九章 六点リーダー

〔後の先:新事実〕

 桐生は事務員になるまえ、父親の会社で、建築関連の仕事を手伝っていた。彼は容疑者のなかで、唯一、天井裏の排気ダクトの構造にもくわしかった。天井裏の痕跡を専門知識の観点から、細工できたのである。

〔間四件の一:移動文〕

 藤堂はガラス窓のストックを怪しんでいた。すでに、倉庫のカギを用意していた。桐生といっしょに、公園のすみにある倉庫へと向かった。

〔間四件の二:状況文〕

 藤堂はガラス窓を交換することで、密室を保ったまま、部屋を出入りし、三浦を殺害したと推理した。つぎにアリバイ崩しにとりかかる。桐生の同僚である渡辺洋子をつれてきた。殺害のあった時刻、桐生が事務室にいたという証言の矛盾を指摘した。

〔間四件の三:状況文〕

 上司の長谷部があらわれた。殺害のあった時刻、桐生とふたりで公園内ではなく、となりの施設にいたことを白状する。ふたりは、桐生の父親の会社のために、公共工事の談合をもちかけていたのだ。

〔間四件の四:目的文〕

 長谷部の証言が正しかったことが判明する。桐生の犯行がむずかしくなった。帰り際、洋子から犬飼の不可解な行動をきくものの、事件との関連性がつかめない。藤堂と成海は、つぎの容疑者、秋田の話をきくために、多目的研究センターにもどることにした。

〔先の後:仮説〕

 藤堂は秋田を怪しんでいた。年齢のちかい犬飼との共犯関係も考えられた。最後に三浦と話したのも秋田だった。そのときの密談によって、密室の状況をつくりあげたと踏んでいるようだった。

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