さんしの夜 西部柳沢付近にて 8月24日(土) (SARF応募作
ちょこっと
第1話 プロローグ (1000文字以内)
夏休みも終わりに近い八月半ばに、じいちゃん家へ小旅行。
毎年恒例、一週間の東京生活だ。
九州から東京って、逆里帰りみたいで変な感じ。
親が転勤族で一か所に長く住んだ事は無いんだ。
東京って言っても、ど真ん中じゃない。
じいちゃん家は東京都下の西東京市、都会の田舎って言ったら怒られるかな?
でも俺は気に入ってる。
新宿まで電車一本、三十分もあれば着くんだ。
西東京市は練馬区の隣。
畑や緑地も多くて、便利な田舎って感じで落ち着くよ。
でもやっぱ空気が違うなと思う事はあるけどね。
東京の空気は、九州とは違う。
あの、なんともしっとりした空気が無い。
雨が降りゃ、そりゃあどこにいたってジメジメするけどさ。でも違うんだよな。暑さの種類がちょっと違うんだ。
西部柳沢駅。
北口と南口があって、隣は田無と東伏見。
田無駅っていえば、有名な龍神様を祀った神社がある。
金龍、白龍、黒龍、赤龍、青龍、それに風の神様。
色んな神様が祀られていて、まるで神様の交流所。
いっぱい過ぎて、どこからお参りするか迷ったな。
初めては、じいちゃんに連れてってもらったっけ。
神社の中を一通り回った後で、他の人は気付いてない内緒の祠みたいな所を教えて貰った。
ひっそり隠されてるみたいな祠が、なんだか凄くわくわくしたのを覚えてる。
田無駅は、駅すぐのショッピングモールも本屋もある。
最近、本屋ってなくなってるよな。ちょっと寂しい。
じいちゃん家がある西部柳沢駅にも、古本屋はあるんだけど、本屋は無いんだ。
美味しいラーメン屋もあるし、自転車置き場も結構広い。昔ながらの個人店が結構ある。
北口出て歩いてると、焼き鳥や鰻の良い匂いがふわーってするんだ。
夕飯前に、ちょっとだけだってじいちゃんが買い食いさせてくれたっけ。
それで俺的に一番のお気に入りなんだけど……なんと駄菓子屋があるんだ。
スーパーの中にある一角とかじゃない。駄菓子屋さん。西部柳沢駅の北口から歩いて数分。
じゃんけんゲームもあるし、レトロなピンボールも、アーケードの格ゲーもあった。
しかも、ファミコンソフトが誰でも遊べるようになってる。サイコーだろ?
幼稚園や小学生の頃は、じいちゃん家へ行く度にせがんだもんだ。
じーちゃん駄菓子屋さんいこー! ってね。
十円玉握りしめて、めちゃくちゃ楽しかった。
そんなじいちゃん家のある西部柳沢駅へ、高校一年生の今年もまた遊びに来たんだ。
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