第2話


食事を終え、私はキャンプ道具を纏めると財布を取り出してそこに全てを収納しました。


「な、なんですかその道具!?」


「コレですか?財布の形をしたマジックバックで、ふじみ野ダンジョンの裏二層で拾ったのですよね~」


「すっ……スッゴいなぁトラさん……」


二人共可愛らしく驚いてくれて私は嬉しいですよ。

さて、五層から四層に登るための階段へ辿り着くと私は二人を下がらせて登ります。


裏階層は毎階層毎にボスと呼ばれるモンスターが種類ランダムに配置されておりまして、こうやって登った先にも居るので大変なんですよね〜


今回は……真っ黒な鱗をビッシリと付けた超大型のドラゴンですね。

彼、結構美味しいので好きなのですよね~


「不味い!?ヒロ!トラさん!新種だ!?」


「系統的にはノワールドラグニルだね!

強力な火炎ブレスが危険です!」


「あぁ、彼は近江竜で肉は神戸竜には劣りますが骨からの出汁は絶品ですよ♪」


二人は啞然として、私の背中を見守るしかしませんでした。

さて、先ずは……近江竜は初手高確率でブレスからの尻尾での薙ぎ払いと、広範囲回避困難な技で攻めています。

なので……


「よっと!」


口を開いた瞬間に特性串を投げて口を閉ざしましょう。

そしてそのまま頚椎を突いてノッキングを。

ドラゴンタイプのモンスターは心臓を三つ持ってますのが脳は一つ、そして頭には着いてません。

人間の裏をかくような作りですね♪

脳は喉仏の付近に着いてまして、彼等の咆哮は腹から直接出てるので勘違いはいけませんからね♪


「す、凄い……」


「トラさん……彼は間違い無く日本の……いや世界でもトップレベルのダイバーだ……」


時間は三十秒ですか。

う〜ん、近江竜に三十秒はいささか掛かりすぎましたね。

恐らく日本のトップの方なら一秒、じゃなくても普通に十秒で片付けるでしょう。


「ヒロ……新種のモンスターの命名権は発見者が持つと言うのは知ってますよね?」


「うん……」


「恐らくアレはノワールドラグニルの上位種……下手したらその上のエンシェントブラックドラゴンよりも上です」


「それは……多分上かな?」


「……もし、もし仮に近江竜と言う名が受理されたら……エンシェントブラックドラゴンよりも上の近江竜じゃないか!?と世界は呼ばなければなりません」


「えぇ!?!?!?」


「私はこれからも冒険者を続けて強くなるつもりですが……流石に近江竜とは呼びたくないです」


「だよね……どうしようかな……」


二人は悩んだ様子でコチラを見てますね。

う〜ん、彼等程の実力者から見たら時間がかかりすぎって思われちゃいますか。

おじさんとしては体が限界なので目を瞑ってほしいところですが仕方ありませんよね。


私は二人を呼び、恥ずかしさから目を背ける為にサクサクと階層を登るのでした。

今回のボスは真っ赤な鱗が特徴的な「神戸竜」、青く神秘的な「松坂竜」、鱗ではなく黒い毛を生やした「黒毛和竜」でしたので楽でした。


それにお腹も膨れる美味ドラゴンなので私もホクホクしてダンジョンの出口を出るのでした。

そこには数多のカメラや女性、正直リトルユートピアと言う組織の認識が甘かったですねぇ。

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