第28話 糖分、デイリー禁止ダァ!

 ギャグ回 ①です ^^


 ◆ ◆ ◆


「あなたたち、大丈夫なの?」

「ああ。なんとか生きてるぜ」


 互いの無事を確認し、安堵あんどする俺たち。


「二人とも、息ピッタリだったわ。私はまだまだね……今回もほとんど何も出来なかったわ」

「何言ってやがる。セレナが撹乱かくらんしてくれたお陰で、だいぶ楽だったぞ」


 囮として立ち回ってくれたから、ボスの狙いを分散することが出来た。


「それでも攻撃面では、全然及ばなかったわ。このままじゃとても……」


 ん? セレナの奴、勝ったのにあんま嬉しそうじゃないな。気になるが、訊いてもはぐらかされるだろう。



 ◇ ◇ ◇


 その後、俺たちはバッツらと合流。過酷な奴隷生活を生き延びた猛者もさたちは、立派な戦士ソルジャーになっていた。


 バッツは俺に故郷を奪還した後は、レンの為に『秘術』を使うと固く約束してくれた。リラともしばしの別れだ。もうお前は『一人前』だよ。


 俺たちは、ボスの素材を手土産に迷宮を後にした。



 ◇ ◇ ◇


――ケベックの探索者ギルド。


 俺とセレナは、ボス討伐報告を行った。受付のオッサンは胡散うさん臭そうにしてたが、証拠の素材を見せると目を丸くした。


「バカな……つい先日、潜入許可が下りたばかりだぞっ!?」


「いやいや、素材も『本物』だって言ってたろ? それとも、お宅のルーペは『故障』してるのか?」


 俺が冗談交じりに言うと、オッサンは顔を真っ赤にした。


「失礼な! ギルドには不正防止の為、最新式が支給されている。しかし妙だな……遺跡には『御神体』が眠っているから、慎重に調査せよと連盟からもお達しだったが……」


 知らねーよ。お前らは、あの『木偶の坊』を一生アガめてろ。いつの間にか、4んでましたとも知らずにな(笑)



「き"さ"まぁああっ、よくも御神体をヤッて"く"れたなぁああっ!?」


 入口から、汚ぇダミ声が聞こえた。もう名前も忘れたあのデ○が、鼻息を荒くしていた。まだイキてたのか。こーいう奴に限って、ムダにしぶといよな。


「りょ……領主様っ!? そのお姿は一体……!?」


 ウン? このデ○、領主だったのか? 道理でロクデナシが多いワケだ。


「そこの不埒者が遺跡を破壊し尽くして、奴隷を逃がしたのだッ! ワシも危うく56され掛けたぞッ!?」

「なんとまぁ! キサマッ、領主様も分からんのかッ」


「さぁな。出荷前のブ○の区別なんざ、つくワケねーだろ。あっ、豚に失礼か」


「キサマぁああッ! ワシにそんなクチを利いて、許されると思っとるのかッ!? ワシは貴族連盟筆頭でもあり、あの『帝都』とも繋がっておるのだぞッ!?」


 ピクリ。明らかにセレナが、“動揺”したように見えた。帝都……この大陸の実質『支配者』だ。コイツらは帝都の威厳を振りかざして、オラついてたわけか。


「それがどうかしたか? あいにく、井の中のかわず縄張り争いなんざ興味ないんでな。俺たちの知らねぇ所で、好きなだけやってくれや」


「泣いて許しを請うなら、今のうちだぞ? 寛大なワシが許してやらんでも……プギィ!?」


 俺はブヒブヒ五月蝿ウルセーブ○の喉輪ノドワを鷲掴みして、そのまま吊し上げた。


「話はちゃんと聞こうな? どんなにエラかろうが、人の『幸せ』を踏みにじる権利はねぇ。貴族だろうが帝都だろうが、俺の妹はもちろん『仲間』に手ぇ出したら、“宣戦布告”と見做みなす。俺が一度『敵』と認識した存在ヤツ一片いっぺんの情けも掛けず、徹底的に殲滅56し尽くす。来るなら、決4の覚悟で来な?」


 ブ○は白目を剥いて後半聞いてたか定かじゃないが、まーこんだけ脅しとけば十分だろ。俺はブ○をオッサンに投げ捨て、ギルドを後にする。慌ててセレナも追ってきた。


「ばっかもぉおおんっ! 領主様になんたる無礼っ! 貴様は糖分、デイリー禁止ダァ!」


 オッサンが何やらわめいているが、どーぞご自由に。そもそも用さえ済めば、出入りする必要もねぇしな。

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