友人のはなし

@springriver

第1話 プロローグ

詳細を覚えているうちに、一度全てを、誰かに話してみたいと、ずっと思っていました。

きっとこれから、忘れていくので。


友人が全てを告白してきた、夏の暑い夜のこと。

白い薄手のシャツを着た、友人の姿。白い横顔。


友人の伏せた泣き顔。一番の笑顔。

痛々しい腕。繋いだ手の形。


10年間消息不明だった友人から、連絡が来た日のこと。

突然の電話。温かな、懐かしい声。

長い通話を切った後、しばらく携帯電話をぼんやり見ていたときの景色。

思い出が溢れて、珍しく涙を流したこと。


色々なことを、いまだにとても鮮明に覚えている。


これまで誰にも言えなかったことを、全部吐き出させて欲しいと思って、ここに来ました。

暇潰し程度に、気楽に、私の友人のはなしを読んでください。


恋愛に生きた、私の友達のはなし。

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