第3話 こんな転生の仕方あり!?本日、ゴミ箱になりました!

 うおおおお!


 周りの景色がすごいんだけど、反射的に群青色の画面の文字を読んじゃう。


 えっとなになに?


『ようこそ!異世界へ!この世界を救ってあなたの願いをかなえよう!』


 ――はい?


 はーい!もう学校で習った古文くらい訳が分からないので、一文ずつ読み解いていこうと思いま~す。


 では、1文目!!


『ようこそ!』 まずは自己紹介しろよって感じですね~。


 次!2文目!


『異世界へ!』 はい、ここ異世界でした~。


 ――は!?異世界!?


 意味が分かんないんですけど、異世界って何!?


 いや、知ってるよ?ラノベ好きだし、アニメ好きだし異世界についてはかなり詳しいよ!?


 だけど、ああいうのって現世で殺されて、事故にあって死んで、もっと生きた~いってなって転生とか、めっちゃゲーム強くて神様に転生させられるとかそういうもんじゃないの!?


 俺なーんもしてないんですけど……?


 ただ、寝て起きたら異世界でした!ってシャレにならんから!!



 ま、いいや。


 僕知ってるよ……?


 こういうのって、どんだけ騒いでも、地団駄じたんだ踏んでも、変わらないんだよね。



 そう言えば、地団駄で思い出したけど、何で俺動けないんだろ……。


 目線を下にしてみても地面しか見えない。


 いや、地面も見えない。ちょっと先には石畳が広がっていた。



 動けない理由は分からないけど、とりあえず置いておいて……。


 3文目!!


 あぶねー。2文目のところで脱線したから忘れるところだったわ。



『この世界を救ってあなたの願いをかなえよう!』



 はい。そういうことね!


 全く分からんけど!?


 こんな不親切なことある!?



 最近のライトノベルでもこんな不親切なことないよ?


 何?スローライフ送ればいいの?


 動けないのに……?



 こんなにぎゃあぎゃあしゃべってるのに、誰も気が付いてくれない。


 いや、こっちを見てる人はいるんだけど、近寄ってこない。


 なんだよ……!助けてくれたっていいじゃないか!


 人が異世界で苦しんでんだぞ!!



 そんなこと思っていると、1人が皿とスプーンを持って近づいてくる。


 お、食べ物くれんの!いい奴じゃん。


 皿の上には赤いトマトのペーストみたいなものが乗っている。


 え、異世界で初めての食事……!ちょっとテンション上がってきた!!


 そんな俺に訪れたのは、脳天への大打撃だった。


「いってえええええええええええ!!」


 待って!頭からぶっかけられたんだけど!! 


 異世界人って野蛮人じゃん!!


 こんなに冷たいことある!?


 ――ってあれ?


 ………おなかに入ってる感覚ある。


 美味いとか分からないけど、なんかおなかに入ってるわ。


 すご、異世界人。もう宇宙人レベルの食生活かよ。



 にしても、皿とスプーンはどこいっちゃったんだろ。






〈ゴミの分解を開始します…………〉


 ――へ?



〈ゴミの内容→セイドンの木の皿と木のスプーン、トマトペースト……………〉


 ―――ちょっと待って、ちょっと待って!!



〈汚れているため、吸収率が上昇します。…………〉


 ―――汚れ!?



〈吸収率0.0001%………移動力が0.003上昇しました。……………〉


 ―――え、吸収しちゃったよ?




 …………。


 今起こったことをありのまま話すぜ?


 俺は今、ゆっくり町を眺めていたんだ。


 いや、実際に町かどうかは動けないし、見回せないから分からないんだが、多分町だろって思うことにしたんだぜ。


 そうしたら、いきなり頭の中で声が聞こえたんだぜ。


 それもイケボ。おっさんの声。


 それも言ってること、意味不。



 まず、ゴミの分解ってなに?


 ちょっとだけ予想はできてるよ?認めたくないだけで。


 次いくね。


 ゴミの内容、皿とスプーンとトマトペースト!


 おい!それ、俺が異世界人からもらった飯じゃねえか!


 それをゴミとは何事だ!!


 もう他はいいや。ここまで見れば、ちょっと想像つくもん。


 どっかに鏡ないかなあ。


 答え合わせしたいなあ。



 そう思っていると空き瓶をもった人が近づいてくる。


 そして


 パリーン。


 はい、割れました。


 ってことは、お決まりの!?


 目の前をみると、いい感じにガラスの破片が転がっている。


 そして反射でしっかり自分の体が写った。



 おいおい。


 ちょっと想像できたけど、ショックすぎないか………。


 そこに写っていたのは、緑のボロボロな針金でできたゴミ箱だった。








 って終われるかあああああああああ!



 ゴミ箱!?


 ええ………。


 そうかあ………。


 だから目も見えなかったし、口もきけないわけだ。


 で、ごみを入れられると激痛と………。心が痛むもんね!



 ってバカ!!!!!!





 なーんで、こんなことになってんだ!!


 こんなの…………











 おもろすぎるだろ!!!!!!!!!!!











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