【諺】ショートショート「無芸への処方箋」

saito sekai

第1話

男AB二人がラーメン屋に入り、Aは大盛り増し増し、もう一方のBは少盛ラーメンだった。Aはその大盛りをペロリと平らげた後、更に餃子ライスに肉ニラ炒めを注文したのだった。


「おい、よくこんなに食べられるな、お前は“無芸大食”だぞ」とやっと少盛を食べきったBが言う。それに対して、Aは持論を展開する。


「大食だって、胃腸が丈夫じゃないと出来ないぞ、“一芸秀でる”と言い直せよ」

「そうか…なるほど。俺は少ししか食べられないし、これといって芸も無いからな」そう言われたAは調子に乗り「“無芸大食”、この諺の意味を変えるべきだ!一芸大食、これだよ、これ!」


Aは内科に行き、胃腸の検査を行った。

自分の健常ぶりを確認するためだった。


「先生、私の胃腸すこぶる良いでしょ?!、私、無芸大食の諺を一芸大食に変えるべく、世の中に発信していくつもりです!証明の診断書をお願いします」 すると医者は答えた。


「ああ、良いですよ、それに加えて精神科の紹介状も付けてお渡ししますね」完

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