二十章 六点リーダー

〔後の先:否定〕

 殺人事件の謎は解けないままだった。成海は時間が必要だと判断する。事件を考えることをいったん、やめた。気持ちを切りかえて、江戸川花火大会を見ることにした。

〔間四件の一:移動文〕

 成海と葵は船堀駅に来ていた。船堀タワーの一階で食事をとったあと、展望台にあがった。東京アルカディアの最後の取材場所だった。

〔間四件の二:観察文〕

 成海と葵は、江戸川花火大会を満喫した。船堀タワーには、花火の音をきいた地元民が集まりはじめていた。人数制限がかかり、展望台にはいれない家族連れもいた。

〔間四件の三:移動文〕

 花火大会の途中で、船堀タワーをおりる。葛西臨海公園へともどることにした。工藤葵は大観覧車のなか、トラウマになった三年生のころの話をはじめた。

〔間四件の四:状況文〕

 葵は、はじめて、成海が意図的に水槽を壊したことを知った。成海は葵が海水をいれたことを知っていたのである。葵は成海の真意を受けて、愛情を発露させる。いっぽうの成海は、当時の回想によって、行きづまっていた殺人事件への示唆をえるのだった。

〔先の後:新事実〕

 成海はかつて、みずからが水槽を壊した事件から、犯人の行動に思いあたった。葵のおかげで、不可解だった謎がすべて解けたのである。

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