第9話兄弟の励まし、笑顔のタッチ

はぁ〜帰宅した私はどっと疲れが出て、リビングの机に体を預けた。


「姉ちゃん最近元気ないね。僕姉ちゃんが心配だよ。」

弟が心配してくれている。


「なんだよー、随分優しいじゃん。いつもの弟とは思えないんだけど?」


「心配すんの当たり前だろ! 僕は、姉ちゃんが世界一大事なんだから。それと弟は辞めてくれよ、ちゃんとそろそろ名前で呼んでよ。」


「分かったよ、綾人。ってか世界一大事とか、大袈裟な。」


私の周りは、大袈裟な表現する奴らばっかりだね。

でも世界一か。今まで憎まれ口叩いてきたのに、急にどうしたんだろ?

まー弟ももうすぐ中学生だし、大人になったって事かな。



「大袈裟じゃないやい。僕は、自分で言うのもあれだけど、シスコンだよ。」

シスコン! マジすか? ってか、自分で言うとかヤバくね。



「良くシスコンなんて言葉知ってるね? まったく急にデレんなし。」


私いつもそれだけ元気マンって事かな。落ち込むのは、久しぶりだから、デレてくれんのかな。


「漫画で知った。姉ちゃんが悲しそうにすると、僕も悲しいもん。だから早く元気になぁれ。」


「ふふ、分かった。まったく泣かせるぜい。そうだ…ホワイトデーで、クッキー貰ったから一緒に食べよ。」


「うん!」

綾人が元気良く返事をした。


「めっちゃ美味しい…うまっ。」

思わず声が出るほど美味だった。

泉ちゃんって本当料理の腕はプロ級だなぁ。


「美味しいね。ねぇ、姉ちゃん元気ないの、男に振られたとか?」

弟が鋭い質問を投げかけた。


「だった何? 慰めてくれるの?」


「やっぱり。姉ちゃん振った男を後悔させてやろうぜ! ってか姉ちゃんが振られるなんて、信じられないけど。」


綾人が首を傾け、考え込む仕草をした。


「そりゃ、私だって振られる事はあるよ。まぁつらかったけどね。立ち直るよ、めっちゃ好きだった訳じゃないし。」


私はクッキーを口に含みながら言った。


「だろうね〜。姉ちゃんが本気だったら、振られなかったよ。次行こ、次。」


「おう! 浮気マンの綾人に励まされるなんてね。」


「浮気マン? モテ男マンと言ってよ。姉ちゃんより、素敵な女の子いたら、その子と付き合うよ。姉ちゃんのせいで僕の理想が高くなったんだかんね?」


まったくガキの癖に、一丁前だな〜、もう。


褒められて私は満更でもなかった。


「ごめんね、理想上げて。」


弟に抱きついて、2人で微笑んだ。


「綾人ももうすぐ、中学生だね。何か不安な事とか、あったりする?」


「うーん、特には。姉ちゃんと同じ中学だから、楽しみしかないかな。」



「そっか〜。部活は何に入るの?」


「サッカー部かバスケ部かな? 考え中。」


「はは〜ん、さては私がバスケ部だったからからか?」


「そうだね〜、でも辞めたんでしょ、姉ちゃん。」


「うん、高校受験あるからね。2年で引退。バスケ部は、めっちゃキツイよー?」


私は覚悟いるよと、遠回しに伝えた。


「実際人間関係もそれなりに大変よ。レギュラー5人だからね。」


「もちろん、交代枠で他にもいるけど、1人関係悪くなっただけでやばい。」


「逆に全員と関係良かったら、めっちゃ楽しいんだけどね、バスケは。」


一応いい事も言っておこう。


「サッカー部でも、バスケ部でも、そんな変わんなくない? と思ったけど、人数の差か〜。姉ちゃんありがとう。参考にしてみてる。」


「おう! 頑張れ。」

私は、抱きついていた綾人から少し離れ、励まして私は右手を出した。


弟がそれにタッチする。


「イェーイ。」お互いにノリノリで満面の笑みで、答えた。


ふふ、すっかり弟のおかげで元気になったな。綾人ありがとう。心でお礼を言った。

声に出すべきだなと、改めた。


「綾人ありがとう。」


「ん? うん。」

弟が親指を立てた。どういたしましてという、ジェスチャーだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る