第35話 『暴虐の帝都』

【胸ク○描写】があります(><ゞ 特に『お食事前後』の閲覧は、おやめくださいm(_ _)m



 ◆ ◆ ◆



 俺たち一行は、無事にアケメネス大陸の西端にたどり着いた。ここから先は『未知』の領域……明らかに空気がピリついていた。


 レンはまだ『精霊の力』に慣れてないので、船でお留守番してもらうことにした。何かあったら、エルフ族から貰ったどんな遠くからでも聞こえる『ベル』を鳴らせ、と伝えてる。


 上陸すると、ごく『普通』の漁村に見えた。だが、俺たちはすぐに『違和感』に気づく。村人が『一人』もいないのだ。

 その代わり……あちこちに焦げた『黒い物体』が、無造作に散らばっていた。日にちが経っているのか、とにかく腐敗臭が酷かった。


「うぇええ……なんッスかこれぇ? を腐るまで放置してるなんて、罰が当たりますよ」


「「……………………」」


 顔をしかめるリラに、俺とセレナは顔を見合わせた。世の中『知らないほう』がよかったことなど、ザラにある。


「魚人族の人たち、どこ行ったんッスかねぇ? まさかエルフ族みたいに、どこかで奴隷にされてるとか!?」


……ある意味、そっちの方がマシかもな。


「にしても、変わった・・・・魚ッスねぇ。特にこのヒレなんて、まるで『人の手』みたい……」


 ボロッ


 リラが『ヒレ』を持ち上げると、無惨に崩れ落ちた。リラは「え……?」と、ソレ・・をまじまじと見つめた。


「これって、まさか……」


 ああ……気づいちまったか。リラはまたリバースした。ただし、船酔いとは全く『質』が異なる。


「な……何なんッスかぁこれはぁ! 『こんな事』が許されるハズがねぇッス!!」


 リラは涙ぐんでいた。怖さより、怒りの方が勝っているか。俺はリラの頭を優しく撫でた。


「いいんだよ、それで。こんな『惨状』を目の当たりにして何も思わない奴がいたら、俺が蹴り倒しとるわ」


 かつて、セレナに言ったことを繰り返す俺。これが、この世の『地獄』ってヤツか。確かに度が過ぎてるな。


「……帝都領では、こんなのが『日常的』に行われているわ。『異分子』と認定された者たちは、容赦なく排除される」


「魚人族が一体、何をしたッスか! 静かに暮らしてただけなのに……」



「それはなァ小娘。『人魚』の涙と血肉を、皇族が欲したからよ」


 いつの間にか派手なリーゼントの蛇目男が、取り巻きらと共に俺たちを見据えていた。気配を完全に消せる……か。


「……どういう意味ッスか」


「ククッ、知らねーのかヨ? 人魚の涙は真珠になり、血肉を食らいしモンは『不老不死』になる。有名な伝説ダゼィ?」


「なっ……たったそれだけの理由で! 許せないッス!」


 フム? どうやらコイツらは、帝都の下っ端みたいだ。巡回中に俺たちを発見したか。


「リラ。あのトリ頭、お前『一人』でなんとかしてみせろ。アレに勝てないようでは、この先『足手まとい』にしかならん」


「ア"ア"ッ!? 誰がトリだッ、ぶっ56すぞ!?」


「言われなくても、そのつもりッス! あんなの迷宮に比べたら、全っ然大したことなさそうッスし!」


「キメたぜ、まずはエルフを血祭りにアゲる! 次は男を解体バラしてやっからよォ!? そーいや、海岸沿いに見かけねぇ船があったナァ? 今頃、派手に『炎上』してんじゃねーの?」


 ピクリ。その一言で、俺は『無表情』になった。いつもなら『唇の端』を吊り上げてるところだが、全く笑えなかった。船には、最愛の『俺のレン』がいるんだぞ。


「面白ぇヤツだな。56すのは最後にしてやる」

「アレク、行きなさい! ここは私たちが受け持つわ!」


 ありがてぇ……俺は『頼れる』仲間を背に船へと走った!





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