無能力の僕でも現代知識で異世界救って良いですか?

@tensor_product

プロローグ〜はしがき〜

初めまして。あるいは久しぶり、かな。この本を手に取っている君が地球人であることを祈る。

もちろん、この本は英語で書かれているから、文字が読めている時点で君は地球人ということになるだろう。でも、君は地球人ではなく、文字を解読して読んでいる可能性もある。その場合でも、この本は一読の価値はあると思う。

もし君が地球人でない場合は、ぜひ地球人にこの本を伝えて欲しい。それが著者としての唯一の願いだ。

改めて自己紹介をしよう。僕は瀬戸内せとうち かい。ふざけた名前と思うかもしれないが、もちろん偽名だ。今後のためにも、ここで本名を明かすことはしない。同様に、年齢や外見についても詳細は明かさない。ただ、僕を知る人が気付けるように、本文中に手がかりを残しておいた。ある日突然消えてしまって、家族や友人には大きな迷惑をかけたし、近況を伝えられたらと思う。

さて、本書は僕の国の言葉でいう「異世界転生」あるいは「異世界転移」について、僕の身に起きた出来事を振り返った自伝だ。僕がどのようにして異世界を経験し、どのようにして生き抜いたか。僕の得た知識が、未来の異世界転生者の役に立つことを願っている。

もう少し具体的な説明をしておこう。僕には、深い専門知識も、高い技術も、いわゆる「チート」能力もなかった。僕は、単なる日本で暮らす一般人だった。

そんな人間でも、異世界を生き抜く、いや、異世界でのし上がる方法があるとしたら?たった一冊の本、一本の動画、一人のブログで、どんな異世界でも活躍する術。そんなものがあるだろうか?

「ある」と、あえて言おう。その鍵は、言語、そして発想だ。

発想、それは人類の知の積み重ねにおいてイレギュラーたる存在だ。たった一人の発想が人類の積み重ねを覆す瞬間は、たった一枚の紙切れが世界をひっくり返す瞬間は存在する。それを事前に知っていたとしたら、世界を意のままに操れるに違いない。

そして、コミュニケーションの手段としての「言語」は、その形がなんであれ、どの知的生命体も必ず持つと考えて良い。「バベルの塔」の例えのように、人類の発展は言語なくしてはあり得ない。

ゆえに、言語を扱う技術はどの世界でも通用する。その中でも特にイレギュラーな技術、気づいてしまえばなんて事ないコロンブスの卵。それが僕の武器になった。

興味が湧いただろうか。ぜひ、最後まで読んでほしい。そのとき君は知るだろう、「一般市民が異世界で無双する一つの方法」を。


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訳者注:

「瀬戸内 海」は原文では ”Kai Setouchi” と書かれていたが、著者の意図を汲み上記の訳とした。

また、作者は 2010年代に流行した作風(いわゆる「なろう系」)を念頭にして文章を書いていると思われる。そこで、本訳も同様の作風を踏襲している。

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