49 夕刻

 飴色の空に星が煌めき始める。夕闇が刻々と空を群青に染め上げ、街灯がシパシパと点灯する。建物や山の濃いシルエットが空に溶けていく。肩に食い込む参考書が重い。帰りたくない。まだ帰りたくない。夜なんて来なければいいのに。家なんかなくなればいいのに。夜なんか大嫌いだ。


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