない。


 もう誰も、どこも。

 何もかもが俺を必要としていない気がする。


 まるで中学生の時の役割決めの時のよう。

 俺が入った係だけいつも余るあの時のように。


 この世界が、俺を必要としていないんだろうか。


 生きる意味ってなんなんだ?

 俺、何のために生きてるんだ?


 胸の辺りがギュッと締め付けられる。


 隣の人が二歩ほど進んだ気がした。

 

 俺は信号が変わったと思いフラフラと足を進める。



 ────キキーーーーッ!!!!!



「あっ」



 ドンッという音が身体に響く。

 

 痛みと浮遊感。

 

 とりとめもなく思い出す、

 思い出したくない思い出たち。


「もももちゃん……」


 口からこぼれる推しの名前。


 あぁ……。


 やっと終わった……。




 ────やがて視界がぼんやりと復活する。


 嘘だろ? 俺死ななかったのか?

 なんてことだ。人生からログアウトさせてくれ!!


 だが、見えてくるにつれて俺は気づく。


 よくある『気づけば見慣れない天井』とかではない。



 幻想的な空間に、

 翼の生えた、青髪美女。



 まさか。




 もしや?




 嘘だろおい!!




「転生キターーーーーーーーー!!」

「おぉ、サワラ! しんでしまうとはなにごとだ!」




 ……ちょっと思ってたのと違う。





 

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