第5話 音楽
ハルミチはキーボードを演奏して歌った。自信はなかったが、精一杯。
「お前、歌ってて楽しくないだろ?」
言われてしまった。
ハルミチはガクリとした。
「だけどそれは、お前の演奏にお前の歌唱の技術追い付いてないだけだ」
「え、どういうこと?」
「お前は、純粋に音を楽しむことを忘れているだけだ!って言ってる。俺がお前に俺の歌で、音楽を思い出させてやるよ!」
ショウヤは、ハイトーンの音の調を爆発させた。
男性でありながら、女性的な響きを魅せる幻想的な声は、ハルミチを瞬く間に魅了した。
美しいだけでなく、とても力強い。そして、心地良い。
この調の世界に、応えたいとハルミチは思った。
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