正体がバレたくない俺vs正体を知りたい彼女たち

クククランダ

出会いとのんびり編

第1話 平和な日常

 


 この世界に転生して17年が経った。


 ワカメのような黒髪に黒い目、身長も170ちょいくらいの普通の男、それが転生後の俺。転生前と変わらなかった。


 

 そんな俺は今日も泊まっている宿から窓を開けて朝から元気に遊んでいる子供達を眺めている。


 

「今日も平和だなぁ〜」



面倒なこともなく好きな時間に起きて、好きなことをするこの生活が俺は気に入ってる。

 今日も適当な依頼を受ける為に身支度をして宿の階段を降りる。


 「あ!お兄ちゃんだ!」


階段を降りていると宿屋の1人娘レーナが駆け寄ってくる。


「お〜レーナは父ちゃんの手伝いか?」


「うん!そうだよ!」


 レーナはとても人懐っこい赤髪の三つ編みの女の子だ。

 あと凄い元気が良い。


「おう!起きたかグレン!」


キッチンから聞こえてくる店主のゴードンさんの声。

身長は2メートルくらいあるスキンヘッドのオッサンが料理を作っている。

 顔も盗賊のお頭みたいな顔をしており、身長も相まってスッゲー怖い。


なんで目力だけで人を殺せそうな人からあんな優しそうな子が生まれたのか。

 突然変異だろうか?


 そんなことを考えながら俺はテーブルにつく。


「グレン、注文はいつものか?」



「あぁ、いつもので頼む」


俺はいつもと同じ注文をしてテーブルに着く。俺が起きる時間はあまり人がいない。


朝と言っても昼に近いからみんなどこかに出掛けてることが多いんだよなー。



少し待っているといつもの様にレーナが寄ってきて隣に座って来て話しかけてくる。



「これからお仕事頑張ってね!」


「おう、まぁ頑張って来るわ」


「怪我とかしちゃ駄目だよ?」



ーーな、なんていい子なんだろうか! 願わくば優しいまま育っていってほしい。



 料理が来るまでの間、俺とレーナが楽しく会話をしていると飯を作ってるゴードンさんの目がやばいことを気がつく。

それはもう確実に何人か殺ってそうな目で俺を見てくる。


 あまりにも親バカすぎるだろ。


==========



 ……ゴードンさんの目がやばすぎて今日の飯はあんまり味がしなかった気がする。

 つーか生きた心地がしなかった。



 そんなこんなで俺は宿屋を出て冒険者ギルドに向かって行く。



「相変わらずでけーな」


 目の前のでかい建物を見上げる。やはり他の建物と比べてもでかいな。


「っと、そんなことはどうでも良いか」


 俺は冒険者ギルドに入って依頼書のある掲示板に向かう。


「んー今回はこれにするか」


 掲示板に貼られていた一枚の紙を剥がして受付嬢に見せる。そしてギルドを出ようするとーー


「おぉー!グレンじゃねーか!!」


「ん?」


 名前を呼ばれて振り返る。そこには灰色短髪のワイルドな容姿の男がいた。


「おー、スピナーか! 久しぶりだなぁ!」


 こいつの名前はスピナー。俺と同じソロの冒険者だ。

 気の良い奴で俺の友達でもある男だ。

    

「グレンは今から依頼か?」


「おう、今からオークの討伐だ」


俺は依頼書をスピナーに見せた。


「オークかぁ、あいつら無駄に賢いからなぁ」


スピナーは嫌そうな顔でため息をつく。俺もそれは思う。あいつらでかい図体でやることが小賢しいんだよなぁ。


「まぁグレンなら大丈夫だろ? 頑張れよ!」


 そう言いながらスピナーは依頼書を俺に返した。俺は依頼書を受け取る時にいつも思ってる疑問をスピナーに言ってみた。


「いつも思うんだがスピナーはなんでパーティを組まないんだ?」


するとスピナーは遠い目をしてーー


「あー、俺は1人の方が気楽で良いんだよな。人間関係のトラブルとかダルイし。」



「…あー」


こいつの反応で大体理解した。彼は過去に何かあったんだろう。ここは深くは聞かないでおくことにしよう。それが優しさである。

 そうして頷いていたらスピナーが話しかけてきた。


「おいグレン見てみろ。噂のパーティが来たぜ。」


そしてギルドに入ってきたパーティは女性4名だけで構成された”月の雫”と呼ばれるパーティだ。容姿も整っていて、ランクも全員が8である。

 紛れもない天才の集団だ。


けれど彼女らは性格に少し難がある。

彼女らは女性には優しいが、男性には当たりが強い。

なぜかは分からないがそれはもう凄い当たりが強い。


 彼女達は1ヶ月前にこの街に来たがその時から態度は変わっていない。ずっと一貫してて当たりが強いのでそこまでいくと逆に清々しいまである。



 あいつらのパーティは剣士、斥候、魔導士、僧侶のバランスが良いタイプのパーティだ。


 俺の知り合いにはバランスが悪いパーティもいる。なんと3人全員が斧使い。

攻撃力に全てをかけている様なパーティだ。

 ポーションなどの回復のたぐいも持たない。


「ダメージを負うなら更に体を鍛える!!」って言っていた。

 全員がガチムチの究極の脳筋パーティだ。


 話はそれてしまったが銀髪の王子みたいな奴がアリス。金色の髪の獣人がステラ。黒髪の魔女みたいな帽子を被っているのがカーラ。眠たそうな目をしているエルフがリズだ。


 俺の知り合いにもあのパーティバランスの良さを見習って欲しいものだな。



 と紹介した所で俺があいつらと関わることはないだろう。第一あいつらは男が嫌いだからな。話しかけに行ってもどうせ冷たくあしらわれて終わるだけだ。



—————————



今回が初投稿です。生暖かい目で見て下さい。












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