俳句 お題「転」

花びらも転圧されし年度末


はなびらも てんあつされし ねんどまつ


 年度末の工事で慌ただしく動くロードローラー。舞い散る桜の花びらが舗装されていく道路と一緒に轢かれてしまったのを見て、わたしはこの世のと税金の使われ方に無常を感じるのでありました。予算消化。南無阿弥陀仏。



転げゆく我が身嘲り去ぬる雁


ころげゆく わがみあざけり いぬるかり


 博打で大金を失い、優雅な人生から転落したが故に住むことになった安アパート。そこから見える、(春になったので)北上していく雁の群れにすら馬鹿にされているような気がして、悲しくなってしまう。そんな我が身のやるせなさを詠んだ一句。

 なお、この後、わたしは家賃含む全財産を持って、スロットを打ちに行きます。



自転車のサドル温め春を待つ


じてんしゃの さどるあたため はるをまつ


 年下の大好きな彼のアレ睾丸を冷やしてはいけないので、わたしの頬でサドルを温めておきました。わたしは彼(六歳)が十八の春を迎えることを楽しみに、彼への愛とサドルを温めながら、厳しい現実という冬を過すのでありました。



雪解けて野には兵流転せり


ゆきとけて のにはつはもの るてんせり


 冬になり雪が積もると戦は中断されるが、春になればその雪は解け、大地にはいくさたおれた兵士たちのむくろが再び現れる。まるで、まだ戦えると言わんばかりに勇ましく――哀しい姿をして。

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