第3話 魔法使いへの第一歩
翌日、朝起きてからお母さんのおいしい朝食を食べてから、再び調べ物をする。本日は待ちに待った魔法に関してだ。
まず、魔法の概念について。この世界の人々が全員マナを持っているというのはメタトロンに説明された通り、しかしそのマナを魔法として使えるのは一部しかいないそうだ。魔法は初級、中級、上級、それ以上を特級に分類し、そのどれにも当てはまらいなものを特殊に分類する。初級魔法―小さい火を起こすや、コップ一杯程度の水を出す等―を扱える人は1万人に一人と少数である。
特級を扱える人など、1つの国に5人もいないらしい。どこまでの魔法を使えるかは努力もあるがどちらかといえば才能のほうが大きいらしい。
「魔法の使い方が載っている本は…と」
ない。どれだけ探してもないのだ。当然といえば当然か。普通魔法なんか使えないもんな。ないなら買えばいいじゃない。というわけで、母さんに頼んで買ってきてもらった。幸い魔法が書いてある本は安いそうだ。国が大々的にバックアップしてるらしく、庶民にも手が届きやすい価格なんだとか。
早速試してみよう
「えっと、まず体内のマナを感じる?」
本によるとまず体内のマナを感じ意識することが必要らしい。人体の心臓のある部分にマナ袋というのがあり、そこにマナがためられているらしい。そこから血管のようにマナが通る管があるらしい。
このマナ袋と管は実際にあるわけではなくただのイメージであり、別次元にある…と言われているらしい。
「マナ袋を意識するために…」
座禅を組んで目を閉じる。自身の身体を俯瞰してみる。そして心臓らへんに意識を集中して…
「これが、マナ…」
体が熱く感じる。大量のマナが俺の体を駆け巡っている感じがする。まるで好き勝手に走り回っている感じだ。これを自分でちゃんと管理せず魔法を使ってしまうとマナが暴走してしまうらしい。多くの人はここで躓くだとか。
そして約1時間の練習後、俺は完璧にマナを自分の意志で動かせるようになっていた。気づいたら俺は汗だくになっていた。思ったよりも体力を使ったらしい。ちなみにこれをすることによって、マナの保有限界量が上がるらしい。
これでやっと魔法を使う下準備が終わっただけだ。今日はもう日が暮れているから、魔法の実践は明日にしよう。
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翌日、本をもって外に出た。母さんには遊びに行くと伝えている。俺の家は少し町から離れていて、丘の上にある。周りは草原で少し奥へ行くと森になっている。
俺は森の近くまで行くことにした。森には危険な動物もいるらしいから、自分の身を守れるようになるまでは近づかないでおこう。
早速魔法の練習を始めて。魔法はイメージが大切だ。まずは火を起こす魔法を使おう。イメージとしては、マナを手から対象付近に放出し高速で運動させることで温度を高める。すると…
「これが、魔法…」
火を起こすように少し集めていた葉っぱが燃え始めた。即ち、魔法は成功したのだ。
これを消すために、水の魔法を使おう。イメージとしては、マナで空気中の水素と酸素を集めて、そこにマナを送り込む。
ちょうどコップ一杯分の水ができた。それを使って葉っぱについた水を消す。
それからは本に書いてある魔法を覚えていった。特に便利なのは「念力」だ。この魔法はマナを使って、対象を圧縮したり、浮かせたりすることができる。とはいえ、浮かせることができる重さなどは練習しないといけない。
本曰く、魔法の効果を高めるためにはマナをより多く使うか、マナの扱いに慣れて、マナ効率をよくする必要があるらしい。特に、マナの扱いに慣れるためには魔法を使うしかないらしい。
マナの扱いといい、保有限界量といい、反復練習あるのみだ。
だから今俺は、自身の周りに小石を3個ほど浮かせてくるくると円を描かせている。これが今の俺の限界だ。
また、「身体強化」という魔法も便利だ。この魔法は読んで字のごとく、マナを筋肉などに作用させることで自身の体を強化することができる。
本に書いてある魔法をほとんど覚えたあたりで日が落ち始めたので家に帰った。
これからどうしようか……と思いながら俺は夢の世界へ旅立った。
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あれから1週間後……
俺は成人男性になら勝てるぐらいの力を手に入れていた。「身体強化」で強化された俺なら成人男性と取っ組み合いをしても勝てると思う。
今日からは、森に入ってみようと思う。自身の身なら守れると思ったからだ。
森に入って散策していると、イノシシに出会った。そいつは俺に向かって真っすぐ突っ込んできた。
俺は喜んでいた。やっと自分の考えた魔法が試せるからだ。
近場にある石を浮かばせ、先をとがらせる。ここまですべて念力で行う。そうしてできた鋭利な石を風の魔法に乗せ、高速で飛ばす。
これが見事にイノシシの眉間に命中しイノシシは倒れた。
魔法によってはじめての狩りをしたのだった。
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