十九章 六点リーダー
〔後の先:疑問〕
犯人はどうして、寺崎の死を、転落事故に見せかけたままにしなかったのだろうか。屋外に放置したあと、犯人が認識をあらため、死体を回収した理由が不明だった。
〔間四件の一:観察文〕
成海は遺留物を回収したあと、芦ヶ池の排水溝を見た。余水吐のさきに、ステンレンスの網が張ってあった。一メートルほどの幅だった。
〔間四件の二:観察文〕
桐生の集めた枯れた大木のなかに、なぜか、クロマグロのぬいぐるみが含まれていた。一メートルほどのおおきさだった。
〔間四件の三:観察文〕
防虫ネットは、多目的研究センターの敷地内、中低木のあいだに張られていた。桐生の張った網だ。成海はやけに、彼の行動を気にかけていた。
〔間四件の四:状況文〕
見張りの刑事から報告を受ける。犬飼はパトロールの警察官に確保されていた。犬飼のもっていたメモから、金の流れがわかった。これで、白い蠍の内通者を突きとめられるようだ。
〔先の後:否定〕
しかし、捜査の進展にまでは、いたらなかった。桜井の殺害された時刻、容疑者の五人は、だれにも目撃されていなかった。つまり、だれにでも、桜井の殺害は可能だったのである。
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