大文字伝子が行く236
クライングフリーマン
運命の『ひょう』定?
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山(江南)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
原田正三警部・・・新宿風俗担当の潜入捜査官だったが、EITO出向。
和田一議員・・・移民党議員。元政務官。
市橋早苗・・・移民党総裁。内閣総理大臣。
藤井康子・・・伝子のお隣さん。料理教室をモールで週に数回開いている。
ジョニー秀樹・・・和知秀樹。アメリカ空軍の潜入捜査官。
旭川茜・・・実は仮面パーティーに現れた、クラウンの女で、アメリカ空軍の潜入捜査官。
みゆき出版社編集長山村・・・伝子と高遠が原稿を収めている、出版社の編集長。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
柴田管理官・・・警視庁管理官。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午後5時。東京体育館。
メインアリーナ入り口に、『陸上競技場に来い』と書いた立て看板がある、と原田から連絡があり、2台のオスプレイは、陸上競技場の上空に飛来、エマージェンシーガールズは次々と降りた。
サブアリーナ側から登場した軍団は男女交じって100人位か。珍しい光景だ。
しかも、彼らは何らかのスポーツウェアを着ている。
柴田管理官が連絡して、利用者は一斉に退去していて、人気はない。
だが、ここにやって来る迄に誰かに出逢ったとしても、何も怪しまれない、自然な格好だ。まるで、これから何らかの試合が始まるみたいだ。
照明は既に点いている。サブアリーナから引いたらしい音声装置があり、1人の男が座っていて、マイクが側にある。
やはり、『審判』にしか見えない。
だが、軍団は全員武器を持っている。エマージェンシーガールズは、反対側に陣取った。
みちる以外のエマージェンシーガールズ全員だ。みちるは妊娠が発覚したので、伝子は強制的に帰還させた。
「お前がリーダーか?大枝か?」なぎさが声を張りあげると、「そうだ。」と、男は短くマイクに言った。「ルールはない。」
「火炎放射器まで持ち出して、ルールなんかあったら困る。」なぎさは正直に言った。
リーダーの合図で、女の集団は刀を抜き、男の集団は、誰彼構わず、火炎放射器で追いかけ回した。
一人で持ち運べる火炎放射器のうち、背中に背負うタイプのものをバックパック式と呼ぶ。このバックパックは、2本もしくは3本の円筒から構成される。1本の円筒には、重油などの可燃性液体、あるいはゲル化ガソリンが、もう1本には可燃性もしくは不燃性の圧搾ガスがそれぞれ充填され、円筒からパイプでつながれた銃部に燃料を押し出す働きをする。シリンダーが3本のものは、全体のバランスをとるために、外側の2本に燃料、中央の1本に圧搾ガスを配置する。
農業用のものもあるが、これは正に戦争の武器だ。
エマージェンシーガールズの何人かは、フリーズガンで応戦した。フリーズガンとは、文字通り凍らせる目的の銃で、固形物から噴射すると、ドライアイス状の霧が出る。
だが、火炎放射器の火力の方が強かった。
そこへ、筒井、青山、馬場、高木のEITOガーディアンズが、ホバーバイク隊として飛来、ホバーバイク用のフリーズガンで火炎放射器の男達を蹴散らした。
ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して運搬や戦闘に使用している。
(火炎放射器男の)数が多いな、と筒井が感じたその時、『天の恵み』が発出した。
『ひょう』が降ってきたのである。風も強くなってきた。司令室でモニタリングしている伝子は、インカムで指示を出そうかと思ったが、オスプレイの操縦士ロバートとジョーンズ二人にオスプレイの外部スピーカーをオンにさせた。
陸上競技場の上空から、伝子の声が聞こえた。
「おい、そこのリーダー。生憎の悪天候だ。日を改めないか?日時は任せる。エマージェンシーガールズは、怖じ気づいて逃げ出したと吹聴してもいいぞ。ただ、今の状況は、お互いにデメリットしかない。あんたのリーダーシップを見せてくれ。」
リーダーは数分考えていたが、やがて、「皆、撤収だ。逃げるわけじゃない。ハーフタイムだ。一旦、サブアリーナに待避。その後引き上げるぞ。」と、マイクに向かって叫んだ。
敵は皆、移動を始めた。なぎさは、インカムを通してエマージェンシーガールズにオスプレイに引き上げるように皆に命じた。
午後8時。EITO本部。訓練場。
隊員達は、仮眠室や宿直室と別れて、ここで仮眠すると言う者がいた。
帰宅希望者は、一旦帰宅していい、と言われたが、誰も帰らなかった。
理事官は、その者達が忖度していると考え、秘密基地の宿舎を使うよう命じた。
その者達とは、仁礼、財前、大空、七尾だった。
伝子は、理事官の命令で、草薙が自宅に送って貰った。
伝子が乗ったジープは、白バイ隊が先導した。
午後9時。伝子のマンション。
高遠と藤井が、おにぎりを作って待っていた。
「草薙さん。これ、持って行って。」と高遠はおにぎりを渡した。
「有り難い。今、交通渋滞が始まりました。ジープだと多少は違いますが、普通の車は大変です。本部に帰って来なくていいと言われましたが・・・。」
「あつこに泊めてやってくれ、と頼んでおいたよ。」と、伝子は高遠に言った。
「母さんは?」「介護士さんが足りないからって、急遽夜勤だって。」
2人の会話に藤井は目を細めた。
翌日。午前9時。久保田邸。
ひょうは止んだが、雪になり、そこら中が雪道になった。
朝のニュースでは、テレビ局や大臣の襲撃のことは流れていたが、東京体育館の陸上競技場のことは触れられていなかった。ネットでも話題にならなかった。
どうやら、『大枝』は『ルール』、いや、マナーを守ったらしい。
車の中で、久保田管理官が言った。「この、『ひょう』は使えるよ。」
―完―
大文字伝子が行く236 クライングフリーマン @dansan01
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