グロッキークロッキー!!

うさだるま

「歩行者天国」「疑問」「夢のまた夢」

〈今回の単語〉

髪の毛

ホワイトホール

疑問

歩行者天国

運営

寒中見舞い

薬理学

水面下

夢のまた夢



〈歩行者天国、疑問、夢のまた夢〉

「ねえ、ちょっと気になったことがあるんだけど」


下校中、友人は突然私に尋ねて来た。

そして、友人は私が応えるよりも早く続ける。


「歩行者天国ってどうして、歩行者天国っていうのかな?別にただ歩けるだけの場所だろ?」

「は?何言ってんの?」

「いや、だから、歩行者天国って何で歩行者天国なのかなって。歩行者天国があるなら、歩行者地獄があってもいいだろ?なんなら歩行者現世もあっていい。」

「言葉の綾みたいなもんでしょうが。なんなの?歩行者地獄って。絶対歩きたくない。」

「じゃあ、蟻地獄は?蟻天国もないとおかしいでしょ。なんかもやもやするんだよ。」


友人は至極、不思議そうな顔で答えの無い疑問を吐き出す。


「だから、ないんだって!蟻天国も!」

「あるだろ!なんか、公園に子供が甘いお菓子をこぼしちゃったりした所が!」

「あるかもだけど、蟻天国って呼んで無いんだよ!」

「うーん、そんなもんかなぁ?」


友人は少しガッカリしたような顔をした。

その顔は拗ねた子供の顔によく似ていた。


「で、なんでそんな話をしたの?」


私は友人に尋ねた。

彼はいつも不思議なことを聞く時、裏に何かを隠しているのだ。


「…先週、じいちゃんが死んだんだ。」

「そう。」

「お世辞にもいい人とは言えなかったけど、俺はじいちゃんのことが好きだった。ニヤッとした笑顔もそうだし、母さんに隠れてお小遣いをくれた事も好きだった。」

「うん。」

「じいちゃんさ。多分天国にはいけないんだよ。若いころ、悪い事いっぱいしたって言ってたしさ。でも、だからって!天国にいけないからって、地獄にいくわけじゃないよな!天国の反対は地獄って決まってるわけじゃないよな!」


彼の目は斜陽を映し、光っていた。


「うん、間違いないよ。わたしが保証する。」

「ああ!ありがとう。」


彼はニヤッと口角を上げて笑う。

それをみて、私も真似して笑う。


「なあ、また気になった事があるんだけどさ。」

「何?」

「俺は天国にいけるのかな?」

「…私を困らせるような事を言ってる内は夢のまた夢でしょ。」

「ええ!マジかよ!」

「嘘嘘、じょーだんよ。」


二人の影は柔らかい光に照らされ長く伸びる。

夕暮れが街を橙色に染めていた。



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