第27話 俺は何も視ていない
【読心】
それを発動して数秒後。俺はものすごく後悔した。
それは力のセーブの理由が俺に関することだったからだ。
具体的には、
(ここで本気のパンチを放ったりして、ワイバーンを倒してしまったら、イスカさんに嫌われるかな?可愛くない女だと思われちゃうかな?そうなったら嫌!私はか弱い女の子を演じるんだ!)
こんな感じだ。
マジで後悔した。人の心なんて視ないほうが良いと改めて認識させられたね。俺に嫌われたくないから力をセーブって...はぁ。どうしよ。力の強い女性のほうが好みとか言ったら本気を出してくれるか?流石に無いだろうけど言ってみるか。
「ユリナ!急にこんな話もどうなんだと思うがな!俺は強い女性が好みなんだ!」
「ッ!?」
俺がユリナに言った瞬間。
ユリナがワイバーンに猛攻をし始めた。
しかもさっきよりも力強いパンチで。
チョロい。チョロいわこいつ。
完全に内に秘められし力を開放してるじゃん。
「殺りましたよ!イスカさん!」
「よーし!じゃあ次は二体同時な!」
「どんと来いです!」
コイツ絶対詐欺に騙されるぞ。
どんだけチョロいんだよ。
その後も、ユリナのレベルを順調に上げることができた。
ということで、次は俺の番だ。
ユリナを連れて、更に階層を上がっていく。
ボスモンスターを【石化】で止め、剣で殺して、また上がる。それを繰り返していると、280階でようやく魔眼が効かない、魔力が俺よりも高いやつに遭遇した。
あれは....ヒュドラか?
ヒュドラという魔物は、首が7本生えていて、強力な毒を撒き散らしてくるし、7本の首すべてを切らないと死なない。
さて、殺るか。
ユリナを下がらせた後に俺はすぐ【
【戦神之武具】は【戦神】を発動していなくても創れる。
だが、【戦神】の発動した際の【
ヒュドラは俺を舐めているのか、斬れるものなら斬ってみろと言わんばかりに首を前に出していたので、遠慮なく切断する。
「グルァアアアアアアアアア!!!!!」
首を斬られた痛みに絶えられず咆哮を上げているヒュドラに休む暇を与えないように、すぐさま次の首を斬りにかかる。
しかし、それはヒュドラの吐き出した強力な毒によって阻まれる。
めんどくせぇな。
俺はヒュドラの吐き出した毒を避けながら、遠ざかっていく。
このくらい離れれば良いだろ。
【
太陽の如き熱を持った魔法がヒュドラに直撃する。
「まだ生きるのかよ。しぶといな」
ヒュドラは7本の内の6本で一つの首を守って生き延びていた。
そして今、その6本も再生が始まっていた。
もう時間も時間だし、さっさと終わらせにかかるか。
【
俺は【戦神】を発動した瞬間、辺りに剣を創り出す。
【
俺は、創り出した剣を自分の手に持ち、ヒュドラへと走り出す。
ヒュドラが吐いてきた毒を避け、ヒュドラの真上に【天駆】を使って上がる。
そこから飛び降り、剣をヒュドラの目に突き刺す。
「グルァアアアア!!!!」
すると他の頭が襲ってきたため、突き刺した剣を放し、刀を取る。
【
刀術スキルを使い、目を突き刺した頭と、その他の頭計3本を斬り落とす。
「残り4本」
俺は、頭が再生しないように【
「ガァアアアア!!!!」
ヒュドラが噛みついてきたため、それを上に避け、刀を使って上から斬り落とす。
「残り3本」
俺は再度、ヒュドラへと近づき、【断絶】を使って2本同時に斬り落とす。
「ラスト1本!!」
俺はこの前、刀術のレベルが上がった際の刀術スキルを使う。
【斬】
ヒュドラは何が起こったかもわからず、その命を散らしていった。
【斬】
斬る。ただそれだけの刀術スキル。
しかし、その動作は完成しており、その技術力の高さは最上級の悪魔や天使にも通用する。
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