忘却の煙消えぬ君

響大

プロローグ

 愛していたんだ。きっと。


 春から大学生になる私は、実家の部屋の整理をしていた。大学は仙台を離れ、東京の大学へ行く。東京の大学といえど、かの有名な東京大学に行くわけではない。誰でも入れるFランク大学だ。

 クローゼットを開け、段ボールに入った思い出を手に取る。少し埃の被った青いアルバムには、私の幼少期の写真がずらっと並んでいた。こんな変な顔も残っているのか。18年という長いようで短い私の歴史が走馬灯のように感じた。「拓海、早く下に降りてきなさい。」母の声が聞こえた。大きな声で返事をし、階段を駆け降りた。

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