【完結/11万pv大感謝!】イチから始まる迷宮制覇 経験値泥棒と元メンバーにコケにされた俺。必中+状態異常の確殺コンボでレベルがバグり、気づけば世界最強【カドカワ中間作】
たくミン☆
『アレク編』
第1話 俺は『経験値泥棒』らしい
【プロローグ】
「アレク。お前、もうパーティー抜けろ」
「へ……?」
俺ことアレックス・メンフィスは、唐突にパーティーリーダーのゴートに『船降りろ』と告げられた。思い当たる節は全くなく、まさに晴天の
「ゴート、なんの冗談だ? これまで一緒に『レベルアップ』に励んで、最強のパーティーになろうって約束した! そうだよなっ!?」
俺はゴートの他、残りのメンバーを交互に見た。大柄の戦士タイプ、ライノス。小柄だが、魔術に長けている魔女のルウだ。
「アレク……お前、自分がパーティーに貢献してるとでも思ってたのか?」
「だとしたら、相当おめでたいよねぇ」
「は……?」
俺は
「二人とも、何を言ってるんだ!? 確かに俺は戦闘は苦手だが、“経験値稼ぎ”には十分貢献してきたつもりだっ!」
俺には固有スキルの『必中』がある。主な特性は二つあり、一つは攻撃さえすれば確実に命中する『発生保証』つき。
もう一つは、相手のいかなる装甲にも関係なく通る『防御無視』で、確実に『1ダメージ』を与えられる。
このスキルを重宝され、俺は主に『希少種』狩りに活躍した。俺たちパーティーは、主に『迷宮』を探索する
迷宮にたまに出現する希少種は、膨大な経験値を持っている。が、攻撃が命中しづらく、戦闘が長引けば逃げてしまう。
逃げ足の速い希少種でも、俺の『必中』スキルなら確実に当たる。さらに体感1/32の確率でクリティカルも出るので、爆速でパーティーのレベルは上がっていった。
今の俺たちの平均レベルは30で、もうこの迷宮では敵なしだ。後は最奥に控えている『迷宮ボス』さえ倒せば、昇格間違いなしだというのに。
「まーそれだけ聞けば、十分『チート』だけどよ? お前、攻撃力なさ過ぎなんだわ。レベル30で、1ダメージってなんだよw」
「……それはお前らが、ロクに俺の装備を整えないからだろ?」
「言い訳だけは一丁前だな? おまけに『鈍足』だから、一番最後に攻撃するしなw 最近は希少種に逃げられてばかりだし、効率が悪いっつったらありゃしねぇ」
「お前らの荷物を持ってるからだろ!? すごく重いんだぞ、一回持ってみろ!」
「メンド臭いねぇ! そもそもアレク、アンタが『必中』以外、スキルを使えないのが悪いんでしょ! アタシらの
「……確かに俺は、必中以外使えない。それでも最初は、有り難がってたろ!?」
「あ"ぁ"ア"アッ、ゴチャゴチャ
何なんだよ、これは。俺が何かしたか? レベルアップの時だけ、神様仏様アレク様とか拝み倒してたクセに!
「……じゃあ俺が抜けて、レベルアップはどうするんだ?」
「心配すんな。既に新しいメンバーを確保してる。剣士の可愛い娘で、お前よりよっぽどいい働きをしてくれそうだ」
「素早い上、クリティカルを連発してくれるそうだ。シケた攻撃しか出来ないお前とは大違いだな、アレクぅ?」
「昇格したら、見栄えも必要だしねぇ。しょぼい『荷物持ち』がいたら、ウチらの面目が保てないでしょ? あーアンタ自身が『お荷物』だ、キャハハハ☆」
俺はもう反論する気すら失せた。要するにコイツらは、最初から俺を『利用』してたんだ。 『真の仲間』だの頼りにしてるだの、全部『嘘』だったと思うと悲しくなってきた。
「おっと? 『疫病神』が近くにいると、魔物の群れが寄ってきちまうw アレク、荷物はもちろん装備品も全部置いてけや。異論はねーよな、もちろん」
ポキポキと指の関節を鳴らすゴートらに、俺は従うしかなかった。レベルアップにより、コイツらも相当強くなっている。
「流石にパ○ツまでは、脱がなくていーぞ? お前の汚ぇウ○チが付着してそーだ、ガハハ」
「ちょっとぉ、ご飯前にやめてよぉ。あ、これ
ルウが引ったくった荷物から何かを取り出し、俺に投げつけた! この甘い匂いは『匂い玉』かっ!? 魔物を
「なっ……何を考えてるんだっ! それは魔物用で、人間に使う道具じゃねぇ!」
「いーや、なーんも間違ってねーぞアレクぅ? いくら強くなったとはいえ、いちいちザコ共と戯れるのもメンドーだからな。お前が『相手』してくれや」
なっ……信じられねぇ! 元メンバーを『囮』に使うなんて!
「ふざけるなっ! こんな迷宮の奥地でパンイチ状態なんて、死ねって言ってるようなもんだろっ!?」
「何言ってんだ、アレク。お前には、お得意の『必中』スキルがあんだろ? 必死に逃げ回って、ペチペチやってりゃいつかは全滅すんだろ。何年かかるか知らねーけどよ!」
「じゃあねぇ、アレクぅ! アンタのことは、三日くらいなら忘れないよ! あっそうそう。最後にアンタみたいなのを、なんて言うか知ってるぅ?」
これ以上ない『悪意』を込めた笑みを浮かべて、三人揃って俺を同時に指差した。
「「「せーの! 『経験値泥棒』っっっ」」」
俺は何を言われたのか、分からなかった。それも一瞬で、瞬時に全身の血液が沸騰した。
「なんだよそれは…………お前ら、いい加減にしろよマジで。現にレベルアップしただろうがっ! 取り消せよ、今の言葉……!!」
「キャハハハ☆ 無能が怒ったァ! 『来世』は探索者より、大道芸の方が向いてるかもねェ!?」
「
「最初こそ神スキルだと思ってたのに、フタを開けてみりゃとんでもねぇ『ゴミスキル』だ。これでイキり散らしてたお前は、世紀末級の孥無能だわ!」
言いたい放題言って、さっさとズラかるゴートら。同時に奥から俺の『匂い』を嗅ぎ付け、ガサガサと魔物の群れが迫ってきた!
一刻も早く、離脱しなければ……! 俺は無我夢中で走った! 何がなんでも生き延びてやる! 経験値泥棒とか、
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